6ー4 体育館でボールが弾む頃

待ちに待った昼休みがやってきた!!

坂木くんを捕獲する!その時が!


神崎さんとアイコンタクトをとり俺は前方のドアへ、神崎さんは後方のドアを塞ぐ

坂木くんは脱出しやすそうな神崎さんの方へ行く

予想通り!!


そして、坂木くんは神崎さんに取り押さえられた


ふふふ、俺の方に来ていたらワンチャンあったのにな!!


廊下へ移動して、尋も……質問をしないとな


坂木「んだよ、俺約束あんだけど?」

俺「木原くんと?」

坂木「……お前には関係ないだろ」

俺「そうだな、興味もない」

坂木「ならなんで俺に構うんだよ!」

蓮「落ち着いて……聞きたい事があるだけ。それさえ聞ければ用済み」

坂木「なんだよ、その聞きたいことって」

俺「バスケ部で最近噂になってる事ってあるよな?」

坂木「最近……?俺たちの事以外でか?」

俺「ああ、あるだろ?」

坂木「……最近は、ない」

蓮「最近はってことは少し前ならどう?」

坂木「ん〜……あっ、あれか?片付けたはずのボールが何でか転がってるって」

俺「それそれ」

坂木「でも最近は、聞かなくなったぞ」

蓮「そうなの?」

坂木「ああ、俺とあいつの噂が広まったせいでな」

俺「ボールの話しもっと詳しく聞きたいんだが、今日の放課後時間とれるか?」

坂木「放課後なら……まぁ、いいけど。ただし条件がある」

俺「条件?」

坂木「放課後は木原も一緒だ、それと俺たちの事を言いふらしたりしないって約束しろ」

俺「ああ、いいぞ。というか、お前の恋愛に構ってやる時間はない!俺は神崎さんへ好感度上げに忙しいんだよ」

坂木「あ?なんだ?好感度?」

俺「そう!神崎さんとお付き合いするために必要な隠しパラメータだ」

坂木「は?何言ってんの?てか、まだお前ら付き合ってすらないの?」

蓮「そうね」

俺「そうだ」

坂木「は?意味わかんねぇって……」

俺「……放課後、話し聞かせろよ」

坂木「わかったって。それじゃ、約束あるから」

坂木くんは急いで階段を降りて行った


俺「これで、話し聞けるな」

蓮「一つ質問なんだけど」

俺「何何!?」

神崎さんが俺に質問って……レアだな!

蓮「どうして私達が付き合ってるって思わてたの?」

俺「さぁ?付き合ってないのにな」

蓮「付き合う予定なんて無いのにね」

よ、予定は予定だし!予定変更なんてよくあることだし!

発売日が延期したり?何故か1クールの間に再放送されたり?最終回が放送されなかったり?

あるあるだよね?ね!

だから神崎さん!その予定は変更させてみせるよ!

俺「昼飯食べよ。一緒にどう?」

蓮「イヤ」

神崎さんは教室に戻ると寝てしまった

はぁ……飯食べよっと

今日はコンビニで買ったサンドイッチとPVプライベートブランドの安いお茶

サクッと食べて俺も寝よ……

うん、美味い美味い



中途半端に寝たせいで午後の授業は殆ど覚えてない……仁にノート見せてもらおっと


そして放課後!


坂木「部活棟の三階、一番奥の空き教室」

俺「お、おう。了解」

そこって元開かずの教室なんじゃ……

さて、神崎さんはといういと

言わなくても分かると思うが睡眠中だ

起きるまで今日は何分かかるかなぁ……

とりあえず、あんまり遅くなっても坂木くん達に悪いしなぁ


5分経過……起きない


10分経過……起きない


15分経過……起きない

そろそろ起こすかな


俺「神崎さ〜ん、そろそろ起きてー」

蓮「んん〜、後ご」

5分くらいなら、まぁ

蓮「じゅっぷん」

俺「長いよ!?坂木くん達帰っちゃうよ!」

50分は流石に遅いって!

蓮「……ダメ?」

俺「できれば」

蓮「じゃあ、できない。おやすみ〜」

俺「ちょーーーっ!?ダメ!ダメだよ!?50分はダメ!起きて!」

蓮「……ダメ?」

俺「同じ手は通用しないよ」

蓮「ケチ……」

ケチって……子供か!

俺「起きたね?待ち合わせ場所行くよ」

蓮「どこ?」

俺「元開かずの教室」

蓮「嫌がらせ?」

俺「そうじゃないと願いたい」

蓮「それじゃ、行こっか」

俺「ああ」



俺と神崎さんは思い出?のある元開かずの教室に向かった




坂木「遅えぞ」

俺「ああ、すまんな」

坂木「それじゃ、何から話せばいい?」

俺「まずは自己紹介とか」

蓮「ボールの噂が流れ始めたのはいつ?」

あ、自己紹介とかいらないのね

坂木「2ヶ月前」

蓮「その時からずっとボールは」

坂木「落ちてたり落ちてなかったり」

蓮「そう……誰がやったかは」

坂木「分かってない」

蓮「……その間噂はずっと?」

坂木「ああ、毎日じゃないけどな」

蓮「なるほど、ね」

坂木「なにか、分かったのか?」

蓮「ええ、おおよそ予測はついたわ」

坂木「……そうか。質問はそれだけか?」

蓮「後一つ」

坂木「なんだ?」

蓮「ボールの噂の前に何か噂流れてなかった?」

坂木「……さぁ、覚えてないな」

坂木くんが腕を組み、足を組み替えた

これは……自衛?

蓮「そう」

坂木「もういいだろ」

蓮「最後にもう一つ」

坂木「なんだよ」

蓮「女バスって今年から?」

坂木「ああ、そうらしいな」

蓮「そう……ありがと、大体わかったわ」

坂木は最後の方の質問にはイヤイヤ答えていたように見える

木原くん(仮)は終始心配そうに坂木くんを見ていた、ただ質問に答えてるだけなのに

うーん……聞かれたくない事とか、答えたくない事があったのかな


坂木くんはおそらくボールの前に流れてた噂に心当たりがある

でも、それを話さなかった……何か隠してるな

でも、何を隠してるんだ?


坂木くん達が出ていった後

蓮「明日、昼休みに体育館行くよ」

俺「あ、ああ。了解……神崎さん、何か分かったの?」

蓮「多分、今回の噂の犯人は彼ら」

俺「えっ!?ええぇ!?!?」

蓮「でも、確実じゃない。それを確認する為に、明日体育館に行く」

俺「りょ、了解!」

蓮「それじゃ、また明日ね」

俺「あ、ああ。また明日!」




あ、また一緒に帰ろって言えなかった……!





深夜アニメをリアタイで見て翌日!


俺「おはよ……」

仁「どうした?」

俺「昨日の深夜アニメ、リアタイで見て……寝不足……とりあえず寝る」

仁「あ、そう。おやすみ」



ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ


(起きて……)

ん〜?なんか神崎さんの声が聞こえる……気がする

(起きてってば)

あはは、神崎さんが起こしてくれるなんて良い夢だなぁ……

(起きないと痛いよ)

神崎さんからの痛みならご褒美です、ぐへへへへ

(そう、それじゃ……)


ゴッスン!!!!

俺「いったあぁぁぁっ!?」

え?何?何?頭痛い!超痛い!辞書で殴られたような鈍い痛みがぁ……

蓮「起きた?」

俺「え、うん。もしかして今の神崎さんが?」

どことなく神崎さんの視線が冷たい?

蓮「ご・褒・美、なんでしょ?起きたなら体育館行くよ」

俺「え?え?あ!待って!置いてかないで!」

神崎さんから冷たい視線と謎の言葉を掛けられたけど、どういう事なの!?

なんか良い夢見てた気はするんだけど……なんか寝言でも言ったのかな?


神崎さんを追いかけて体育館へ一緒に向かう


俺「それで、昨日確認するって言ってたけど何を?」

蓮「彼女たちに聞くの」

俺「あ、女バスの」

蓮「そう。ねぇ、ちょっといいかしら?女バスの一年生」

女バス「あ、この前の……今日はなんですか?私たち練習したいんですけど」

蓮「女バスの中でバスケ部に恋人の居る人は?」

女バス「いますけど……それがどうかしましたか?」

蓮「その子は今どこ?」

女バス「なんでそんな事教えないといけないんですか?」

蓮「どうしたの?そんなツンツンして」

女バス「七海たちの邪魔はさせません」

蓮「七海っていうのね。その子と付き合ってるのってバスケ部の部長じゃない?」

女バス「そう、ですけど……え?七海の邪魔しに来たんじゃないんですか?」

俺「違う違う、そんな事一言も言ってないよ。ただ少しだけ話しが聞きたいだけなんだ」

女バスの一年生は俺と神崎さんを交互に見て何か納得したようだ

女バス「それなら……七海〜!」

七海「何?え?私?」

蓮「ちょっといいかしら、七海さん」

七海「えっと、何の用ですか?」

蓮「あなた達が付き合い始めた頃の事なんだけど」

七海「え、えっと……ここじゃ」

俺「それなら、裏で話聞こうかな」

七海「はい」


場面転換!体育館裏!


蓮「あなた達が付き合い始めた時、変に噂になって困ってた?」

七海「はい、なんでそれ知ってるんですか?」

蓮「それで、付き合ってる彼が何とかするって言ってくれた?」

七海「……はい」

蓮「それから少しすると噂は有耶無耶になった」

七海「はい」

蓮「付き合い始めたのは大体2ヶ月前?」

七海「そうです……なんなんですか!?」

蓮「聞きたい事は聞けたからもう戻っていいわよ」

七海「え?」

俺「それじゃ、練習頑張ってねー」

神崎さんと俺は体育館裏をあとにする


教室に戻ると神崎さんは丁度戻ってきた坂木くんに声をかけた

蓮「バレたんだから、もう止めなさいよ」

坂木「……わかったよ。言いふらすなよ?」

蓮「ええ、もちろん。七不思議の解明がしたいだけ、それ以外に興味ないわ」

坂木「そうかよ」


坂木くんはそれだけ言うと席に戻っていった

俺「神崎さん?解説は?」

蓮「①噂の正体は坂木くん

  ②昼休みギリギリに体育館行って天井にボールを引っ掛ける

  ③時間経過でボールはバランスを崩して落ちる

  以上」

俺「なるほど!」

ちょっと思考が追いつかない……

俺「これで解決だね!」

蓮「そうね」


よし!これで残す七不思議はあと一つ!!

それを解明すればきっと神崎さんは付き合ってくれる!!

根拠はない!!でも、希望は捨てない!!

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