6ー1 体育館の幽霊(バスケ部員)
神崎さんと別に調査した前回の七不思議
……最後はあっけなく終わってしまったアレから一週間が経過した
今思うとほんと、噂ってアテにならないな!
あれ以来、神崎さんと会話らしい会話できてないんだよなぁ……
なにか話しかけたい!!でも、話題が無い!!
こんな事なら少し強引にでも神崎さんと調査してればよかったと思わなくもない
まぁ、終わったことをグチグチ言ってもしかたない
次の七不思議を探さないと!
神崎さんが開かずの教室で見つけたメモによると、残る七不思議は
体育館 怪音と
折り目だったのか完全に掠れて読めなくなってるものだ
ヒントのある体育館 怪音の方を下調べするかな
まずは現場と目される体育館に行くぞ!
と、意気込んで向かう所で声を掛けられた
加藤「山本くん、どこ行くの?」
俺「あ、加藤さん。体育館だよ」
加藤「え?なんで?」
俺「次の七不思議がありそうだからさ」
加藤「そうなんだ、でも誰もいないから閉まってるんじゃないかな?」
俺「え?どっかしら運動部が使ってるから開いてるだろ?」
加藤「今日からテスト期間だよ。大体の部活はお休みでしょ」
俺「なん、だとっ!?」
加藤「先生の話し聞いてなかったんだね……」
俺「くそ、どっかから忍び込めないかな……」
加藤「止めときなよ、見つかたら怒られるよ?」
俺「でもなぁ……」
加藤「あのさ!これから勉強会するんだけど、一緒に来ない?」
俺「いや、俺一夜漬け派だから」
加藤「そっか、わかった。それじゃ、バイバイ」
俺「ああ」
さて、体育館行くか!
体育館に移動して、まずは外側を一周する
暑い……日差しが辛いな……
侵入出来そうな場所は、ないな……
てことは普通に入口が開いた時に紛れ込むしかないな
そういえば、昼休みに体育館で遊べるって誰かが言ってたな
明日は昼休みに来てみるか……
暑いし今日の所はこの辺で
ダーンダーンダーンダンダンダン
俺「何だ?今中から音が……」
窓は、どっかに中を確認できる所は……
あ!あった!体育館にある謎の小窓!
足元にある小さな窓ってほんと何の意味があるんだろうな
小窓から中を確認すると、人影は全く無い
しかし、バスケットボールが一つ転がっていた
さっきの音はボールが弾む音か
でも、誰もいないよな……?
二階部分に誰かいるなら何処からか出入りできる場所もあるはず!
しかし、幾ら周囲を見て回っても誰も出てくる様子はない
はぁ……くそ、どうなってんだ……なんで誰も出てこない……
暑い……もう夏だしな、暑いのは仕方ない、仕方ないが辛い……
見てない所から逃げられたか……
今日はもう帰るか……
もう7月……
夕暮れの日差しが茜色に校舎を染める
あの日もこんな綺麗な夕日だったな
一人感傷に浸りながら帰宅する
俺「いつか、神崎さんと一緒に下校したいなぁ」
そして翌日・昼休み
今日も今日とて神崎さんは寝ていた
というかいつも寝ていて、他に表現のしようがない……
俺「さて、行くか」
昼休みの体育館はそこそこ賑わっていた
バレーやバスケ、バドミントンなどなど
いろんなスポーツの練習風景があった
バスケの練習をしているグループに話しを聞きに行く
俺「あのー、ちょっといいかな?」
?「なんですか?」
俺「昨日の放課後バスケやってた?」
?「いえ、やってないですけど」
俺「そうですか、わかりました。お邪魔しました」
バスケのグループが訝しげにこっちを見ていたが、特に文句など言ってはこなかった
あの反応は嘘を吐いている雰囲気ではなかったな
ということは、昨日の犯人は他にいるって事か
現在バスケの練習をしてるのは今のグループだけだし、他に聞くあてもない
さて、どうしたものかな?
とりあえず、教室に戻る
すると、神崎さんが起きていた!?
あ!こっち見た!
もしかして、俺のこと目で呼んでる?
俺「えっと、神崎さん?」
蓮「七不思議見つけた?」
俺「いや、まだ七不思議は見つかってないかな」
蓮「そう?」
俺「あ〜、昨日ちょ〜っと不思議な事はあったけど七不思議ってわけじゃなさそうなんだよ」
蓮「不思議なことって?」
俺「放課後の体育館でバスケットボールが転がってたんだよ」
蓮「それが不思議?」
俺「そこには誰も居なかった……いや、見つからなかったんだ」
蓮「無人の体育館で、ボールがひとりでに転がってたの?」
俺「そう、ダーンって音がして急いで小窓から中を覗いたんだけどボールしか見えなかった。多分誰かが中に侵入して遊んでたんだと思う」
蓮「侵入者は見つかったの?」
俺「全然見つかんなかった。どっかに裏口があると思うんだ」
蓮「ほんとに誰も居なかったとしたら?」
俺「それって……」
蓮「そう……七不思議だよ」
俺「ってことは」
蓮「放課後、調査するよ。いい?」
俺「お、おう!」
あれ……?神崎さんが誘ってくれた!?
とうとう神崎さんルート入った!?
よっし!これからはずっと俺のターンだ!
神崎さんとメロメロにしてみせる!
まずは放課後の調査で更に親密度を上げる!
そして、フラグを立てて“一緒に下校イベント”を発生させる!
絶対に見逃すものか!このフラグ、このイベント!
あの夕陽の出会いに誓って!!
そんな決意を固めてる俺を他所に神崎さんはまたスリープモードに入っていた
燃えに燃えた俺は午後の授業も全力で取り組み、ノートや先生の口頭でした注意事項もきっちりメモをとることが出来た
よっしゃ!完璧!!
モチベーションが段違いだな
普段の俺からは想像出来ないほどの集中力を発揮できた
神崎さんへの愛が為せる業だな
この気持ちよ、神崎さんへ届け!
あ、神崎さんが起き上がった
まさか本当に届いた!?
辺りを見回す神崎さんは酷く不快そうな表情をしていた……
これは違う!俺の想いは残念ながら届かなかった!
そう!きっと俺のせいじゃない!
そう、だよね?ね?
俺の愛ってそんな不快じゃないよね?
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