5ー1 踊り場の合わせ鏡 テコ入れ回

あれから数日が過ぎた

俺と神崎さんの距離は未だに開いたまま進展がない

こんなに一緒に活動してるのにデレてくれないとか、難攻不落の超高難易度ヒロインだな


しかし!今日こそはデレてもらうぞ!

独自に新しい怪談ネタを仕入れたのだ!

なんと、最近は不良生徒ではなく『学校の怪談を解明する専門家』という噂が広まっている俺である

そしてその噂を聞きつけた生徒から調査依頼が入ったのだ


俺「神崎さーん」

蓮「なに?」

俺「新しい七不思議の情報手に入れたよ」

蓮「踊り場の合わせ鏡?」

俺「なぜそれを!?」

蓮「私の所にも来たから」

俺「そっか……それじゃ、今日から調査を」

蓮「そして今回は別々で調査する事にしたの」

俺「えっ?何でっ!?」

蓮「テコ入れよ」

俺「テコイレ?」

蓮「そう、いい加減同じ展開すぎて飽きられてしまったの」

俺「俺はどうすれば……」

蓮「今まで関わった人達と協力して調査すればいいでしょ」

俺「……」

蓮「諦めなさい、これはPVを稼ぐ為に必要な事なの」

俺「いいや!そんな事したって無意味かもしれないだろ!?」

蓮「もしPVが稼げないならひっそりとお蔵入りするだけよ、よくある事でしょ?」

俺「お、お蔵入り……」

蓮「そしたら、私と恋仲になる事もできないから。そのつもりで」

俺「うをぉおおい!?マジか!?」

蓮「マジよ」

俺「負けられない戦いがここにある……」

蓮「それじゃ、私は帰るから」

俺「え?調査は?」

蓮「先に始めていいよ、どうせ私の方が早く解明できるから」

俺「……じゃ、じゃあ俺が先に解明できたら俺と付き合ってよ!」

蓮「いやよ、私になんのメリットもないでしょ」

俺「そ、そんな……」

蓮「ほら、さっさと協力者探してきなさい」

俺「情報交換は」

蓮「解明するまで一切話しかけないでね」

俺「はい……」


神崎さんはカバンを持って本当に帰っていた


えーっと……どうしよ……


誰かに協力してもらう、か

よし!

1つ目の七不思議の時に合った人から順に声かけてみよ!

えーっと、最初は開かずの教室だったな

なんか思い返すとつい先週の事のような気がする

あっという間に過ぎていく青春

果たして俺は神崎さんと付き合えるのかな……


いやいや!そんな心配を今してる場合じゃない!

まずは出来事のリストアップだ

・仁に聞き込みした

・クズ先輩から開かずの教室の鍵を借りた

・司書のおじさんと出会う

・そして司書のおじさんに阻まれる

・神崎さんと突破してドアを破壊して開ける


こんな感じだな

仁は……今日はもう帰ったな、あいつ帰んの早いんだよな

次、クズ先輩か……あの人は、最後の手段だな

じゃあ、司書のおじさんだな

そういえばおじさんの名前ってなんていうんだろう……?

それも込みで聞き込みと協力の要請しに言ってみるか!


図書室に移動する

いつも通り静かな図書室だ

えーっと司書のおじさんはっと

あ、いたいた


俺「あの、すいません」

司書「ん?君か」

俺「おじさんの名前って聞いたことないなぁと思って聞きにきました」

司書「君に名乗る名は無い」

俺「そんなセリフ言われたの始めてですよ。ほんとに言う人いるんですね」

司書「……さっさと帰りなさい」

俺「実は本題別にあるんですよ」

司書「まだ何かあるのか」

俺「七不思議の調査手伝ってほしいんです」

司書「断る、私が君を手伝うわけないだろ」

俺「デスヨネー」

司書「仕事の邪魔だ。調査なんてやめて帰りなさい」

俺「はーい」


まぁ、最初から期待はしてなかった

というか、手伝ってくれるっていったら逆に怪しい


さて、次は誰にお願いしに行こうかな

えっと、開かずの教室の次は音楽室のピアノだったな


よし、軽音楽部の所に行ってみるか!

図書室から軽音楽部の練練習場所に向かう

その途中、とある人物の背中を見つけた

俺「あ、お久しぶりです。最近調子はどうですか?」

部長「……あぁ?お前ソレ本気で言ってんの?何喧嘩売ってんのか?ヤルか?」

吹奏楽部の部長ってこんな人相悪い人だったっけか?

俺「あ、すいません。人違いでした」

部長「あ?ざっけんなよ?お前のせいで俺がどんな目にあったと」

俺「なんの事わかりかねます」

部長「お前のせいで……俺は部長を辞めさせられたんだぞ!コンクールの出場も取り消しになった!何もかも全部お前のせいだ!」

それ自業自得だろ!

俺「ははは、災難でしたね」

部長…じゃないか、元部長は怒気を収めて一気に雰囲気が変わった

元部長「はぁ……もう、俺に関わるな。近づくな。頼むからこれ以上俺の邪魔をしないでくれ……」

俺「あ、はい」

うわぁ……本気で俺と関わり合いたくないって感じだな

元部長はとぼとぼと離れて行った

その背中は哀愁漂うなんとも言えない雰囲気を醸し出していた

さて、軽音楽部行くか!

変な因縁ふっかけられる前に目的を達成するぞ!


軽音楽部の前に行くと中からギターやドラム、キーボードの音が漏れ聞こえてきた

よかった、今日は部活やってるみたいだ

今まで部活が休みの可能性を完全に失念していた

コンコン

俺「お邪魔しまーす」

返事を待たずに中に入る

すると、何故か半裸のJKががががががが

あれ?何で?お着替え中?

美久「キャーーーーーーーーーー!!!」

加藤「ちょっ……!何で!?」

蒼子「で、ででで、出てってください!!!」

俺「あ、うん。ごめんごめん」

回れ右して廊下に出る

ふぅ、まさかこの俺がラッキースケベに遭遇するとは……な

ほんと人生なにが起きるか分からんもんだな

でも、ラッキースケベってあんまり嬉しくないな……どうせなら神崎さんの……いや!いやいや!ダメだろ!俺!何考えてんだ!ハレンチな!


少しして制服を着た蒼子ちゃんが顔を出した

蒼子「先輩」

俺「おう、ちょっと話しがあって来たんだが中入っていいか?」

蒼子「……はい」

蒼子ちゃんに許可をもらって入室する

俺「お邪魔しまーす」

美久「……」

加藤「……」

蒼子「……」

俺「ん?どうした?」

加藤「よく平然と入って来れるよね」

俺「ああ、実は頼みがあってな」

蒼子「……それさっき私たちの裸見た人のセリフ?」

俺「あ!そうか、ごめん!見るつもりは全くなかったんだ!ほんとごめんな!」

加藤「……まぁ、鍵掛け忘れてたのも問題あったしそれはもういいよ」

俺「そうか、よかった」

加藤「よくないよ!」

俺「どっち!?」

加藤「何で着替え覗いといて平然としてられるの!?顔赤くしたり!気まずそうにしたりとか!なんかあるでしょ!?」

俺「え……?」

蒼子「なっ……」

美久「…………」

加藤「その『え?』はどういう意味かな?かな?まさか私達の身体には魅力が無いって意味じゃないよね?ね?」

俺「ああ、魅力が無いなんて思ってないぞ。ただなぁ」

加藤「ただ?」

俺「俺って神崎さん一筋だから」

美久「っ……」

蒼子「よしよし」

美久ちゃんが蒼子ちゃんに撫でられてる

うん、百合もいいなぁ

加藤「はぁ……」

俺「そんな事より、今日は折り入って頼みがあって来たんだ」

加藤「……この空気の中頼み事するなんて正気じゃないよ」

俺「正気で恋ができるかよ」

キリッ

加藤「今のはちょっとキモいわ……それで、空気の読めない奇人野郎は何を頼みにきたの?」

俺「おう、七不思議の調査の手伝いをしてほしくてな」

加藤「そんなの眠り姫とやればいいでしょ」

俺「それが、今回は別々で調査する事になってな」

蒼子「それって」

加藤「愛想尽かされた?」

俺「いや、違う!違う、と思う……多分……メイビー……ソウソウ」

加藤「どんどん自信なくなってるじゃん。それじゃ何で別々で調査する事になったの?」

俺「神崎さん曰『テコ入れ』だってさ」

加藤「なにそれ?」

俺「知らん!」

加藤「それで、私らに何を手伝わせようっていういの?」

あ、そういえば……何手伝ってもらえばいいんだ?

えーっと……張り込みは、部活の時間を取りすぎるな……

蒼子「まさか、何も考えてないなんて事ないですよね?」

俺「それは……えっと……」

加藤「はぁ……、私らで聞き込みでもしようか?」

俺「おお!それだ!俺じゃ話聞けない事多くて困ってたんだ」

蒼子「どんだけ嫌われてるんですか……」

俺「噂のせいだ!廊下ですれ違うだけで避けられるから声掛けづらいんよな……」

加藤「それじゃ、私らは聞き込みするよ。それで次はどんな怪談?」

俺「それは……」

軽音楽部の面々に踊り場の合わせ鏡の話をして練習場所を後にする


さて、今日はこの辺で切り上げて明日仁に何か知らないか聞いてみるかな

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