4ー1 放送事故!?いいえ怪談です?

演劇部の一件を解決して以来、不幸の手紙も花瓶のお供えもされなくなった

やっぱり演劇部の誰かの仕業だったのだろう


あれから三週間、何もなく平穏な日常を過ごしている……

神崎さんの好感度は上がらないままだが……



そんな俺の、いや俺たちの元に次の七不思議が訪れた


放課後、いつものように七不思議の手がかりを探して一人校内を歩き回っていた時だった

校内放送のスピーカーから怪音が聞こえたのだ


ザザザ……こ……き……は……ほ………し……に…………ザザザ……


何か言葉のようにも聞こえるし、ただのノイズのようでもある……?

ただこの時は放送機器のトラブルか何かだろうと気にしていなかった

これが月曜から土曜まで一週間ずっと続くとは思っていなかったのだ



翌週、俺は神崎さんに相談してみることにした

俺「神崎さん、最近気になってる事があるんだ」

蓮「…………七不思議以外興味ない」

俺「とりあえず聞いて、先週の事なんだけど毎日決まった時間に変な放送が入るんだ」

蓮「変な放送?」

あ、食いついた

俺「ああ、ザザザって音と言葉っぽいノイズが少しだけ入ってすぐに切れるんだよ」

蓮「機材トラブルじゃないの?」

俺「だったら直ぐに治すんじゃないかな?一週間ずっと放置は考えにくいよ。それらしい連絡事項は先生も何も言ってなかったし」

蓮「ふーん」

俺「前に見せてくれた七不思議の一覧あったでしょ」

蓮「コレ?」

俺「そうそうコレ。この3つ目のやつって無人のほにゃらら室ってなってるじゃん、多分無人の放送室だと思うんだよ」

蓮「……そうかもね」

あ、少し笑った

俺「これの調査してみない?」

蓮「そうね。じゃ、頑張って」

俺「いや、一緒にやろうよ」

蓮「私はその放送聞いてないから……フワァー……」

俺「眠いだけでしょ」

蓮「うん……それじゃ、おやすみ」

あーあ……寝ちゃったよ

仕方ない、一先ず一人で調査するか……


何から手をつけるかな……

校内放送って部活じゃなくて委員会だったよな

てことは、放送委員に話しを聞くのが手っ取り早いな

俺「なぁ仁」

仁「今度はなんだ?」

俺「このクラスの放送委員て誰?」

仁「えーっと……森さんと田中くんだな」

俺「えっと、どれが森さんでどれが田中くんだ?」

仁「田中くんは先週から風邪で休んでるよ。今いるのは森さん、ほらあの隅っこで読書してる」

俺「ん?あ、この前岡崎の呼び出し教えてくれた子だ」

仁「ああ、そういえばあの時なんか話してたね」

俺「さんきゅ!仁」

仁「どういたしまして」


さーて、どうやって話しかけよう……

うーーーん……

取り合えす放課後まで待つか






〜放課後〜


よしっ!森さんはっと……

居ない!?なぜだ!?何処にいった!?

慌てて廊下に出て見回すが見当たらない……

森さんてもしかして忍者か何か?


うーむ……森さんから話し聞こうと思ったんだけど……

ダメ元で放送室に行ってみるか

放送室は確か三階の真ん中辺だったような……

まぁ、行けば分かるかな!

行ってみよー!おー!


三階に来て放送室を探しながら歩くが、見つからない……

おっかしーなぁ……見落としたかなぁ


校内の地図なんて持ってないし、放送室が見つからないなんて思ってなかったなぁ

テキトーな教室覗いて、残ってる生徒に聞いてみるしかないか

どっかに気弱そうな話しかけやすい人いないかなぁ



俺「ここは……いない。次は……あ、いたいた」

見つけたぞ、話しかけやすい後輩


俺「あのー、ちょっといいかな?」

??「え、なんですか?」

俺「放送室ってどこにあるかな?」

??「放送室に何か用ですか?」

俺「ん?ああ、まあね」

??「何の用ですか?関係者以外入れませんよ」

俺「とりあえず場所教えてよ。交渉してみるから」

??「お断りします」

俺「はい?」

??「僕は放送委員です。でも、先輩は怪しいんでお断りします」

俺「えーー、それ酷くない?」

放送「また機材にイタズラされたら困るんですよ」

俺「また?」

放送「はい。先週から変なノイズが設定されちゃったんですよ……まさか先輩が?」

俺「やっぱりアレは聞き間違いじゃなかったのか」

放送「先輩も聞いたんですね、なら気をつけた方がいいですよ」

俺「気をつけるって何に?」

放送「怪我とか病気とか、まぁ色々と」

俺「ん?」

放送「あのノイズを聞いて、三年の島村先輩は足を骨折しました。二年の田中先輩は病気で休んでます」

俺「偶然だろ、そんなの」

放送「そうかもしれません、でも僕は無関係とは思いません」

俺「そっか……ふむ。聞くと災いが降りかかる放送か……」

放送「そうです。まるで、学校の怪談みたいですよ。ほんと」


よし、見つけた!4つ目の七不思議!!


俺「そっかそっか。ならその七不思議、俺たちが解決しよう!」

放送「は?解決?」

俺「さらばだ!!!」


俺が自分の教室に戻ると神崎さんはまだ眠っていた

だいぶ時間経ったのにまだ寝てるとは……恐るべし睡眠力!


俺「神崎さーん、起きてー」

蓮「ん……何?放送は?鳴った?」

俺「いや、今日はまだだけど」

蓮「そう……今日は聞けないみたいだから、帰って寝る」

俺「まだ寝るの!?ってそうじゃない!放送委員の一年からノイズの事聞けたんだよ!」

蓮「へー、で?」

俺「先週から鳴ってるのは話したでしょ」

蓮「そう…ね」

あ、眠くて覚えてないパターンだ

俺「放送委員の三年のなんとかって先輩がノイズを聞いて足を骨折して、このクラスの田中ってやつも風邪ひいて休んでるって話しだ」

蓮「偶然でしょ」

俺「かもしれない!でも、何かあるって俺の勘が反応してる!」

蓮「もう一人くらい犠牲者が出ないと信じられない」

俺「いや、犠牲者出ちゃダメじゃね?」

蓮「実は既に3人目の犠牲者が……なんてね」

俺「怖っ!」

蓮「それじゃ、私は帰」

ザザザ……こ……き……は……ほ………し……に…………ザザザ……

俺「コレだよ!このノイズ!」

蓮「……はぁ」

何でため息!?

蓮「それで?このノイズを聞いたら何かあるの?」

俺「まだそれは分からない、けど注意した方がいいのは確かだと思う」

蓮「そ」

俺「帰るの?」

蓮「もちろん」

俺「そっか……」

放送聞いたら一緒に調査してくれると思ったのにな……

蓮「……明日、放送室に行ってみましょ」

俺「っ!?そ、そうだなっ!」

よっしゃー!神崎さんと調査だ!今度こそ二人で行動して親密度を上げるぞ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る