3ー4 人体模型捕獲作戦
翌日、クラスに着くなり神崎さんが話しかけてきた!?
蓮「……面貸しな」
おう……まさか〆られるの?
俺「お、おう」
神崎さんに付いて行き屋上のドアの前まで来た
屋上は閉鎖されていて出る事はできないから、目的地はここのはずだ
蓮「昨日、加藤さん?と何話したの?」
俺「え?何でそれを?」
蓮「連れて行かれるの見たから」
俺「なるほど」
蓮「それで?何を話した?」
俺「えーっと……」
蓮「話さないなら今後一切私と関わるの禁止ね」
俺「…分かった!話すよ。昨日話したのは俺が告ってフラれたって事」
蓮「それで?」
俺「まだまだ諦めるつもりはないって」
蓮「それで?」
俺「えっと……もし俺の事を好きな女子がいたらどうするって」
蓮「……それで?」
俺「ありえないって言ったよ、俺に告白するのは十中八九罰ゲームだからって」
蓮「……そう」
珍しいな……神崎さんが可哀想なものを見る目してる
神崎さんも憐れむ気持ちがあるんだな……
2日続けて悲しい人生観を話すハメになったのは運命のイタズラですか?
それとも
蓮「話したのそれだけ?」
俺「ああ、それだけだ」
蓮「そう、ならいい。戻るよ」
神崎さんは階段をスタスタ降りて行く
なんで神崎さんは俺を連れ出してまで昨日の事を聞き出したんだ?
蓮「どうしたの?授業サボるの?不良に目覚めたの?」
俺「いや、受けるよ!これ以上先生から目ぇつけられたらヤバいからな」
蓮「なら急いでいくよ」
俺「おう」
よくわかんねーから気にすんの止めとこ
そして、何事もなく放課後になった
蓮「さぁ、行くよ」
俺「お、おう」
どうしたんだ?珍しく神崎さんから声かけてくるなんて……まさか!?
コレが悲しい人生観を披露した事による乱数調整の結果か!?
よし!ならもっと披露すれば告白の成功率も上げられるかもしれない!?
いや、告白する前に俺のHPが0になる……
やはり、地道に好感度上げるしかないか……
俺達はそれぞれ人体模型と遭遇した場所で張り込みを開始した
どちらかの前に現れたら大声出して知らせる手筈になっている
さぁ来い!人体模型!!
…………
………………
……………………
来ないな……
??「ひゃあーーーー!!」
叫び声!?神崎さんの声じゃないって事は第三者の声か!?
向こうの方から聞こえたな、行ってみるか!
駆け足で悲鳴が聞こえた方へ向かう
するとそこには翠ちゃんが座っていた
俺「翠ちゃん」
翠「ひっ!あ、山本先輩……」
俺「もしかして、人体模型?」
翠「ひゃい……あっちへ走っていきました」
俺「あっちは……」
神崎さんが待ち伏せしてる方か
俺「ありがと!とっ捕まえてくるから!またね!」
俺は全力全開でダッシュする
すると辺りを伺う人体模型が見えてきた
できるだけ大声で叫ぶ
俺「そこをーーー動くなーーーー!!!」
人体模型「っ!?」
人体模型は初速からかなりの加速で俺を引き離しにかかる
しかし、見失うわけにはいかない!
このまま後を追いかけて、神崎さんの所へ追い込む!
廊下の曲がり角を直角に曲がり階段を登り降り食らいつく
よし、そろそろ神崎さんのいる位置だ!
ペースを上げる!!
俺「うおーーーーーーーーーーーー!!」
しかし追いつかない、でもいい!この先の曲がり角には神崎さんが待ち伏せしてるはず!
よし、曲がった!
ずっどーーーーん!!がったーーーーーーん!!
と凄い勢いでコケた音が廊下に響く
え?大丈夫かな?人体模型生きてる?死んでない?
ペースを落として曲がり角に着くと床に転がる人体模型モドキと、足を押さえて蹲る神崎さんがいた
俺「えっと、大丈夫?」
蓮「ええ、思いの外速度が出てたみたいね。凄く痛い……」
俺「そっか、じゃあ俺が逃げないように取り押さえてくるよ」
人体模型モドキの格好をした誰かを腕を背中に回して拘束する
どうやら全身タイツに人体模型ようなパーツをくっつけたものだったようだ
近くでじっくり見れば確実に偽物だって分かるけど、離れて見たり素早く動かれたら本物と見分けにくい造りだ
とりあえず、顔を確認するか
見たことないな……誰だコイツ?
俺「神崎さん、コイツ誰か知ってる?」
蓮「その人は演劇部の三年生よ」
俺「足はもう大丈夫?」
蓮「ええ、痛みはもう引いたから」
俺「それはよかった。それで、なんで演劇部の三年がこんな格好で廊下を全力疾走してたんだろう……?」
蓮「本人に聞きましょ、もうその人気がついてるから」
俺「えっ?」
三年「チッ……バレてたか」
蓮「演技下手ね」
三年「まぁ、俺は役者じゃないしな」
蓮「裏方専門なのね」
三年「ああ」
俺「なんでこんな事したんすか?一年生怖がってましたよ?」
三年「そのためにやったからな」
俺「はぁ?なんのために……」
蓮「一年生が先輩の言うこと聞かないから、ですよね」
三年「……!?なんでそこまで知って!?まさかアイツバラしやがったな!」
蓮「いいえ、ただの推測です。そしてアイツっていうのは演劇部の部長さんですね?」
三年「……そうだ」
俺「こんな事しても効果ないんじゃないですか?」
三年「いや、効果大ありだったよ。休憩なんて言ってサボる事も無くなったし、疲れても途中で帰る奴もいなくなった」
俺「そんな事のために……」
三年「ウチの部活にとっては死活問題なんだよ」
蓮「でしょうね、文化祭の舞台がかかってるんだから」
俺「文化祭の舞台?」
蓮「ええ、ステージの使用時間は前年の集客で決まるの。前年の客入りが悪くて今年も悪いとなると、まともに演目をできなくなる」
三年「そうさ!なのに一年の奴らは全然やる気になりやしねぇ!このままじゃ演劇部がなくなっちまうってのに……」
俺「あ、もしかして先輩ですか?俺の机に不幸の手紙入れたの」
三年「はぁ?なんだそりゃ?今どき不幸の手紙なんてあるのか?」
俺「違うのか……じゃあ誰なんだろ……」
三年「んなことより、もう逃げねぇから手離せよ」
俺「あ、はい」
蓮「もうこんな事止めますか?」
三年「バレたら効果なくなるからな」
蓮「そう、それじゃ私達はこれ以上何も関わらない」
三年「いいのか?」
蓮「これ以上は演劇部の中の事だから、私達には関係ない」
俺「それもそうだな」
蓮「帰るわ」
俺「それじゃ先輩、さようなら!」
コレにて動く人体模型の怪談は一件落着!!
この後、演劇部の一年生は半分が退部して半分は精力的に活動するようになったとさ
めでたしめでたし!
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