3ー2 人体模型は動かない分俺よりマシ?

不幸の手紙を一日で2通ももらうという快挙を達成した俺は

放課後演劇部の部室に向かった


ここか

俺「すいませーん」

声をかけてから直ぐにドアが開く

蒼子?「はーい……見学です、か……ひっ!」

俺の事を確認すると直ぐに中に引っ込んでしまった

??「みどりーー?誰だったー?」

開いたままのドアから中を覗く

俺「こんちわー」

??「えっと、見学希望者かな?今日の演目は」

俺「あ、いえ、そうじゃなくて」

??「じゃあ何?」

俺「俺、山本大地っていいます。学校の怪談を調べてて」

??「山本って、吹奏楽部すいぶを壊滅させた?」

俺「いえ、壊滅はしてないと思いますけど」

??「それで?学校の怪談についてだっけ?」

俺「はい。最近噂になってると小耳に挟んだもので」

??「知らないな。悪いが練習中だ、見学以外で中に入れるわけにはいかない。帰ってくれ」

それだけ言うとドアを閉め鍵までかけられてしまった

うーん……?

こういう場合、何かしら隠してるってのが王道展開だよな

でも俺だけで調べるにはちょっと難しいかな……


明日、神崎さんに相談してみるかな








〜翌日〜


登校してすぐに神崎さんに声をかける

俺「神崎さん、おはよ」

蓮「……」

俺「神崎さん、おはよ!」

蓮「…………」

俺「神崎さん!おはよ!」

蓮「うるさい……シね」

俺「酷いっ!新しい七不思議の情報手に入れたのに……」

ムクリと起き上がった

蓮「…………で?」

俺「ああ、七不思議の内容はまだわかんないんだけど」

バタンと机に突っ伏す神崎さん

俺「あ!でも、演劇部がどんな七不思議か知ってるって!」

神崎さん、またムクリと起き上がる

蓮「そう……」

俺「だから放課後一緒に演劇部に行こう」

蓮「……わかった」

返事だけして、いつものようにまた眠りに入る


よし、これでまた神崎さんと行動できるな!





自分の席に着く

今日は手紙は入ってなかった

うん?飽きたのかな?

ま、いっか

早く放課後にならないかなぁ……





そして、時間は進み放課後になる


よしっ!神崎さんと調査だ!!

しかし、神崎さんはまだ机で寝ていた

また30分くらい寝てからなのかな……?

まぁ、30分くらい待てばいいか

それで起きなければ声をかければいいや


クラスメイト達が帰ったり部活に向かったりし、残っている生徒が数人になった頃

蒼子「すいませーん」

俺「あれ?蒼子ちゃん?」

蒼子「あ、山本先輩!よかった、まだ教室にいたんですね」

俺「ああ。それで、どうしたの?」

蒼子「はい。昨日先輩が追い返されたって姉さんから聞いて」

俺「ああ、うん。そうなんだよ」

蒼子「なので、今日は姉さんに直接話してもらおうと思って軽音部の所に来てもらってます!だから一緒に来てもらえますか?」

俺「話しが聞けるなら喜んで」

そんな会話をしてると背後から

蓮「その子、誰?」

俺「あ、神崎さん。この子は軽音部の蒼子ちゃん。今回の情報提供者だよ」

蓮「ずいぶんと懐かれてるね」

俺「そうかな?そんな事ないと思うけど……」

蓮「君と笑顔で会話するなんて……洗脳でもしたの?」

俺「してないよ!?てか出来ないからね?」

蓮「どーだか……」

蒼子「えっと、そちらの先輩は……?」

俺「音楽室のピアノの犯人を特定して捕まえる手筈も整えた神崎蓮さんだよ」

蒼子「え?それって」

俺「そう、加藤さん?を救ったのは本当は神崎さんなんだよ」

蒼子「そ、そうだったんですか!?えっと、加藤先輩を助けていただきありがとうございました!!」

蓮「……私は私のしたいようにしただけ、別に助けるつもりなんてなかった」

蒼子「……山本先輩と同じ事言うんですね」

ギロッと俺が睨まれる

俺「ははは、……そんな事より七不思議の話しが聞けるらしいから行こう」

蓮「いってらっしゃい」

俺「なっ!?一緒に行こうよ!演劇部の七不思議調べるんでしょ!?」

蓮「……私は演劇部に行く」

それだけ言うと神崎さんはカバンを持って演劇部に向かってしまった……

俺「そ、そんなぁ……」


俺は蒼子ちゃんと一緒に軽音楽部の部室に向かった



蒼子「ただいまー、連れてきたよー」

俺「お邪魔しまーす」

翠「ひっ!」

まだ怯えられてるのか……

美久「あ、先輩!あれ?一人ですか?」

俺「あ、ああ。神崎さんは演劇部に行くって……」

はぁ……せっかく一緒に調査できると思ったのにな……

??「ああ、君が山本くんだね。私が加藤 明美あけみ。助かったよー、音楽室に入ったの私じゃないって言っても吹奏楽部の人誰も信じてくれないんだもん」

俺「あ、ああ。災難だったな」

加藤さん、よくしゃべるなぁ

蒼子「翠姉さん!いい加減こっちきて自己紹介くらいしてください!」

翠「え……その……襲わない?」

俺「暴漢じゃあるまいし、襲うわけないだろ……」

蒼子「失礼ですよ!確かにどことなくヤバそうな雰囲気ですけど、襲ったりはしませんよ!ですよね?」

俺「……大丈夫、襲わないよ」

どうしよう笑顔が引き攣る……めっちゃコイツはたきたい

翠「じゃ、じゃあ……」

翠ちゃんは警戒しながらも近づいてきた


俺「それで、演劇部で流れる噂についてだけど」

翠「はい。演劇部の練習時間中に、見ちゃったんです」

俺「見たって何を?」

翠「人体模型……」

俺「人体模型?それなら理科室に置いてあるから」

翠「歩いてたんです!人気のない廊下を!」

俺「……え?」

翠「やっぱり信じられませんよね……」

俺「いや、信じられないとかじゃなくて……それはいつ見たんだ?」

翠「2週間くらい前です」

俺「一回だけ?」

翠「私は……でも1年生の部員の何人かも見てるんです」

俺「ふむ、目撃回数は何度かあるんだね。じゃあ見た時間や曜日に法則はあるかな?」

翠「いえ、みんなバラバラの時間と曜日でした」

俺「何か共通点とかない?何でもいいんだけど」

翠「えっと……んと……共通点と言うほどじゃないんですけど」

俺「何?」

翠「みんな部活の時に見たって言ってます」

俺「それは」

翠「当たり前、ですよね……だって部活の時以外に部室の方まで行かないですから」

俺「まぁ、そうだよな……えっと、今日は部活は?」

翠「やってます、私はお休みしました」

俺「わざわざごめんね」

翠「いえ!その、人体模型が怖くて……」

俺「そっか。なら早く正体を突き止めないとな。大丈夫!俺たちがすぐに解決するよ」

翠「え?」

俺「実は演劇部の方に行ってる…仲間がいるんだけど、彼女ならもう何か手がかり掴んでるかもしれない。俺より遥かに有能なんだ」

加藤「それって眠り姫?」

俺「眠り姫?なんだそりゃ?」

加藤「知らない?神崎さんのあだ名的なやつ」

俺「知らないな」

加藤「そっか。1年の頃もずっと眠ってて話しかけても何も反応がないから、眠り姫って呼ばれてたんだよ」

俺「そうなのか?初めて聞いたよ」

加藤「本人には言わないでね?多分嫌がるだろうから」

俺「ん?わかった」


とりあえず情報は手に入れた

後は神崎さんだけど、連絡手段が無いんだよなぁ

共有は明日でいっか


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