3ー1 人体模型と俺どっちがキモい?

今俺は大変困っている……


俺の机の中に一枚の手紙が入っていたのだ……


これはもしかして、ラブレター的な何かなんじゃないのか?

いやいやいや!ありえないだろ!俺にラブレターなんて何かの間違いだ!

そう、多分コレは呪い的なアレだ!読んだ人間に不幸をもたらす不幸の手紙!!

なら、そのまま読まずに捨てるのが正解か……

しかぁし!!気になる!差出人も宛名も無いこの手紙……一体何が書いてあるんだ……


A「とりあえず読んでみる」

B「一刻も速く捨てる」

C「見なかった事にして机の中に戻す」


……一番安全なのは、Cだな


よし、見なかった事にしよう

それよりも……

クラス内ではある噂が囁かれ始めていた

「吹奏楽部、大会参加出来ないらしい」「山本が吹奏楽部の部長をハメたらしい」「山本に関わると停学になる」などなど


なんで俺のせいになってるの!?

いや、確かに俺が窓閉めなければアイツは捕まらなかっただろうけどさ!

でも、そもそも音楽室に侵入してたアイツが悪いんじゃん!?


俺が噂してるグループに視線をやるとキモいだのウザいだのと好き勝手言ってくるし……


たまらず俺は教室を出る事にした

テキトーに廊下で時間を潰してから教室に戻ろう……

ぼーーーーっと歩いていると

角を曲がった所で一人の女子とぶつかった

女子「キャッ」

俺「うおっと」

二人して尻もちを付いて転ぶ


サッと立ち上がり手を差し伸べる

俺「ごめんごめん、大丈夫?」

女子「ひっ!」

怯えた様子で走って逃げていった……

あれぇーーー??

俺そんな怖い?いや、そんな事は……最近の噂のせいだろうか……

ま、まぁ……俺神崎さん一筋だし!関係ないネ!

……さて、教室戻るか……


教室に戻ると気まずそうな空気が充満していた

え?何?俺がいない数分間で何があったの?

事情を知ってそうな仁に聞いてみるか

俺「なぁ、仁」

仁「えっと……なにかな?」

俺「なんか空気おかしくないか?」

仁「あー、うん。そうかもね」

俺「何があったんだ?」

仁「その、君の机の中にさ」

俺「俺の?」

仁「手紙あったでしょ?」

俺「あ?ああ、誰から来たのか分からないアレか」

仁「読んだ?」

俺「いや、俺宛じゃない可能性もあったから読んでないな」

仁「そっか、間違いなくあの手紙は君宛だよ……」

俺「ん?差出人は仁なのか?」

仁「いいや、違うよ。なんでもいいからとりあえず読んでみなよ」

俺「……?分かった」

なんで仁が俺宛だって知ってるんだ?まぁ、仁だしな、俺の知らない情報を持ってても不思議じゃない

さてさて、手紙の差出人は誰だろうな

机の中から手紙を出し開く





山本 大地

お 前 は 今年中 に 死ぬ

死に たくな ければ 怪 談 の 調査を ヤ メ ロ








……えーっと?これはなんだ?

よく脅迫状とかに使われる雑誌や新聞の文字を切り抜いて張り合わせたやつ?

嫌がらせ?何の為に?というか俺が怪談を調べてるのってそんなに有名なの?

怪談を調べて怪文書貰うとか、新しいな


俺はこんな文章で引き下がるわけにはいかない!

だから、俺はこの手紙を送りつけてきたやつにこう返す

「だが断る!!」と


教室が騒がしくても一切起きる事無く熟睡してる俺のヒロインを攻略するまで止めるわけにはいかないんだ!!


さて、こんな手紙を送りつけてくのはどんな奴だろうな……

面倒だから犯人探しはしないけど、また送られてきても迷惑だな……


ま、今の所実害は無いし無視でいいな



さて、次の学校の怪談、七不思議はどこに行けば見つかるかな

ギャルゲならマップ内でイベント起きそうな場所の見当が付くんだけどな……

旧校舎、音楽室と来て、次は何処だろうなー

トイレとか体育館とか、その辺かな


よし、昼休みにでも噂探しに行くか!



〜昼休み〜

飯をササッと食べて教室を出る

まさか昼休みになっても変な空気のままだなんてな

居づらいったらねーな


さて、とりあえず校内一周するかな


歩く、歩く、歩く歩く歩く歩く歩く歩く……

全く見つからないな……


一周して戻ってきてしまった


時間はまだあるな

もう一周するか……


再び歩く、歩く、歩く歩く歩く歩く歩く

そして、出会った

廊下でぶつかった(そして逃げた)女子生徒

俺「あ」

女子「え」

俺「や、やあ、さっきはぶつかっちゃってごめんね。怪我はないかな?」

女子「えっと、新手のナンパですか?キモいです……近寄らないでください」

俺「え?えーっと……あれ?」

随分と雰囲気が違うな……こう、なんかツンケンしてなくてもっと大人しそうな子だったと思うんだけどな

もしかして人違い?

俺「ごめん、人違いだったみたいだ」

女子「ナンパで人違いとか……」

俺「いや、ナンパじゃないよ。君と似てる子にぶつかったんだけどちゃんと謝る前に逃げられちゃってね」

女子「あーー、それ多分姉です」

俺「姉?って姉妹?」

女子「ええ、双子の姉です」

俺「双子かぁ」

通りで似てるわけだ

女子「私は妹の蒼子あおこです。で姉はみどりです。先輩がぶつかったのは姉の方ですね」

俺「そっか。あ、俺は2年の」

蒼子「山本先輩ですよね」

俺「あれ?なんで?」

蒼子「有名人ですよ。学校のドア壊したり吹奏楽部を貶めたり」

俺「そ、そうか……」

ん?でも俺の顔まで知ってるのはなんでだ?行動と名前は知られてても……

まさか顔までどっかで晒されてるのか!?

俺「一つ訂正、別に吹奏楽部を貶めた覚えはないよ」

蒼子「知ってます」

俺「そうか、ならよかった」

蒼子「加藤先輩の濡れ衣を晴らしてくれてありがとうございました」

俺「加藤?」

蒼子「軽音楽部の」

俺「……あーー、もしかして音楽室のピアノの犯人扱いされてた?」

蒼子「そうです。先輩のおかげで疑いは晴れて無事学校に戻ってきてくれました!」

俺「いや、あれは俺のおかげってわけじゃなくて……」

ほとんど神崎さんの手柄というか

蒼子「何かお礼がしたくて」

俺「いや!いらないよ!やりたくてやった事だから」

蒼子「先輩が七不思議を探してるって聞いて、私も手がかりを探してみたんです!」

俺「七不思議の、手がかり?」

蒼子「はい!それで、友達に色々聞いてみたら演劇部の友達がそれらしい噂が最近流行ってるって言ってました」

俺「演劇部、か……」

蒼子「はい。今日も練習とかしてるらしいので聞きに行ってみたらどうですか?」

俺「ああ、ありがとう。行ってみるよ」

ちょうど昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った

蒼子「それじゃ先輩、ありがとうございました」

俺「こっちこそ情報ありがとう」



教室に戻ると俺の机の上に一枚の手紙が置いてあった

俺「またか……」



山本 大地

不幸 は お 前 のすぐ 近くに

やって 来て いる

七 不 思 議 から 手を 引け



はぁ……

手を引けだぁ?ふざけるな!俺は俺の人生ギャルゲ脳をかけて神崎蓮を攻略するんだ!

誰であろうと邪魔はさせねぇよ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る