2ー2 夜の音楽室から響くピアノ 拡散希望?

俺が漫研に着くと

そこには、誰もいなかった……

あっれーーー?


俺「まだ、誰も来てなかったのか?」

いや、そんな馬鹿な……


中に入ってみると机の上にメモが置いてあった


音楽室で待つ


えっと……えーっと……?

これって俺宛なのか?

だとしたら、俺は音楽室に向かわなければならない

しかし、俺に宛てたものじゃない場合無駄足なうえすれ違いになってしまう……

どうしたものか……


ぴん・ぽん・ぱん・ぽーん

校内放送か……まさか岡崎先生が俺を呼び出しか?

委員「2年A組山本大地さん、2年A組山本大地さん」

俺かっ!?

岡崎先生じゃなかったけど、いったいなんだ?

委員「至急音楽室に行ってください、繰り返します至急音楽室に行ってください」

俺「音楽室ぅ!?」

て事は……このメモ俺宛かぁーー!?

なら、なんで俺宛だって分かるようにしとかないんだよー!!

クズ先輩ーーーー!!


俺はクタクタな身体を再び動かし音楽室に向かう


音楽室はここから2ーAを挟んで反対側に位置していて、近くには理科室や家庭科室もある

因みに音楽室は1階の一番奥だ……

なんでよりによって反対側なんだよ!?

もう体力的にダッシュは出来ない

いや……歩いていこう!

至急って急げって意味だろうけど、廊下は走っちゃいけないからな!

校則を守って歩いて行こう!!



歩くこと20分、音楽室に到着する


俺「しつれーしまーす」

そっと重い扉を開けて中に入る

クズ「遅ーい!30分の遅刻だよ!」

俺「いやいや!漫研の部室に行ったら誰もいないし」

クズ「だから部室にメモ置いておいたでしょ?」

俺「俺宛ならそう書いといてくださいよ」

クズ「それじゃつまらないでしょ!」

俺「面白くもないでしょうが!」

クズ「……そうだね」

俺「…………(あんた)一体何がしたいんすか」

クズ「でも、事前に蓮チャンにはメッセ送っといたけど」

俺「聞いてませんよ?」

蓮「知らないと思わなかった……」

俺「というか、俺メッセ貰ってないんすけど!?」

クズ「まぁ、そうだろうね。だって君のアカ知らないし」

蓮「興味もないし」

俺「酷いっ!俺だけ仲間外れにするなんて!」

クズ「なら、君のアカ教えてよ」

俺「だが断る!」

クズ「なんでさ」

俺「できるだけクズ先輩と繋がりを持ちたくない!」

クズ「君も大概酷いよね」

俺「という訳で!神崎さん!アカ教えて!」

蓮「イヤ、絶対に」

倒置法!?

俺「なんで?」

蓮「眠いから」

俺「異議あり!その理由にはムリがある!」

蓮「じゃあ……キモいから」

俺「ムリは無いけど……よりいっそう傷ついた……」

|||orz

蓮「そんな事より、話し聞かせて」

クズ「ん、そうだなぁ。まずタイトルから!『戦慄! 夜の音楽室から聞こえるピアノの旋律!』」

俺「なんすか、そのつまんなそーなタイトル」

クズ「この学校の七不思議の一つで、軽音楽部や吹奏楽部に語り継がれた怪談だよ」

俺「七不思議……」

蓮「kwsk詳しく

ん!?なんか今神崎さんからおかしな音が!?

蓮「なに?」

俺「いや……気のせい、かな」

クズ「それで、この怪談なんだけど。不思議な事に最近復活したらしいんだよね」

俺「復活って?」

クズ「ここ一ヶ月くらいの間に広まったんだよ。で、調べてみたら昔から一定の周期で広まっては終息するってのを繰り返してるみたいなんだよ」

俺「そんな怪談ありですか?」

クズ「まぁ、実際あるんだから考えても無駄だよ」

蓮「その怪談が始まったのは一ヶ月前から、その頃といえば」

クズ「山本くんが停学くらったww」

イラッ☆

蓮「開かずの教室を開けた時期に一致する」

俺「そうだな」

蓮「そして停学……ぷっ」

笑った!?俺が停学くらった事ってそんな面白いか!?

俺「…………それで、詳しくはどういった怪談なんすか?」

クズ「まぁ、タイトル通り夜な夜な無人の音楽室からピアノ弾いてる音が聞こえるって話しだね」

俺「それだけ?」

クズ「そうだよ」

大したことなさそうだな……ほっといても終息するみたいだし

蓮「調べる……」

俺「本気?」

蓮「うん」

俺「そっか」

よっし!調べるぞ!滾ってきた!

クズ「それじゃ、一人だけ情報提供者を紹介しよう」

クズ先輩がスマホで誰かにメッセを送る

少しすると一人の女の子が音楽室に入ってきた

クズ「紹介するよ、軽音楽部の美久みくチャン」

美久「ど、どうも……」

クズ「で、こっちが山本でそっちが蓮チャン」

俺「よろしく」

蓮「……」


クズ「それじゃ、私はここで!次のイベントの締切近いんで!」

颯爽と去っていくクズ先輩

そして残された俺たち


気まずい……


美久「あのっ、先輩たちは七不思議を解決するプロだって聞いて!」

え?プロ?誰がそんな事を……まぁ十中八九クズ先輩だよな

美久ちゃんは直角になるほど頭をさげて

美久「お願いします!!解決してください!!じゃないと……」

俺「じゃないと?」

美久「軽音楽部が廃部に、なっちゃいます……」

廃部!?なんでそんな事に?

涙を堪え震えた声で切実に解決を望む

そんな後輩を前に断れるわけ……

蓮「私は別にプロじゃないよ」

美久「えっ?」

いや、確かにプロじゃないけど!ここは二つ返事でOK出すとこでしょ!?

蓮「ただ、七不思議が気になってるだけ」

美久「そう、ですか……」

ほら!いわんこっちゃない!すっっごく落胆してる!!

蓮「だから、お願いされたからとかじゃなくて……そう、勝手に調べるの」

美久「……勝手に?」

ん?何が違うんだ?と言うか、遠回しに引き受けるって事でいいんだよな?

蓮「そう、だからお願い。知ってる事を話してくれるかな?」

美久「…はいっ」

よかった……これで、神崎さんと一緒に行動できる!

それ即ち、お近づきになるチャンス!!


美久「えっと、まず何から話せば……」

俺「廃部って?なんでそんな事に?」

美久「それは、この七不思議の犯人が私達だって思われてるからです」

俺「犯人……?そんなのいるのか?」

蓮「犯人は幽霊おばけよ」

俺「そう、だよなぁ」

美久「私たちの事疑わないんですか?」

俺「犯人だったら俺たちに相談しようとしないだろ?」

蓮「それに犯人は幽霊、これは確定よ」

神崎さんって幽霊好きなのかな……?まさかほんとに幽霊信じてるわけないよな?

美久「幽霊、ですか?」

こくりと自信たっぷりに頷く神崎さん

美久「ふふっ、あ、ごめんなさい!」

どうやら、1年である美久ちゃんをリラックスさせるのが目的だったようだ

さすがは神崎蓮!さす蓮!

俺「それで、知ってる事教えてくれるかな」

美久「はい。まずピアノの噂が始まったのは一ヶ月前でした。それで、吹奏楽部の人が本当かどうか調べるために隠れて夜になるまで見張ってたらしいんです」

下校時刻を過ぎて校内にいたら怒られるからな……どこか隠れる場所があるなら後で聞き込みに行こう

美久「それで、8時過ぎになった所でピアノの音が聞こえたようなんです」

俺「でも、ここって防音だろ?中で鳴らして外に聞こえるのか?」

美久「それは」

蓮「窓、ね」

美久「っ!?はい!そうです!あの窓から音が漏れ聞こえたって」

俺「なるほどなぁ」

美久「それで、その時はそれだけ確認して帰ったらしいんです」

俺「軽音楽部は確認しに行ったのか?」

美久「いえ、吹奏楽部の人が絶対に行くなって……行けば先生にチクるって」

そりゃ酷い

まるで軽音楽部に知られたくないような事があるみたいな感じだな

美久「だから、私が知ってるのはこの位で……」

蓮「そう。参考になったわ。ありがと」


神崎さんはそれだけ言うと音楽室を出て行く

俺も神崎さんの後について音楽室を出る


俺「神崎さん?参考になったって?何か分かったの?」

蓮「いいえ。強いて言うなら犯人が分かった程度」

俺「犯人!?」

蓮「それじゃ、後は調べといてくれる?私もう眠くて……」

俺「調べるって何を!?というか犯人分かったなら教えてよ!」

蓮「はぁ……」

なんでそんな呆れたって反応なの!?

蓮「いい?一回しか言わないからよく聞きなさい」

俺「お、おう……」

なーんだ、教えてくれるんじゃん

蓮「自分で調べなさい」

俺「え?」

蓮「それじゃ、後の事は任せたわ。バイバイ」

教えてくれないんかーーい!!

くそぅ


いいさいいさ!俺にだって物知りな友人が一人いるし!そいつに聞くから!

見てろよ!俺が解決して、惚れさせてやるからな!

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