1ー4 開かずの教室 開放(物理)
翌日、神崎さんは教室で寝ていた
それにしても……いっつも寝てるなぁ
俺「神崎さん、開かずの教室について分かったことがあるんだけど」
蓮「そう……」
俺「それで、今日また一緒に」
蓮「むり……眠い……ーーーーー」
神崎さんは話の途中にも関わらず寝てしまった
しょうがないな……また後で声かけてみよう
午前中の授業の殆どを寝て過ごす神崎さん
勿論休み時間の寝ている
声をかけるタイミングを掴めなくてなかなか話の続きができない
昼休みになった
流石に昼休みは起きて飯食べるだろう
……………寝てるな
まさか何も食わないつもりなのか!?
これはもう起こしに行くしかないな……飯食わないなんて健康に悪い!
俺「神崎さん」
蓮「んあ……?誰?」
俺「俺だよ」
蓮「オレオレ詐欺?」
俺「違う!山本だよ!や!ま!も!と!」
蓮「よ・や・ま・も?」
俺「いい加減起きてくれ……大事な話しがある」
蓮「ごめんなさい……あなたとは付き合えないわ」
俺「告白じゃないよ!?」
蓮「……なにか用?」
俺「開かずの教室について話しがあるから……そうだな、屋上の方で話そう」
蓮「むり」
俺「なんで?」
蓮「……………………………………眠い…から」
溜めておいて眠いだけかよ!?
俺「ならここでいいや。とりあえず聞いてくれ」
蓮「うん……おやすみ……」
俺「寝ないで!起きて!俺の話を聞けーーー!」
蓮「はぁ……」
俺「聞いてくれる気になったか?」
蓮「だって……五月蝿くて眠れない」
俺「まぁなんだっていいや。じゃ、まずは新事実から説明する」
蓮「シンジくん?」
俺「実は俺のことからかって楽しんでるだろ?」
蓮「……ん?」
小首傾げて上目遣い、だとっ!?
くっそ!あざと可愛いじゃねぇかっ!!
俺「まずは、開かずの教室は結構長いこと語り継がれた怪談らしい。怪談として語られてる要因は昔女生徒があの教室から飛び降り自殺をしたらしい。そしてもう一つ」
蓮「らしいばっかりね……つまらないわ」
俺「うっ……仕方ないだろ。昨日判明した事ばっかりで確かめる時間なかったんだ」
蓮「……使えない」
俺「でも一つだけ、分かった事がある」
蓮「確かなの?」
俺「ああ、確かだ。司書のおじさんは開かずの教室について何か知ってる!」
蓮「はぁ、本人が知らないって言ってるのに何を根拠に?」
俺「開かずの教室の前で合ったんだよ」
蓮「何かの見回りとかじゃないの」
俺「いや、俺が何か知ってるか聞いたけど自分で調べろって」
蓮「そう……作り話にしては面白みにかける。30点」
俺「いやいやいや!作り話じゃなくて!ほんとに」
蓮「見苦しい……」
俺「俺とおじさん、どっちを信じるんだよ!」
蓮「おじさん」
即答!?
俺「な、なんで」
蓮「山本君とは最近知り合ってしまった、ばっかりだから」
俺「しまったって……知り合いたくなかった様に聞こえるんだけど!?」
蓮「え?」
俺「今のえ?はどういう意味!?まさか本当に知り合いたくなかったと!?そういう事なのか!?」
蓮「私の口からこれ以上は……」
俺「もう十分伝わったよ!言外に!」
蓮「そう?それは何より」
俺「ホッとしないで!?傷つくから!?少しでいいから否定してくれよ!」
蓮「…………むり」
俺「また眠いから?眠いと人を傷つけるの!?」
蓮「そうじゃなの…自分の気持ちに嘘はつけないから」
俺「何それっぽい事言ってんの!?それ傷口に塩を塗り込んだだけだから!!」
蓮「それで……話しは終わり?もう寝ていい?」
俺「最後に一つだけ」
蓮「……なに?」
俺「もう学校の七不思議に興味ないのか?」
蓮「……そうね」
どこか躊躇いながらの一言
それは神崎蓮がまだ学校の七不思議に興味を持ってる事を証明していた
俺「今日の放課後も俺は開かずの教室に行ってドアが開かないか調べてみる……気が向いたら手伝ってくれ」
昼飯を食って机に突っ伏す
なんでだ?休んでる間に何かあったのか?
でも聞いて答えてくれるわけないよな
圧倒的に好感度が足りてない
秘密を教えてもらうにはもっと好感度を上げないと
でも今まで好感度が上がったイベントは無し
脳内選択肢はアテにならないしな
こんな時、物語の主人公ならどうする?
わっかんねぇ……
だって俺主人公じゃないもんな……
どうせクラスの中にいる大多数のモブにすぎない
諦めるか
神崎さんの興味を引くモノを1から探すか?
……
…………
………………
いや!いいや!それは駄目だ!その選択は無しだ!
少なくともこの怪談の解明はしないと!
じゃないと…じゃないと……
かっこ悪い!!!
俺はモブかもしれない!でも!モブだろうと、かっこ悪いのはイヤだ!
かっこ悪いモブとか救いが無い!
俺は主人公ではないけど……それでもっ……
俺は……俺は、神崎蓮を
俺のギャルゲ脳とラノベ主人公の知識にかけて!!!
俺「ふふふっふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
仁(うわぁ……とうとう山本のやつイカれたか……)
ありのまま今起こった事を話すぜ
気がついたら放課後になっていたんだ
何を言ってるか分からないだろうけど俺にも分からない
俺「さて、行くか」
神崎さんはまだ机に突っ伏して寝ている
俺は一人で開かずの教室へ向かう
と、その前に漫研の部室に顔を出す
クズ「いらっしゃい。可愛い子揃ってるよー」
俺「間に合ってます」
クズ「そっかー、残念。それで?今日はどうしたの?」
俺「鍵返そうと思って」
クズ「え?もういいの?てか開いたの?」
俺「いえ、まだ開いてません。でも解錠しても開かなかったので」
クズ「まぁ、そんな簡単には開かないか」
俺「いえ、一つ開ける方法が思いついたので試しに行ってきます」
クズ「どんな方法?」
俺「後でわかりますよ、ネタバレはよくないです」
クズ「確かに、ネタバレはよくなにね」
俺「それと……先輩に頼みがあります」
クズ「ん?なにかな?」
俺「俺があの教室を開けた後、代わりに中を調べてほしいんです」
クズ「自分で調べないのかい?」
俺「できるだけ自分で調べたいんですけど、難しいかもしれないので」
クズ「そう……わかった。君が調べられない時は代わりに調べてあげるよ」
俺「何か分かったら2年A組の神崎さんに伝えて貰っていいですか?」
クズ「いいよ」
俺「それじゃ、行ってきます」
クズ「ああ、健闘を祈る」
俺は準備室に向かう
おそらく、あの人はどこかで隠れて俺の事を監視してる
隣の教室にいるのか、カメラでも仕掛けて遠距離で見てるのか
でも、関係ない
俺の選択肢には
A「やってやる」
B「やってやる」
C「やってやる」
それしか無い!!
回避不能のイベント上等!
さて、待ってろよ!開かずの教室!!今開けてやるからな!!
三階に上がると……
司書のおじさんが廊下で仁王立ちで待っていた……
くそ、直接妨害するつもりか
俺「そこ、通してくれませんか?」
司書「それは出来ないよ」
俺「なんでですか?」
司書「君があの部屋を開けようとしてるから、だね」
俺「なんでそこまでして開かずの教室を守るんですか!?」
司書「知りたければ私を倒して聞き出せばいい」
司書のおじさんが格闘技のような構えをとった
くそっ!
おそらくおじさんは格闘技の経験者だ
方や俺はインドア趣味全開の二次元オタク……勝てる要素が何もねぇ!
ダッシュで横をすり抜けて……駄目だ
背後から取り押さえられたら抵抗出来ない……
どうすれば……多分日を改めても無駄だろう
打つ手無しか……
「何してるの?」
俺「今作戦考えてるから話しかけるなら後にしてくれ」
「作戦ねぇ、何か良い方法思いつきそう?」
くそっ、誰だよ!?今作戦考えるので忙しんだよ!
俺「いや、だから今その作戦を考えて……えっ!?神崎さん!?」
蓮「おはよ」
俺「なんでここに!?」
蓮「手伝ってくれて言ってたから」
俺「そっか」
司書「蓮ちゃん、諦めなよ。そいつじゃ私には勝てないよ」
蓮「そうですね。彼は私より弱そうですからね」
俺「酷いっ!」
司書「蓮ちゃん、入学以来私に付きまとった結果、何か掴めたかね?」
蓮「いえ、何も……でも」
司書「でも、なんだね?まさか、そこの貧弱な男がどうにかできると思ってるのかな?」
蓮「…………」
くそっ、考えろ!今の俺にできる事は何だ?
司書のおじさんを突破する攻撃力……ない
なら防御力は……ないな
あのおじさんに勝てるとしたら速度だけだろう
いくら強くても動体視力は年齢と共に衰えてるはず……
でも全力ダッシュは長くは持たない
くそくそくそくそくそ!
何も打開策が思いつかず焦る
そんな俺を神崎さんが見つめていた
綺麗な瞳だ
ってそんな場合じゃない
この場での力関係は……?
俺が最弱……おじさんと神崎さんだとやっぱりおじさんの方が強いか
おじさん>神崎さん>俺
って事か
俺「神崎さん」
蓮「なに?」
俺「おじさんの相手できる?」
蓮「それ女子にさせる事?」
俺「だって神崎さん俺より強いんでしょ?」
蓮「……そんなに長くは無理」
俺「分かってる。それじゃ、1・2の3で行くよ」
うなずいて同意を確認する
俺「1・2の、3っ!」
二人で飛び出して神崎さんはおじさんに突っ込む
司書「蓮ちゃんに私の相手をさせるのか!?それでも君は男か!?」
うっせ!差別いくない!
俺はおじさんの横をすり抜ける
そのまま全力ダッシュで突き当りまで走り込む
着いた!!
そして思いっきりドアに体当たりする!!
ドンッ!と大きな音がするがドアは開かない
くそっ!もう一回!
そりゃああああぁぁぁぁあ!!!
ドンッ!!とさっきより強くドアにぶつかる
いってぇーーー!
ドアは!?
ギシギシと音を立ててドアは部屋の中に向かって倒れた!
よっし!!
神崎さんとおじさんは!?
二人とも怪我もなく無事なようだ
よかった
おじさんは力なく座りこんでしまった
意外と大きな音が部室棟に響いてしまったようで何部かの顧問の先生が慌てて様子を見に来た
そして、俺は学校のドアを壊したため職員室に連行された
その後一週間の停学が決まった
退学にならなくて良かった……
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