1ー2 開かずの教室 解錠の時

教室に戻り放課後まで待つ


キーンコーンカーンコーン

教師「よし、今日はここまで。このまま帰りのホームルーム始めっぞー」



教師「連絡事項は以上。何かあるか?無いな。それじゃ解散」


ガタっと勢いよく立ち上がる

そして神崎さんの席に向かう


蓮「なに?」

俺「神崎さんは『開かずの教室』って知ってる?」

蓮「よくある学校の怪談でしょ」

俺「実はこの学校にもあるんだ。七不思議の一つなんだけどさ!」

蓮「ふーん……そうなんだ」

神崎さんは興味ありそうな表情をする

お?これは……

俺「これから調べに行くんだけど、一緒にどうかな?」

蓮「眠いからイヤ」

俺「そ、そうか……」

仕方ない、一人で行くか……

蓮「後三十分寝たら行くかも」

俺「…っ!?じゃ、じゃあ待ってるから一緒に行こう!」

蓮「ん……おやすみ」

神崎さんはそれだけ言うとまた机に突っ伏した



自分の席に戻り小さくガッツポーズをする

よしっ!よしっよしっよしっ!!

よっしゃあぁぁぁ!!

一歩前進DA!


一瞬クラス内がザワついたがすぐに放課後特有の喧騒に包まれる



落ち着け、俺!落ち着けえぇぇ!

So,Stay Cool

ソーステイクール

ソース亭来ーる

ソース亭ってなんだよ!?


よし、落ち着いたな……




三十分か……とりあえず何もせず待つか

カチカチカチ

秒針の音が静かな教室にこだまする


チラっと神崎さんの方を見る

スヤスヤと眠っている

呼吸で規則的に上下する肩


なんと言うか、あの光景は幻だったんじゃないかって思えてきた……




三十分寝る発言から丁度三十分経った時ムクリと神崎さんが体を起こす

俺「あ、起きた」

蓮「……ふぅ」

俺「……」

蓮「あと5分……」

そう言ってまた寝てしまった……


まさかの二度寝!?



そして5分後また上体を起こす

蓮「……あと10分」

俺「いやいやいや!増えてる!起きて!神崎さん!」

蓮「……しょうがないなぁ」

神崎さんはノロノロと席を立つ

実はもう起きてて俺のことからかってた……とか?

まさか、な


俺「それじゃ、行こうか」

蓮「旧校舎だっけ?遠いなぁ」

俺「いや、そんな言うほど遠くはないよ?」

蓮「じゃあおぶって連れてってよ」

おぶって連れて行く、だと……そんな力、俺には……


A「いや、俺非力だから無理だよ」

B「任せろ!さぁ俺の背中に乗って!」

C「何言ってんだよ?行くぞ」


実際はAだ。俺にそんな力はない……しかし明らかに好感度が下がる

じゃあCか?いや、これも好感度が下がる可能性が高い……もっと仲良くなってから選ぶべき選択肢だ

なら……ここは漢を見せろ!

俺「任せろ!さぁ俺の背中に乗って!」

蓮「うわぁ……キモ……」

なんでだ!?

俺「なんで……」

蓮「私の身体に触りたいからってガッツキ過ぎ、マジキモい」

俺「そんなつもりはっ」

蓮「そう…私の身体は触りたくなる程の魅力無いのね。悲しいわ」

俺「いや、そんな事はっ」

蓮「変態……」

くそう!何でそうなる!?

神崎さんはスタスタと歩いて教室を出て行く

蓮「行かないの?」

俺「今行く!」

くそ、このミスはちゃんと挽回しないと

この後の調査で挽回できるだろうか……





その後何事もなく旧校舎に到着する

蓮「それで、何処?」

俺「ああ、三階の一番奥の教室だよ」

蓮「そう」

それだけ聞いて階段を登っていく

俺も後を追いかけて階段を登る


二階にはヤツクズがいる可能性が高い

いないことを願うしかないが……


二階に上がるが、そこにクズ先輩の姿はなかった

俺「ラッキー」

蓮「……変態っ!」

俺「何が!?」

蓮「私のスカートの中見たでしょ!」

俺「見てない!」

蓮「嘘だっ!!」

目が怖いっ!!

俺「いや、本当に見てないって!」

蓮「じゃあなんでラッキーって言ったの?見たんでしょ?正直に言いなさい!」

俺「いや、ラッキーって言ったのはクズ先輩がいないからで」

蓮「はぁ?」

めっちゃ威圧されてる!?てか信じてもらえてない!?

俺「クズ先輩って凄く面倒くさくて厄介な人だから!その人が丁度いなくてラッキーだなって!」

クズ「ほほーう。そりゃ、聞き捨てならないなぁ」

俺「ひっ!?どっから湧いた!?」

いきなり背後にクズ先輩が現れた!?

クズ「酷いなぁ、まるで虫みたいな反応するなんて」

俺「いつの間に俺の背後にいた!」

クズ「君があの可愛い子のスカートを覗いたあたりから」

俺「覗いてない!冤罪だ!」

蓮「やっぱり……変態……」

神崎さんはスカートを押さえて三階に逃げて行った


流石に俺もキレるよ!タメ口で!

俺「テメー!いい加減にしろよ!俺の邪魔ばっかりしやがって!!」

クズ先輩はニタニタ笑いながら真面目に聞いていない

クズ「まさか、あの可愛い子を手篭めにするつもりで開かずの教室を使うだなんて……クズだね!」

俺「ちげーーーーーー!!」

クズ「もう、ヤルなら一言言ってからにしてよね?隠しカメラとか準備するから!」

俺「そんなつもりは無い!!!!予定も無い!!!!」

はぁはぁはぁはぁはぁ……

クズ「そんなハァハァして……まるで獣だね!」

俺「もう関わってくんな!マジで!」

クズ「それより良いの?一人で行かせちゃって」

俺「お前のせいだろーがっ!!」

クソおおお!!

階段をダッシュで上り神崎さんを追いかける



準備室の前で待つ神崎さんはまだご立腹のようだ

蓮「遅い」

俺「ご、ごめん」

蓮「さっきの人、なんなの?」

俺「俺が前入ってた漫研の部長」

蓮「ふーん」

俺「そんな事より!ここが開かずの教室こと準備室だな」

蓮「鍵がかかってるだけだったら怒るよ?」

俺「……さーて、鍵開けてみようぜ!」

鍵穴に鍵を挿入りひねる

カチャっと音がして鍵が開いた音がする


恐る恐るドアに手をかけ力を入れる

ガタっ

あ、開かない!

俺「……な?開かないだろ?」

蓮「そうね」

神崎さんも何度かドアを動かそうとするもビクともしない


蓮「開かないわね……」

俺「ああ」

蓮「この教室って何か呪われたりしてるの?」

俺「さぁ?どうなんだろ?」

蓮「使えないわね」

俺「酷い……」

蓮「調べてみない?」

俺「え?」

蓮「この教室が開かない理由を」

調べる?そんな事……


A「いや、止めとこう。呪われたら大変だ」

B「よし、調べよう!」


この場合の選択は一つ


俺「よし、調べよう」

蓮「じゃあまずは図書室に行きましょ」

神崎さんはスタスタと図書室に向かう


神崎さん……何がそこまで君を駆り立てるんだ?

学校の七不思議にそこまで魅力があるのか?

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