第五章の2

 野田夫妻が襲われた。草太が連絡して寄こした。

「ぼくは、犯人に強引に連れ出されたのですが、中藤君が来て助けられました」

「犯人の顔はみたな」

「はい、ぼくをゴルフ場の林で襲ったヤツラです。肥満したやつは父に足を撃たれていました。小兵の男。痩せていて背の高いオールバックは大野のおじさんがいうように、ふたりに高瀬さんと呼ばれていました」

 バカ。名前を言うなとチビ男を松尾は叱咤していた。

 それだけ聞けばじゅうぶんだった。野田が在職中に扱った事案でその名をPCで調べた。栃木県警にはなかったが、兵庫県警のファイルでヒットした。

 西宮の暴力団『山川』組のヒットマンだった。

 高瀬兵馬。仲間内では松尾でとおっていた。陸上自衛隊出身。部隊内の射撃大会で優勝。品川駅の階段で女学生の盗写、山手線ないでの痴漢行為で除隊。ただし本人はそれらの行為を最後まで認めていなかった。

射撃の腕を買われて暴力団に堕ちたのだろう。それにしても、ヤバイ男にJr.は狙われている。


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