真夜中の光

カチャ、カチャ、ゴトン、ズル、ズルズル、、


何かの金属と、それを引きずる音が静かに響く、何だろう?

ボクは米などを蓄える小さな小屋で目が覚めた。


薄く目を開けてみると、奥の方で誰かがモゾモゾ動いている。よく見てみるとジジだった。


ジジは今日桃太郎が持って帰ってきた宝の中から何やら鎧などを探し荷車に載せていた。1番不思議に感じたのは、ジジがヨボヨボのフラフラではなく、テキパキと、それも青年のように背筋をピンと立て、荷物をまとめていた。


そして、しばらく見ているとジジは鎧などが詰まった荷車を軽々引きながら外へ出て行った。

ボクはすぐに起き、家にいる桃太郎を起こしジジを追うことにした。


ジジを静かに追いながらボクの感じた違和感をすべて桃太郎に話した。半信半疑に聞いていたと思うが、桃太郎は否定せず、ただうなずいていた。山奥に向かうジジをしばらくつけていくと、ある小高い丘の上で止まった。


すると、突然真っ暗な空が「ピカッ」と光り、まるで太陽のような眩い閃光が降り注ぎジジの荷台を覆った。ボクにはジジが誰かに連れ去られたのかと思った。


眩しい光で目を開けるのも厳しい中、同じように光の中に包まれるジジを見て木陰から桃太郎が勢いよく飛び出した。


「ジジーーーっ!!!」


と、叫びながら光の方へ走り寄ると、今まで輝いていた光の帯は収束し、消えた。また暗い夜空に戻り、今度はボゥっと荷台の上空に人らしきモノが浮かんでいる。そう認識した刹那、浮かんでいる人の手元がキラッと光った瞬間、桃太郎は光の輪でグルグル巻きに拘束され、その場に倒れた。


「ぐぅ・・・、ジジ・・、」

光の縛りがキツイのか、悶絶するような声でつぶやいていた。


上空に浮かんでいた人は、ふわりと地面に降りた。目を凝らしてみると背が高く、髪はない。目の付近には細く、シャープな鎧のようなモノがハマっている。目は見えない。口元はマスクのようなもので覆われており口元も見えない。体は真っ黒いマントで覆われており、風になびくヒラヒラとした動きが今でも少し浮いているようにも見えた。

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