第64話 毒蛇蛙(Doctor)
『
「フフフ…久しぶりね、
ニコッと笑う顔は見た目の年相応の少女のようだ。
「良いわけないでしょ…見たくもない顔も見てるし…」
ゼェゼェと息を荒げている
その腕は甲羅ごと砕かれダラリと下がったまま動かせないようだ。
それでもヨロヨロと立ち上がる。
前のめりに倒れるように状態が傾いたまま、やっと立った
弾かれるように状態が跳ね起き、今度は仰け反り、
(化け物が…)
意識が途切れる間際に視界に入ったのは
頭を踏み抜かれ頭部から大量に出血している。
よく見えないが、機械化した足も、ひしゃげ、満足に動けそうもない。
意識があるのか無いのかすら解らないが、倒れたままピクリとも動かない。
(ユキだったな…なにが頼れだ、頼れるようなヤツでもない…なかったな…ホントにオマエの言うことはアテにならない…よ…
「やはりデカンなど出来損ないか…」
『
「トドメは差しておくか…」
『
『
デカンの中で、この
自分に従順なのか、反抗的なのか、それすら解らない。
酷く扱いにくい駒、チェスの盤に将棋の駒を配置してプレイしているような時に便利で、時に自分の首を絞める不自由さを感じていた。
そして最後には、自分に牙を向けたのだ。
自分が与えてやった『牙』失ったはずの足を、自分に向けてきた。
「馬はペットに出来ないか…」
倒れたままの
仰け反ったように上体が持ち上がり血まみれの顔、その目は虚ろに開かれてはいるが、意識は無いようだ。
「かぁぁ…」
口から空気が漏れるような呻きがか細く聞こえる。
「がぁ…あっ…」
「ん? 何を言ってるの?」
少し屈むように、
「バカが!!」
ヴァリニャーノがガバッと『
「押せ!! ビクニ!!」
『ナタク』と交戦中のビクニに
「クッ…このタイミングで…」
『ナタク』の蹴りを交差させた小太刀で受け、後方へ大きく飛び退きスーツの内ポケットから小さなスイッチを取り出しボタンを押す。
意識があると気付き、
「こういう場に着物でやってくるアンタが嫌いなのさ」
ただでさえ動きを制限される着物の不自由さが仇となって『
「クソがーー」
『
その瞬間、
規模こそ小規模な威力ではあるが、ロビーを滅茶苦茶にするのは充分な威力だ。
黒煙から庭へ飛び出したのはビクニ
(誰が出てくる…)
ロビーで生きている消火設備が煙と火を沈下すると、そこに立っていたのは『
ほとんど裸に近い状態だ。
ススと血に塗れた白い腕を顔にあてグイッと拭う。
「許さんぞ…」
左目がピクピクと怒りでヒクついている。
少し離れた所では夜叉丸がユキを庇うように身体を丸めていた。
(ユキは無事か?)
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