第59話 素悩(Snow)
「
「あ~まぁ…そうなんだけど…色々、眠っている間に事情が変わったようだね~躾の悪い飼い犬も白から黒に変わったしね」
「躾がなってないのは、犬だけじゃないわね…あのガキも相当に躾が悪い」
チラッと
「私が躾けたわけじゃないわよ…」
「躾けないから…あ~なったんじゃないの?」
「助けに来てくれたんじゃないの? 責められている気がするわ…」
ビクニが
「まぁ…躾の問題は、後で考えるわ…とりあえず、あの子を椅子に座らせることから手伝ってちょうだい!!」
ビクニが小太刀を逆手に持ち替えて、ユキに再び突っ込んでいく。
「あの人は、懲りないというか…なんというか…」
「顔に似合わず、戦い方は凶悪なのよね…あの女は…」
「
「ん? なんかね…まぁ、結局、動かさないとさ、慣れないんだよね…リハビリ感覚で充分かな、犬を躾ける程度ならさ」
「機械式の足ね~、アテにしていいのかしら?」
「馬の脚よりは、マシなんじゃない、見た目は…」
「ソレに、あの大型犬は、簡単に躾けられる気性じゃないわよ」
「うん…そうだね…だから全力でいくのさ!!」
「ギャンッ」
息を上げている夜叉丸が再び叫び声をあげる。
その大きく開いた口に、両手の拳を肘まで突っ込んで夜叉丸の動きを止める
「甲羅に覆われた、この腕、噛み千切れるものならやってみな」
「よく動くみたいね、その足」
「あぁ、さすがARKのサイボーグ技術ってとこだね、NOAもARKも、
「もとは医療技術目的なんだけどね」
「まぁ、電子レンジと水爆にも共通の技術はあるようだしさ…」
「そうね、電子レンジよりは、今は心強いわ」
口に突っ込んだ両手を外されないように、夜叉丸の口を内側から上下に広げて、持ち上がった夜叉丸の半身目掛けて、
まだ、フラフラとガスの影響を受けているユキ、霞む視界の先で夜叉丸の姿を捉えた。
「クソッ…戻れ」
夜叉丸を不可視に、そして質量を奪い透過させ、逃がそうとしたユキに
「させないために、私がいるのよ…」
ユキの視界に飛び込んできたビクニの小太刀がユキの両手を深く斬った。
「ガッ…」
「まずは手足の自由を奪わせてもらうわよ、ユキ」
止まらないまま、身体をクルッと回転させ、今度は両足を斬りにいく
たまらず、後方に飛び退くユキ、それでも小太刀はユキの太ももをかすめる。
「汚い血を抜いて…またしばらく眠りなさいユキ!!」
「また?だと」
「良い子になって目覚めたら、全部、話してあげるわ、だから大人しく手足を差し出せ!!」
先手を取られたユキは防戦一方、夜叉丸も攻守に分担された
それでも自由になる前足で、マルティノのスーツは裂け、所々、肌が露出している。
剥き出しの肌はもちろん、甲羅に覆われた部分も、砕かれ、裂かれつつある。
(そう長くはもたないな…)
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