第16話 暗脚(アンギャ)
「メスキータが鹵獲された…」
多国籍企業NOA《ノア》兵器・医薬品を主力部門におく大企業、その会議室ではデカンのメンバーが招集されていた。
『
細身の女性でくせ毛のショートヘアを弄っている。
『
ガタイの良い大男2mを超す長身、血管が浮き出る太い腕を胸の前で組んで不機嫌そうに丸テーブルの正面で涼しげな顔をして座る『
『
『
『
『
『
「さて…もう一度言うが…メスキータがARKに鹵獲されたのじゃ」
「奴は偵察が任務だったはずだが…鹵獲ってのは少しおかしくないか?」
背を向けたままロヨラが問いかける。
「奥歯に物を挟めないでよ、ハッキリ言ってくれない?何があったのよ?」
マンショが興味無さそうな素振りで問う。
「ふむ…メスキータは確かに偵察が任務であった…いつものように、それが何故か…ヤツは駆除班に対し攻撃を仕掛け…結果、鹵獲されたのじゃ」
「何故か…ね…」
ドラードがチラッとヴァリニャーノに視線を移した。
ドンッ!!
机を叩いて立ち上がったミゲルが声を荒げた。
「遠まわしな会話は止めろ!! ヴァリニャーノ、オマエから説明しろ!!」
全員の視線が涼しげに笑っていたヴァリニャーノに向けられる。
「なんで僕が?」
「そりゃオマエ、オマエが手引きしたからじゃないのか?」
ドラードが楽しそうに答えた。
「手引き? 僕がARKの駆除班に? 何で? 僕に得の無い話しだね…何の意味があって」
「ARKにじゃねぇ!! オマエ、
ミゲルがヴァリニャーノを睨みつけながら問いただす。
「公表? 世間にかい?」
スーツの裾をスッと上げて自分の馬の足を見て笑うヴァリニャーノ。
「あまり見せたくはないな~」
ヘラッと笑うヴァリニャーノ。
「よせ!! ミゲル」
ヌーノが殴りかかろうとしたミゲルを制止した。
「今、大事なのは、死体になったとはいえ…ピスケスがARKの手中に落ちたという事実と…デカンの精製方法を知られるという結果…妖戒を我々NOAが如何様に活用しているかということを推測する機会与えてしまったという事実じゃ」
「何をしようとしているのさ…NOAは?」
それまで独りでニタニタ喋っていたジュリアンが急に真面目な顔でヌーノに聞いた。
「ホホホ…NOAの目的は昔から変わっとらん…変わりゆく環境に左右されない進化した人類のみで構成された少数の世界…箱舟に乗せるための選民こそ、その使命」
「
ドラードがギリッと歯ぎしりして苛立ちを見せた。
「すべては『
ヌーノが苛立ちを、なだめるようにドラードに話す。
「そのミコトは?」
「この件に関しては関与しなくていいそうだよ」
ヴァリニャーノが軽い口調で話す。
「貴様!! 何を吹きこんだ?」
納得がいかないといって再び前のめりになったミゲルをロヨラが無言で制した。
「あくまで命の意思だよ…僕ごときが何を?」
ヴァリニャーノはスッと席を立ち会議室を後にした。
(お姫様の人形遊びさ…全てはね…)
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