ラストシーンに泣きました。中華ファンタジー、もともと好きですが、それにしても、この作者の書かれる物語には、その時代の空気があります。項羽と劉邦の時代。それは戦いにあけくれた日々、そのなかで、ひそかに愛をはぐくむ季布の男気。とても良い物語でした。
虞姫別伝は項羽側、残2作は劉邦側から描かれており、共に主人公は項羽なり劉邦ではありません。言ってみれば、脇役を主人公に据えた外伝物。個人的にも好きなアプローチです。大きくは史実に従いつつ、肝心な点は作者独自の設定となってます。タイトルでバラしている通り、張良は女性。本作品に登場する虞姫の行末もアレンジされてます。この変化球こそが作者の個性ですね。短編にはMAX2つの信条なんですが、星3つ付けました。