アンデッド特効が通じない!?

「ジンギ、剛毅ビシャモン!」

 オレはジンギを使う。

 両手にシールドを張って、殴りかかった。


 相手の方も、金属製のシールドで受け止める。

 反撃で、盾を持つ手の方で殴ってきた。


「オレと同じ技を使いやがる!」


 お互い、盾による連続パンチの応酬となる。


 このヤロウ、ドラゴンゾンビとスケルトン姫を足してもまだ強い。


 様々な敵と渡り合って、オレもレベルアップしている。


 だが、ジャガンナートはそれ以上だ。


 殺気がないのが実に不気味だ。

 まるで、指示されて動いているような。


 できれば二人には先攻してもらいたいが、ジャガンナートが目を光らせている。


「不浄なるモノよ、フェルダの名の下に安らかなる眠りを!」

 セェレが仕掛けた。

 アンデッド特攻を持つ聖女が、モーニングスターを叩き込む。


 だが、シールドに軽く弾かれてしまった。


「どうして!?」

 モーニングスターを戻し、セェレは防御の姿勢に入る。


 今度は、ジャガンナートが反撃してきた。

 シールドで殴りかかる。


 セェレが飛び退いた。

 後ろにあった壁が砕け散る。 


「アンデッドじゃ、ない?」

 そうカミュは言うが、違うだろう。


 ジャガンナートは、魂だけの存在だ。アンデッドのはず。

 でも、ならどうして、セェレの攻撃が通じない?


「こいつも、弱点を消しているのか?」

「いや。鎧全体に意思があるわけじゃない。おそらく、コアがあるんだ」


 だったら、セェレに攻撃してもらえば、コアってヤツを予測できるかも。


「セェレ、もう一回鉄球を投げつけてくれ。アタリを付ける!」


「分かった」


 セェレの鉄球が、複雑な軌道を描く。

 攻撃するのではない。弱点を探り当てるため。


「あった、中央の宝石!」


 鎧の胸部にある、赤い宝玉を鉄球が狙う。


 盾を構え、ジャガンナートが胸部を庇った。


 だが、弱点を攻撃する手段は、もう一つあるんだ。


「ジンギ、隠者レフトアローン!」

 カミュがジンギを発動させる。


 両腕に金属シールドを展開し、ジャガンナートがカミュを押し潰そうとした。


「させるか!」

 こちらもシールドを広げる。

 カミュの前に立ち、ジャガンナートの殴打を全て引き受けた。

亀シールドにヒビが入る。


「トウタス!」

「構うな行けぇ!」


 カミュのサーベルが、宝玉を刺し貫く。


 赤い宝玉が、粉々に砕け散った。破片が、赤い液体となって蒸発していく。


 弱点がある分、倒しやすい相手と言うべきか。


 これで全てが終わったと思われた。


 しかし!


「まだだ! 危ないトウタス!」

 カミュがオレを突き飛ばす。


「ぐはあ!」

 カミュは、背中を爪のようなモノで刻まれた。


 攻撃してきたのは、倒したと思っていたジャガンナートである。

「なんだあれは」

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