#3 ルリハコベの花が咲いた
高校生活が始まって早2週間が過ぎた。
淡々と過ごす日々がすごく早かった。
部活動には入らず、園芸サークルに入った。園芸サークルに所属しているのは私と3年生が2人で、部活として成立しないため学校からの部費が入って来ないらしい。3年生の2人は他の部活も掛け持ちしているらしく月頭にしか来ないらしい。一応顧問の先生は居るのだが、その先生も吹奏楽部と掛け持ちして居るらしくほぼサークルには顔を出さないみたいだ。今日もがらんとした教室に1人、花の絵を描いていた。ただ、時間を埋めるようにゆっくりと、じっくりと。ようやく下書きが終わり、水入れに水を汲みに行った。蛇口から流れる水は段々暖かくなってきた。
「よし、これくらいでいいかな。」
私は元いた教室へ急いだ。早く絵が描きたい。
「「わあ!?」」
一瞬何が起こったのか分からなかった。目の前には水でびしゃびしゃになった担任の先生がいた。
「わ、、、大野先生、ごめんなさい、大丈夫ですか、、?」
「絵、描いてるの?あれ、園芸サークルじゃなかったっけ?」
なんていうのが正解なのか…。
「くしゅん!」
先生が可愛らしいくしゃみをした。
「先生、やっぱり大丈夫じゃないですよね。ごめんなさい、、、。ちょっとこっちに来てください。」
私は先生を教室へ連れた。
先生のジャージの袖をひいたとき、心がざわざわした。
今日の出会いはルリハコベの花言葉のように、恋の出会いに似ている気がした。
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