第4話 兄と妹

楓さんとは兄妹、つまり家族になった。

楓さんは、「お兄ちゃんなので、楓と呼んで」というが、いきなりは呼べない。


まあ、これはおいおいということで・・・


苗字はもう同じなのだが、学校では区別のために、

旧姓の赤井で通すと思っていたが、彼女はそうしなかった。


義理とはいえ、兄と妹なので、一緒にいても冷やかされない。

血のつながりのない場合は、兄妹でも結婚できるのだが、

この時は、考えもしなかった。


で、結婚式は鉄道マンらしく、列車の中で行われた。

車内には、鉄道模型のレイアウトが走る。


よく短期間で出来たな・・・


新婚旅行は仕事の関係で、先延ばしになる。


親父と継母の事は、置いといて、俺と楓さんの事だが、

どうにか、上手くやっている。


「お兄ちゃん、今日何食べたい?」

「今日?」

「うん、何でもいいはなしだからね」

「言ったら、何でも作ってくれるの?」

「うん、何でもいいよ」

「俺は、いろいろ食べたいな」

「じゃあ、鍋ね」

「最初から決めてたな」

「うん」

このような会話が、毎日繰り広げられる。


母さんは、幼い頃に死んだが、もし生きていたら、このような会話があったのか・・・

いや、さすがに思春期では無理か・・・


でも、親父とふたりでは味わえなかった、温かな家庭がそこにはあった。


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