第4話 兄と妹
楓さんとは兄妹、つまり家族になった。
楓さんは、「お兄ちゃんなので、楓と呼んで」というが、いきなりは呼べない。
まあ、これはおいおいということで・・・
苗字はもう同じなのだが、学校では区別のために、
旧姓の赤井で通すと思っていたが、彼女はそうしなかった。
義理とはいえ、兄と妹なので、一緒にいても冷やかされない。
血のつながりのない場合は、兄妹でも結婚できるのだが、
この時は、考えもしなかった。
で、結婚式は鉄道マンらしく、列車の中で行われた。
車内には、鉄道模型のレイアウトが走る。
よく短期間で出来たな・・・
新婚旅行は仕事の関係で、先延ばしになる。
親父と継母の事は、置いといて、俺と楓さんの事だが、
どうにか、上手くやっている。
「お兄ちゃん、今日何食べたい?」
「今日?」
「うん、何でもいいはなしだからね」
「言ったら、何でも作ってくれるの?」
「うん、何でもいいよ」
「俺は、いろいろ食べたいな」
「じゃあ、鍋ね」
「最初から決めてたな」
「うん」
このような会話が、毎日繰り広げられる。
母さんは、幼い頃に死んだが、もし生きていたら、このような会話があったのか・・・
いや、さすがに思春期では無理か・・・
でも、親父とふたりでは味わえなかった、温かな家庭がそこにはあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます