第3話 義兄妹

「でも、親父」

「何だ?」

「お互いに、鉄道会社勤務なら、すれ違いが多くならないか?」

「それは、大丈夫だ?」

「なぜ?」

「父さんたちの鉄道会社は、営業距離が5キロ程の、小さな私鉄だからだ」

納得していいのかわからんが、納得しておいた。


その距離なら、仕事で会う機会も多いだろう。

新しい母さんも、辞める気はないようだし・・・


親父が不規則なので、家事は俺がやっている。

楓さんところも、同じのようだ。


なので、料理は自信がある。

それぞれ、交代で受け持つことになった。


結婚式は、身内だけで取り行われた。

まあ、それが妥当だろう。


しばらくは、あわただしくて気付かなかったのだが、

勘の鋭い年頃の高校生が、俺と楓さんの仲に気付かないはずもなく、

すぐに駆け寄ってきた。


「時に、大坂、お前最近、赤井さんと仲良さそうじゃなうか?」

知らないのも無理はないだろう・・・

どうごまかそうか、考えていた。


楓さんも、同じ事を友達に訊かれていた。

(もう、楓さんという呼び方は、適切ではないのだが、ここではこうしておく)


楓さんは、目で合図をする。

「詳しく話そう」ということか・・・


そして、2人で教壇に立ち、皆に説明した。

「先日から、僕たちは、兄妹になりました」


クラス中がどよめいた。

当たり前か・・・

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