第2話 鉄道一家
「なあ、親父」
「どうした?直樹」
「結婚するのは、いいんだが・・・」
「ああ」
「いつどこで、知りあった?」
「言わなかったか?」
「聞いてない」
そう、確かに聞いていない。
その理由も、聞かない事には、さすがに気まずい。
赤井母娘(の表記はもう正しくないが)を見ると、微笑んでいる。
どうやら、あちらさんはご存知のようだ。
「直樹、父さんんの仕事は?」
「電車の運転士だったよな」
「その通りだ」
・・・って、まさか・・・
「そうだ、お前の新しいお母さんになる人も、運転士だ。
いわば職場結婚だな」
そういや、楓さんはやたらと鉄道にくわしい。
いわゆる鉄子だが、そういう理由だったのか?
まあ、俺もそれなりに詳しいが・・・
「鉄ちゃんと、鉄子と、鉄道マンと、鉄道むすめ、いい家族だな」
「まあな・・・って、違う」
最近は、女性も鉄道業界に進出しているので、その事自体は珍しくもない。
だが・・・
「親父、そういう事はもっと早く教えてくれ」
「すまない。だがいい誕生日プレゼントにしたくてな」
「プレゼント?」
親父は微笑む。
「お前の誕生日は?」
「10月14日だ・・・って・・・」
たしか楓さんも、同じ日だった。
「偶然だね」
よく話題にしたもんだが・・・
「それなら、俺がお兄ちゃんとは限らないんじゃ」
楓さんが、声をはさむ。
「直樹くんは、午前3時生まれでしょ?私は午後9時生まれ。
なので、君がお兄ちゃん。」
18時間差でも、お兄ちゃんなのか?
随分と差のない妹ができたものだ・・・
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