青春に歳はない

勝利だギューちゃん

第1話  今日から家族

母が幼い頃に他界した。

なので、記憶は程んどなく、顔も写真でしか知らない。


それ以降、親父は男手一つで、俺を育ててくれた。

なかなか素直になれないが、とても感謝し、尊敬をしている。


ある日、いつものように一緒に食事をしていた。

「なあ、直樹」

「どうした?親父」

「俺も、青春を取り戻したい」

再婚したいということか・・・反対する理由もあるまい。

お袋も許してくれるだろう。


「ああ、親父の人生だ。好きにしていいよ」

「すまないな」

「謝ることはないさ」

そういって、親父は仕事に出かけた。


親父の再婚相手ということは、俺の新しいお袋ということになる。

内心、ドキドキしていた。


学校に着き、自分の席に着く。

しばらくして、クラスメイトの女子が来た。

「大坂くん・・・というのも、今日が最後だね」

俺は、何の事かわからなかった。


その夜、親父が(予想通り)新しい奥さんとなる人を連れてきた。

「今日から、お前のお母さんだ」

その人が、ひょっこりと顔を出す。


「はじめまして・・・ではありませんね。大坂くん」

「直樹くん、いや今日からお兄ちゃんだね」


俺はぶったまげた。

親父の再婚相手は、俺のクラスメイトの女子の母親。

今朝、俺に声をかけてきた女子だ。


彼女の名前は、楓。苗字は、赤井。

お袋さんとも、顔なじみだ。


たしか、楓さんも、父を亡くしたと聞いていたが・・・


「まさか、親父・・・再婚相手って・・・」

「知っているなら話は早いな。今日からお前の母さんだ」

俺は声が出ない。


「今日から、家族です。よろしくお願いします。」

母娘で頭を下げられる。


それは、構わない。

恋愛は自由。


でも、どこで知り合った?

俺はそれが、気になった。

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