あとがき

 献辞にある通り、恵のモデルとなったのは言うまでも無く、あの稀代のベーシスト Jaco Pastrious です。今更、彼の歩んだ短すぎる音楽家人生を紐解く必要も無いでしょうが、彼の自虐的で破滅的な生き方が、恵の性格を決定づける要素となっています。彼女の最後の演奏シーン、つまりレオンハートのステージ上で、一人でソロをとっている部分は、Jaco のアルバム、その名も『Jaco Pastrious』に収録されている "Continuum" を演奏しているイメージで書きました。


 一方、浩の方は複数のギタリストを念頭に置いて書かれています、彼がジャズを弾いている時は Pat Metheny や John Scofield を、ロックを弾いている時は、文中にも登場する Jeff Beck がモデルとなっています。モデルと言っても、彼らの性格などは推し量ることが出来ませんので、あくまでも演奏上の個性を拝借していると言った方が正確でしょうか。


 プロローグでのプライム・ノートの演奏シーンは、Pat Metheny のアルバム『SECRET STORY』の中から “The Truth Will Always Be” の雰囲気を、ママズ・コンプレインの最初の演奏シーンは、Jeff Beck のアルバム『Who Else!』から “What Mama Said” の雰囲気を参考にして書きました。演奏途中に出てくるめぐみの台詞 "Do you hear what I say?" は、同曲中に挿入されている台詞 "Did you hear what Mama said?" をもじったものです。


 ただし、恵がプライム・ノートの正式メンバーになった時の学園祭での演奏だけは少し変わった想定をしていて、もし Miles Davis の “Tutu” をギターで演ったら、というイメージです。そのギタリストとしては、やっぱり John Scofield が一番しっくり来るかなぁ、なんて思っております。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る