Primrose
世淮ひとみ
手紙
あの日々を鮮明に覚えている。
僕の弱さを、情なけさを、全て許してくれたあの人と過ごした星屑の様に輝いていた日々たちを。
「貴方を不幸から掬い上げてあげる」と言ってくれた世界でただ一人の人。
僕を救ってくれた人。
ある日僕の家のポストに入っていた、可愛らしい封筒に入っていた恋文。
返事を書くのに何時間も考えて、何枚も紙を駄目にして、やっと返事を出した。
僕は救われてばかりで、何もあの人へ返す事が出来なかった。結局、返せたのはその手紙だけだった。
あの人の苦悩を、悲しみを、僕は理解してあげられなかった。甘えてばかりいた。
今でもそれは変わっていないと思っている。もし、あの日に変えることが出来ていたなら何か違う今があったのかな。
そんな事を考えながら、僕は今日もポストを開ける。
Primrose 世淮ひとみ @sola9029
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます