第23話 始まったぞ、お姉さんの言葉責めプレイだ!
ブロンドのカーテンの向こうから王女様の瞳が見つめてくる。
その言葉は噛んで含めるように、あるいはどこまでも制限なく甘やかすように響いた。
「お姉さんのおっぱい、触ってみる?」
何を言われたのか、一瞬分からなかった。
分かったところで、冷静ではいられなかった。
「な、なんで……っ、ですか!?」
「なんでって……助けてくれたお礼、とか?」
僕は仰け反って訊ね、オリビアさんは小首を傾げて答えた。
「とかって! 僕、そんなつもりで助けにいったわけじゃないです!」
「まあ、それは分かってるんだけどね」
おかしい。ネオンさんと違って、オリビアさんはちゃんと倫理の一線は引いてる人だったはずだ。
なのに今日の彼女はやっぱりおかしい。
「これがルカ君の悩みを解決する方法だって言ったらどうする?」
「えっ!? や、いくらなんでもそんなわけは……っ。だって冒涜て――むぐっ!?」
「冒涜的じゃないよ?」
白くて細い指先が唇を塞いできた。
「私ね、今夜は真面目に言ってるんだよ。だから冒涜的じゃないの。分かるかな?」
分からない。
ぜんぜん分からない。
「だってオリビアさん、以前に女の人のおっぱい見ちゃダメって……っ」
「普段はね? でも今は違うんだ」
こっちの戸惑いなんて見透かしたようにオリビアさんは淡く微笑む。
「よく聞いて。女の人のおっぱいってには触って良い時があるの」
「触っていい時……?」
「真面目な時。真面目にだったら、おっぱいは触ってもいいの」
「ワケが分かりません! どんな理屈なんですかっ」
「大人の理屈よ。だって、そうやってルカ君も生まれてきたはずでしょ?」
「そ、それは……っ」
とっさに二の句が継げなかった。
赤ちゃんがどうやって出来るのか。
その深淵なる知識については書物によって僕も知っている。
「さ、ルカ君。お姉さんに教えてくれるかな? 人間の赤ちゃんって、どうやってできるの?」
「え、えっと……っ」
「あ、その顔、ちゃんと知ってるんだね? じゃあ、ちゃんと答えて。これは真面目な話だよ。だって人々の営みのことだもん」
揺れる。
オリビアさんが小首を傾げるのに合わせて、目の前で胸が揺れる。
「さ、赤ちゃんはどうやってできるの?」
「……せ」
「せ?」
「性行為によって……です。男性と女性の性行為によって赤ちゃんはできます」
「へー?」
下から覗き込むように見つめてくる。
オリビアさんの吐息が頬に触れた。こそばゆい。頭がおかしくなってしまいそうだ。
「もっと詳しく教えて? 性行為って具体的にどういうことをするの?」
「そ、そんなこと言えません!」
「駄目。言って。真面目な話だから」
しなやかな命令形。
こういう時の彼女は強い。逆らえない。もうヤケだ。
「だ、男性の性器を女性の性器に挿入して、精子を卵子に着床させることで赤ちゃんはできるんでーすっ!」
「うわ、ルカ君、えっちぃ」
「何をさせたいんですか、オリビアさんはーっ!」
ノリがまるでネオンさんだ。
こんなので聖杖を使いこなせるようになるなんて、ぜんぜん思えない。
ひどい辱めに合い、僕はもう涙目である。
「キミはもっと人間らしくなるべきなんだよ、きっと」
オリビアさんがこちらの手を取った。
そしてあろうことか、その手を自分の大きな胸へと近づけていく。
「ちょ、オリビアさん!?」
「本当は触りたいんだよね? 知ってるよ。だってルカ君、いつも私やネオンのおっぱいに目がいってるもん」
「……っ、ご、ごめんなさ――」
「謝らなくていいの」
にこっと微笑む。
「私もネオンも嫌じゃないもの。それに男の子のそういう気持ちのおかげで、赤ちゃんはできるんでしょう? だからね、ルカ君もおっぱいを触りたいっていう自分の気持ちをもっと大切にしてあげて? それは決して間違ったものじゃないんだから」
「で、でも……」
手が胸元へ近づいていく。
そんななか、ふいに僕は気づいた。
自分のおっぱいを触らせようとする、彼女の表情が……微妙に固いことに。
「オリビアさん、ひょっとして……緊張してますか?」
「な――っ」
火がついたようにオリビアさんの頬が赤くなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます