第8話 「俺アン」に登場する衛星兵器とかボツ装備とか
ボツになった自衛隊の装備。
レーザー迎撃衛星「火竜」です。地上から電力を補充蓄積してレーザービームを放つ衛星です。本来はミサイル防衛構想に基づき、準天頂軌道に配置されています。数は8基で、弾道ミサイルを撃墜するための兵器となります。それが、例の四次元ハッキングで支配され、椿さんの運転するカローラEVを攻撃してきたわけです。
没原稿では、激しく車線変更と加速減速を繰り返して照準を合わせさせない椿さんの運転に対し、火竜が前方の橋を落とし、後方の路面を溶解させて足止めし、止めにゴルディアスの質量弾で仕留める……みたいに書いてたんですね。前にもチラリを書きましたが、着弾まで20秒もかかるとかなり間延びして変な感じになるのですよ。それに、この程度なら椿さんはバリアで防げるし、わざわざ川に飛び込まなくても良かったし、追撃に出てくる機動兵器エリダーナも椿さんなら平気でコントロールを奪えるしで、何だか面白くないなと。結局ボツにしたんですね。この時の米衛星ゴルディアスのレールガンは初速15km/s程度の超レールガンを予定してました。第一宇宙速度をはるかに超える超速度のすげえレールガンではありますが、高度400㎞から射撃すると何秒かかるの? 俺、加速度の計算とかできないんだけど20秒以上かかるよね。そういう事でやっぱりボツにしました。
レーザー防衛衛星火竜は設定上は生き残っています。作中には登場していませんし、今後登場するかどうかはわかりません。名前も変更する可能性があります。
ゴルディアスの方はいづも撃沈の犯人となってますね。俺アン14話で詳しく説明していますけれども、ここでもそのまま説明します。
ゴルディアスは高度約400㎞を速度約7.7㎞/sで周回しています。一周約90分です。なぜこの高度にしているのかというと、国際宇宙ステーションと同じ数値にしたら引用するのが楽だったからですww。マジ。もう一つ理由がありますが、それは高度400㎞だと普通の迎撃ミサイルでは到達しない高度だからです。最終的にはイージス艦のミサイルで迎撃されますが、その話は後でします。
弾体は初速約1000m/s、終速は2500m/s程度。当初の予定とは随分控えめにしていますが、命中精度を重視した結果こうなったという設定。弾体には大き目の翼がついていて投射直後に開き竹とんぼのように回転しながら降下する。翼の角度を調節して弾体の方向と速度をコントロールし目標まで誘導される。着弾まで約5分かかる。この辺の計算は適当ですけど、まあ大体合っていると思います。
弾体重量は約60㎏で衛星一基あたり6発搭載されています。155㎜砲相当です。飛行場やミサイル発射施設、ロケットを移動させる車両などをピンポイントで破壊するための兵器です。通常の砲弾の3倍以上の速度で命中するのでそれなりの威力があると思う。
さて、作中ではこの高度400㎞を周回しているゴルディアスを米海軍のイージス艦が撃墜するのですが、ある方から現在よりも相当性能アップしているのではないかとの指摘を受けてます。現在は無理、20年後なら可能だろうとしてます。
もちろん米のみ可能でほかの国では難しいという設定。だから、ゴルディアスは高度400㎞なんですよ、
実は、2008年に人工衛星の迎撃実験があってそれに成功しています。概ね高度247㎞で捕えました。イージス艦から発射されたSM-3ブロックⅠAでしたが、カタログデータより随分到達高度が高かったようです。衛星軌道直下で待ち伏せして概ね垂直に打ち上げることで高度を稼いだのかなと思っています。
今回、イージス・アショアに搭載される予定なのが最新のブロックⅡA。俺アンではさらに20年後の世界です。今よりも改良された新型を装備しているのでしょう。ブロックⅢとかが実戦配備されてそうですね。そんな情報があったので、高度400㎞位ならイージス艦で撃墜可能だろうと判断しています。もちろん、衛星攻撃を想定していないソフトウェアを、衛星攻撃に最適化することで可能となっているのでしょう。
次回からは連合宇宙軍編。アルマ帝国編はその後です。
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