第6話 「俺アン」に登場する自衛隊の装備とか色々(その①)

 唯一陸自隊員で登場する牧野士長。彼は高卒で入隊し現在は21歳独身。バイクが趣味で40年前のNinjaを所有しています。

 彼が所持していた装備です。

 9㎜拳銃。

 マイクロバスの中でララが盗んでレイ軍曹と寸劇をやったときに使用したもの。「SIG SAUER P220」を国内でライセンス生産したもで、生産はミネベアミツミ(長野県)が行っている。戦後米軍から供与され使用していたM1911(11.4㎜)では反動が大きく日本人向けではないことから選定されたのがこれ。日本人の手に合っているとして弾倉が「単列式」のものが採用された。1980年代のお話。ちなみに、米軍の使用するM9(ベレッタ92)は弾倉が「複列式」となっていてグリップが太く重量もある。

 作中では拳銃で遊ぶララに対して暴発の危険性を指摘す牧野だが、それなら薬室の弾を抜けと反対に諭されてしまう。ご存知の方も多いと思うが、一般的な自動拳銃は弾倉とは別に薬室に一発装弾できる。9㎜拳銃は弾倉に9発、薬室に1発装弾できるのです。


 次、89式5.56mm小銃。これも牧野士長の所持していた装備。

 え? 持ってたの? と思う人もいるかもしれませんが、持っていたんですよ!!

 これも世界の情勢にあわせて小口径化された自動小銃。日本製アサルトライフルです。豊和工業制で自衛隊の他、海上保安庁や警察の特殊部隊(SAT)においても制式採用されています。口径は5.56㎜。従来の7.62㎜と比較して有効射程は劣るものの携行弾数を増やせること、集弾性能が良好であることが特徴ですね。

 旧式となった64式7.62mm小銃は狙撃部隊では現役です。


 74式戦車。

 ええ、ナナヨンです。まだこんなのが配備されてるの? と疑問に思った方は多いでしょう。まだ少数が現役でいたんですね。何故かというと、サイバー攻撃などで衛星や戦術リンクが麻痺した際の予備として温存されていたのですよ。むつみ基地には急遽二両が配置されていました。105㎜ライフル砲搭載でエンジンはツーサイクルディーゼルです。睦月がツーサイクルの掃気を説明してましたね。ユニフローとか普通の人は知らないよねww。

 

 最終局面で名前だけ出てくる10式戦車と32式戦車。90式は出てこなかったですけどもまだ現役です。「俺アン」では概ね2038年ごろを想定しています。今から20年未来ですね。新型の32式戦車が配備を開始して90式は順次更新されているようです。

 現地に集結していた部隊は中部方面戦車隊より派遣されていました。現在は中国地方には戦車部隊はいないようですが、前述のとおり半島情勢が緊迫しているため、山口市と益田市に新しく戦車部隊が編成され配置されたという設定です。

 その中の32式と10式が出てきてたんですが、残念なことに数分で全滅させられたようです。作者的には戦車部隊の活躍シーンとか書きたかったですけども構成上書けませんでした。

 10式は現役の最新型。日本の狭い国土に合わせた小さめの車体が特徴です。90式と比較してスマートになり軽量化されています。何といってもスラローム走行しながらの射撃で標的にバンバン命中させる射撃精度は優秀ですね。10式からはエンジンが4サイクルディーゼルへと変更されています。

 32式戦車は90式を進化させたもの。車体はやや大型化され防御力が向上された。主砲は長砲身の国産55口径120mm滑腔砲(軽量高腔圧砲身)を装備している。タングステン系の弾芯では貫通力は世界最強です。しかし、劣化ウラン弾には負けます。

ちなみに10式では国産44口径120mm滑腔砲(砲身が短い)です。エンジンの選定時には三菱製のV10ディーゼルと綾瀬のガスタービンが競合したのですが三菱製が採用されました。

 そのほかの車両は登場していませんが、前述のとおりEVやハイブリッド車は採用されていないようですね。


 次はむつみ基地のイージス・アショアについてです。

 まだ、配備もされていないものをどうやって書けばいいんだ? とか悩みながら、中身はイージス艦と同じだろうし、ヨーロッパにあるやつとかハワイにあるやつの写真を参考に適当に書いちゃえ! という感じなのですよ。まあいい加減です。

 基本的にはミサイルが格納してある垂直発射機Mk-41VLSとそれをコントロールするデッキエリアがあります。それとは別に隊員の宿舎。警備のための施設。基地本部の施設があります。道路側からはまず駐車場があり基地本部がある。その右奥(山側)に警備施設と宿舎、左側(海側)にイージス・アショアがあるという設定。この辺も適当に書いています。

 垂直発射機Mk-41VLSは8本が1モジュールで設置されていて、それが3モジュールあります。計24基の対空ミサイルが設置されています。それとは別に対艦ミサイルのモジュールが一つ追加されました。計8発です。

 基本的にはイージス・アショアのシステムは対空専門になっていて巡航ミサイルの発射はできないようになっています。しかし、自衛隊では万一のための予備として対艦ミサイルの設置をしました。これは対艦ミサイルですが地上攻撃もできる巡航ミサイルで、綾瀬重工が開発しています。従来の発射システムとは別系統で操作するようになっていて対空ミサイル用のAブロックと対艦ミサイル用のBブロックに分かれています。

 案の定このシステムがハッキングされて対艦ミサイルが岩国基地へ向けて発射されてしまいました。このミサイルを撃墜したのが新型艦載機の叢雲むらくもと米海兵隊のF35B(SVTOL機)ですね。ハッキングの解除では小学生3人組とゼリア君が活躍しました。

 作中で説明している通り、レーダーはSPY-6、ミサイルはSM-3 Block IIAなど最新装備となっております。

 全然終わらない。次回も自衛隊の装備関係のお話です。

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