エピローグ ~ある日の放課後~

八月のある日の放課後、ユウトはユカと公園に二人でいた。



「まじ、あっちーな。

 ジュースを買いに行こうよ」



 公園内にある自販機でジュースを買い、二人並んでベンチに座る。


「俺さ、惑星ババロアでの日々が未だに夢なんじゃないかって気がしてくるんだよね」


「私もよ、ユウト君」


「魔法を使えるのは気持ち良かったなぁ。

 シャノさんにもう一度会いたいな」



 うだるような暑さの中、二人はジュースを飲みながら惑星ババロアでの出来事を反芻していた。



「でもさ、クラスメイトのみんなが惑星ババロアでの日々を覚えているということは、夢じゃないんだよな」


「こんなことを言っちゃいけないのかもしれないけれど、私、楽しかったよ。

 ユウト君に告白することも、あの星に行かなければなかったことだと思う」


 そう言って花のように素敵に微笑むユカ。


 あの敵襲の後、ユカは無事にクラスに帰って来た。また、ユカの蘇生魔法でナカムラも息を吹き返した。


「死ぬ時によぉ、今までの俺の人生が走馬灯のように頭に甦ってきてさ、俺は今まで随分と酷いことをしてきた。

 謝るよ。

 あと、みんな、俺を生き返らしてくれてありがとな」


 ナカムラは一度死んで以来、人が変わったように暴力を振るわなくなったし、暴言を吐かなくなった。



「なんだか、あの日々のことが、長かった修学旅行みたいな感じがするよ」


「ユウト君が言うこと、分かるよ。

 一生忘れられない特別な日々だったよね」


 ギラギラと照りつける太陽の下、二人は懐かしむように惑星ババロアでの日々を話す。



 地球から来た魔法戦士たちの特別な日々は終わりを告げた。


 ユウトは思う。

 人の一生が終わる時、人生も長かった修学旅行みたいに感じるんじゃないかって。


 魔法は使えないけれども、これからの日々をユカと楽しもう。


 ユウトはジュースを飲み干し、周りに誰もいないことを確認すると、ユカとそっと口づけを交わした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

目覚めたら最強の魔法戦士だった ~学校のクラスで異世界転移〜 遊道よーよー @yoyo0616

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ