3.ゲーム
A「僕ね、ゲームが好きなんですけど……」
B「このダメ人間!」
A「急にどうしました?」
B「いい年してゲームなんかやってるヤツはね、しょーもないクズなんですわ!」
A「すごい偏見ですよ?」
B「ゲームなんて時間の無駄! 立派な大人になりたかったら勉強と運動を両立させて、世のため人のために社会貢献していかなきゃでしょうよ! はい論破!」
A「それだけじゃ生きていけませんよ。多少なりとも娯楽がなくちゃ」
B「暇潰し程度にゲームやってるだけで飯が食えますか? そんなヤツに限って自分のことを棚に上げて、社会に対して不平不満を言うような、現実とフィクションの区別もつかないゲーム脳なんですわ! はい弾丸論破!」
A「なんかBさんがゲーム苦手そうなのは分かりました。でも今は拡張現実と言って、IT機器などの情報デバイスを用いた作業スキルが世の中に求められるんですよ。その最新技術がゲームには詰まっているんです」
B「急に拡張現実とか頭良さそうなこと言うな!」
A「別に普通ですけど、Bさんに合わせるならバーチャルリアリティでいいでしょう。特殊なセンサーがコントローラに反応して、自分の動きが画面上に連動する仕組みとかあります」
B「ひゅう、面白そう!」
A「でしょ? よかったら一緒にゲームやりましょうよ」
B「やるやる!」
A「二人でやるなら格闘ゲームかな?」
B「嫌だよ! 痛いの怖いもん!」
A「いや、ゲームですから」
B「例えゲームだとしても、僕はA君を殴れないよ!」
A「全く心に響かないんですけど、じゃあスプラトゥーンでもやります?」
B「何それ?」
A「1人視点のシューティングゲームでして、敵を銃で倒します」
B「え、人殺しじゃん……」
A「いや、ゲームですから」
B「そうやって自分を正当化させるのか」
A「変なスイッチ入ったな」
B「例えゲームだとしても、僕はA君を殺せないよ! 愛のままに、我儘に、僕は君だけを傷つけない!」
A「この人、バーチャルじゃなくても自分の世界があるな……。じゃあモンスターハンターにしましょう! モンスター相手なら変な罪悪感も出ないでしょう!」
B「今度はモンスターを殺すのか……。よっしゃ討伐しまくるぜ! ヒャッハァー!」
A「すごい情緒不安定!」
A「あ、あそこにモンスターがいましたよ。まだこっちには気づいてないみたいですから、後ろから攻撃しましょう。行きますよ? せーの……」
B「やめろぉ! グサッ」
A「ぐわぁ! って、何やってんすか? 僕は殺せないとかホザいてましたよね?」
B「いや、実際にモンスターを見てたら、彼らは何もしてないのに可哀想で良心の呵責が……」
A「いませんから! 仲間に殺された僕の方が可哀想ですから! もう自分一人でやります。Bさんは隙を見て加勢するなり、好きにしてください」
B「ほーい」
A「カキン、カキン。クソ、このモンスター思ったより強いな。ヤバイぞ、このままじゃピンチだ。Bさーん! ちょっと助けてくださーい!」
B「…………」
A「Bさーん? Bさん! おい、死んじゃうって! 助けて! ああぁぁ~~っ!」
A「なんで助けてくれないんすか?」
B「…………」
A「どんな感情? これ仲間を見殺しにする顔じゃないでしょ」
B「キャッ、キャッ、キャッ」
A「なに笑とんねん」
B「いや、演技下手くそだなって」
A「ほっとけ! さっきからなんすか? こんなのに演技力とか求められてないんすよ」
B「実際そこにモンスターがいるとイメージできてれば、そもそもモンスターをイジメようなんて非人道的な発想には陥らない」
A「僕は2回死にましたけどね」
B「想像力が足りない君のために、僕がモンスター役を買って出ますよ。これだからゆとりは」
A「いや、トシ1個しか違わないでしょ」
B「誰が老け顔だ!」
A「言ってないし!」
A「モンスターはどこだろう……あ、アレか?」
B「(横になって寝てる)」
A「メッチャ隙だらけだけど、攻撃していいよな?」
B「(胡座をかきスマホを取り出す)」
A「うわ、スマホ起動さしてメッチャ笑ってる! 面白いんだ。メッチャ現代的なモンスターだなぁ」
B「(座ったまま後ろ向きになり周囲をキョロキョロと見回す)」
A「なんか警戒してるなぁ。こっちの気配を感づかれたか?」
B「(ベルトをガチャガチャ鳴らす)」
A「ちょっと何やってんすか!」
B「(素早く立ち上がり相手を睨む)」
A「うわ、メッチャ見てる。怖っ」
B「(頑なに睨み続ける)」
A「なんかよく分からないけど、先手必勝! とやーっ!」
B「(メッチャ軽快に走り出す)」
A「うおおおわぁ! すっげぇ速さで接近してくる!」
B「プルギャああああああああ!」
A「えい! ザスッ」
B「え、なんで攻撃するん?」
A「こんなん来たら誰でも反撃するわ!」
B「なんでもかんでも暴力で解決しようとするなぁ! よく見れば仲間になりたそうだったでしょ!」
A「どこを見たら?」
B「寂しそうな背中さ」
A「絶対に嫌だわ! いい加減にしろ。どうも、ありがとうございました」
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