第6話


 悪郎機関。


 その根源は、平安時代の『陰陽寮』にまで遡る。

 陰陽寮とは、本来は暦の編纂や作成、天文観測に基づく占星術や、陰陽術を使う陰陽師などで構成される機関であり、中務省に属していた。しかし、時代が進む中で妖怪による殺傷事件で怪奇現象などに対応するため、妖怪との戦闘や怪奇現象の解決を主目的とした組織を必要とすることになった。


 そのために陰陽術だけでなく様々な技術を持ったエキスパートを加えることで組織の強化を図った結果、忍者や侍、拳法家といった戦闘や諜報などの技術を陰陽術に合わせるようになり、さらに時代が進む中で陰陽術を科学的に捉えるという目的で科学者たちも増えていった。


 そうして生まれたのが、日本国内の怪奇現象の解決や妖怪退治などを行う特殊組織:悪郎機関である。


 そして悪郎機関の中でも、目的に応じて幾つかの下位分類ができた。

 陰陽術などの特殊な力は持たないが、全国各地で情報の収集に当たる『典阿てんあ』、典阿の情報をもとに、霊的事象である可能性が高いと判断した場合に より詳細な情報収集および即応に当たる『粋徒すいと』、戦闘そのものに特化した『羅代邸らだいてい』、研究員やエンジニアによって構成された分析・技術開発部門である『射留度いるど』の4つである。また、それぞれにチームカラーが存在し、典阿はブルー、粋徒はブラウン、羅代邸はオレンジ、射留度はブラックとなっており、黄太郎の場合はダレスバッグにぶら下がった革製のカードがその目印となっている。

 なお既に何度か記述しているが黄太郎は粋徒に属するエージェントであり、有九郎は射留度の研究者である。


 このように千年近い歴史を持つ悪郎機関は、今や日本国内においてあらゆる超常現象や霊的問題に対処する一大組織であり、日本を陰から守り続けてきた守護者でもある。


 その悪郎機関が、はっきりと黄太郎達に命じた。


 『勝利せよ』と。


「勝利せよ、ね。分かりやすくて嫌いじゃないな」


 話を聞き終えた黄太郎は、黒いスマートフォンをカバンにしまった。自分自身のスマートフォンはジャケットの内ポケットのほうにしまってある。


「……とはいえ、これからどうしましょうか? いまのところ、ここの地名すら分かってないままですし」

「うーん。お姉ちゃんたちのやるべきことは分かったし。まずは情報を集めるところからじゃないかな。とりあえず、人に会ってみたら?」

「ですね。じゃあちょっと探してみます」


 というと、スーツに革靴だというのに、黄太郎は近くに在った手ごろな気をスルスルと登っていく。そうして、木のてっぺんあたりまで登ると、周囲に何か見えないか視線を動かす。

 すると、東の方に煙が立ち上っているのが見えた。他の木々が邪魔で他はよく見えないが、煙が出ているなら人が近くにいる可能性が高いだろう。

 そう判断した黄太郎は、地面に降りると鉄雅音に声をかけた。


「東のほうに煙が登っていました。煙の大きさから、山火事の類ではないでしょう。まずは、そっちに行ってみましょうか」

「そっか。じゃあ行ってみよう」

 そう言って二人は歩き出した。


 ――だが、彼らはまだ自分たちを待ち受ける運命を知らなかった。


 みたいなことを書いておくとカッコいい気がするので、とりあえず書いておく。



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