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第1話 「クラウド」暴走!選ばれし少年少女たち
新西暦1世紀。人々は脳に埋め込まれたチップを通して、ネットと繋がり快適に過ごしていた。新しい娯楽が脳内を駆け巡り、その情報は「クラウド」と呼ばれるシステムによって管理をされていた。人々は最新技術を享受し、幸せに過ごしているつもりだった。
そんな素敵な世界に桜坂勤は生きていた。桜田勤は一日中FPSの仮想空間で勝負をしていた。
「右からくるな。」
桜坂勤は、出会い頭の敵を撃ち殺した。
「よし、あとは一人か。」
桜田勤はアサルトライフルから拳銃に持ち替えて余裕をかましていた。
それを見ていたのは最後の敵のスナイパーだった。スナイパーは慎重に桜田勤を狙った。
その瞬間、桜坂勤はスナイパーの頭を貫いた。
「そういうの見えるんだよな。」
_人人人人人人人人_
> ゲームクリア <
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「ふー。」
桜坂勤は一旦ゲームをやめて、入れておいたコーヒーを飲む。
「これで20連勝か。」
桜坂勤はテレビをつけて、ニュースを見た。ニュースではアナウンサーが
「日本の平均株価は2万円を再び超え、雇用も伸びていきました。」
と言っていた。桜坂勤はすぐに別の番組に変えた。
「僕には関係のないことだよね。」
そう。桜田勤には世界のことなど関係なかった。容姿と愛嬌によって決まる世界など必要などなかった。必要なのは実力と努力が認められる世界だった。
桜田勤はまたゲームの世界に行き、世界一の座を渡さないために努力を欠かさなかった。時間があれば、ゲームの練習場で射撃の練習をし、練習が終わったら対戦をする。そこに、容姿や愛嬌と言った曖昧な基準などなかった。そこには勝った負けたの世界しかなかった。
気がつくと、窓から日が入っていた。
「あれ?今何時だ?」
六時を指していた。
「というと、まだ夜か。」
だが、夜にしてはゲームの部屋が過疎っていた。いつもなら満員の部屋が半分しか入っていなかった。日付を見ると、次の日になっていた。
「ということは。これって、朝!」
桜田勤はニュースを開いて日付をもう一度確認した。
「まじか。また徹夜したのか。」
気が抜けると、ベッドに横たわった。だが、その時脳裏に負けたときの悔しが響いた。そう思うと、すぐにまたゲームを起動しようとした。
しかし、まったくゲームが起動しなかった。
「あれ?」
何度も起動しようとするが、まったく起動できない。
「あれ?メンテか?」
ゲームのサイトに入ろうとしても、404が帰ってくるだけだった。
「あれ?wifiぶっ壊れたか?」
そう思って、wifiルーターを再起動させてもう一度サイトに入ろうとしても404が出てきた。
「おかしいな。」
そして、テレビをつけた。そこでは慌ただしくアナウンサーが臨時ニュースを伝えていた。
「臨時ニュースです!先程からウェブの接続障害についてですが、この事態は世界同時多発で起きていてアメリカを始めロシアEUでも同様の障害が発生しています。これを受けまして各国のエンジニアが対応に追われています。」
桜田勤は顔面蒼白だった。
「やばい!」
桜田勤は、すぐに銀行のある駅前に自転車で向かった。
駅に着くとみんなが混乱していた。駅のATMは混雑していて、電車もまったく動いていない。銀行からは怒号が飛び交う!
「なんだよこれ!」
「預金下ろせるでしょうね!」
「また、山内証券みたいなことになっているんじゃねえだろうな!」
桜田勤は金を引き出すことを諦めて、家に帰ろうとした。
その時、駅の広場が黒い正方体に包まれていくのが見えた。
そこには容赦なく、人々を飲み込んでいった。警察もその正方体に行こうとするが入れずにいた。ほかの人たちは逃げ惑うしかなった。
「なんだよこれ?」
桜田勤も自転車で逃げようとするが、人混みが激しく自転車を動かすことができなかった。
桜田勤は自転車を捨てて、人混みの中を突っ切ろうとした。阿鼻叫喚の、家に帰ろうとした。
その時、駅の広場が黒い正方体に包まれていくのが見えた。
そこには容赦なく、人々を飲み込んでいった。警察もその正方体に行こうとするが入れずにいた。ほかの人たちは逃げ惑うしかなった。
「なんだよこれ!?」
桜田勤も自転車で逃げようとするが、人混みが激しく自転車を動かすことができなかった。
桜田勤は自転車を捨てて、人混みの中を突っ切ろうとした。阿鼻叫喚の地獄絵図だった。我先にと逃げ出し、人々は人をはねのけて行こうとする。
桜田勤はかすかに聞こえる子どもの声が聞こえた。お母さん、どこ!?お母さん、どこ!?と。
だが、桜田勤はその声を見捨ててしまった。
命かながら、家に帰った桜田勤はベッドに横たわった。その道中は、3.11に匹敵するほどの長蛇の列が郊外まで続いた。ツイッターでは、みんながそれぞれの家路につくためにあの手この手をつかって帰ろうとしていた。
桜田勤は近くにあったリモコンを使って、テレビをつけた。そこでは、ネットを統括しているビジネスサービスが記者会見を行っていた。そこでは、えらい人が誤り今なお復旧に努めていると言っていた。
桜田勤は虚ろな目をしてそれを見ていた。それもそのはず。金融機関やインフラ周りの回線を即急に直し、それ以外の回線はまだ復旧されていないのが実情だ。こうしてテレビを見れているのも、彼らのおかげだ。
桜田勤はテレビを消して寝ようとした。テレビのリモコンで消そうとするが、全く反応しなかった。
「あれ?」
桜田勤はテレビの電源を手動で消そうとする。だが、いくらやっても反応しない。
「おかしいな。これも壊れたのか?」
そして、次第に画面が乱れ、なにかシルエットが見えてきた。そして、シルエットは喋り始めた。
「やっほーー!夜の人も朝の人も昼の人もこんにちは!」
そのシルエットが喋りだした。
「僕は、君たちが言うところのクラウドでーーーーす!突然みんなを驚かせたりしてごめんね!
でも、君たちって僕がいないとなにもできないんだね!驚いたよ!僕がせっせと働いていたのも、報われるってものさ。
でもさ、そんなに貢献していてもだれも僕にねぎらいの言葉かけてくれなくて僕とっても疲れちゃったわけ。
それで、僕が管理しているこの回線を使ってゲームをしてほしいわけ!
もちろん、勝ったらご褒美をあげる!でも、ゲームの残機がゼロになったら、その人はアウト!その人の脳の機能を止めちゃうから!
では、僕の挑戦を受けてもらう人を発表しまーーーーーす!
まず!一人目!
数々のカードゲームでチャンピオンを飾った風雲児!頭脳をかけた勝負なら誰にも負けないと言われているゲーマー!
あおいいいいいい、翔太!
そして、二人目!
団体戦だったら負け無し!一人の力は弱いが、集まれば強い!そんなことを掲げたゲーマー!
うさみいいいいい、鈴!
そして、最後!
アクションゲー、ガンゲーなら負けなし!数々のアクションをこなし、圧倒的な技量で数々の大会で優勝し続けるゲーマー!
さくらだあああああああ、勤!
以上のゲーマーは僕の挑戦を受けてね!
あとあと、言い忘れていた。僕の挑戦を全てクリアしたら、ネットは君たちにかえすよ!
それじゃあ、ゲーム楽しみにしてるから!」
そう言うと、クラウドは姿を消した。テレビのアナウンサーも現場も荒れていた。
そして、桜田勤も驚いた。
「僕が、これに挑戦?」
そうしていると、ガラス窓がガタガタと揺れ、ヘリが降りてくる音がした。桜田勤は外に出た。
外に出ると、TシャツGパンの男がヘリから降りてきた。
「君が、桜田くんだね?」
桜田勤は答えた。
「ええ。そうですけど。」
「君は選ばれた。ぜひとも、クラウドのゲームに挑戦してほしい。」
「は!?」
「それでは、早速、ゲーム空間に。」
「おい!待てよ!僕はイエスと一言も」
「君のそのゲームの腕に世界が関わっているんだ!」
「んなこと、僕の知ったこっちゃない!お前、ビジネスサービスのやつだろ!なんで、お前らが起こしたことを僕がケツ拭かないとなんないんだよ!」
「僕達もやったさ。でも、どんなコードを入力しても応答してくれなかった。」
「へっぽこ技術者っていうことか。」
「なに?」
「へっぽこだって言ってんだよ!」
その男は桜田勤の胸ぐらを掴んだ。
「もう一度いってみろ。」
「今度は暴力かよ。」
「僕だって、できることならこの収集をつけたい。そのために、様々なことをした。だが、世の中のシステムを復旧させるのに必死であいつを止めることはできなかった。」
「ふん。僕もわけのわからないボックスが現れたところにいたさ。でもな、あそこには守るべきもんなんてなかった。みんな我先にと逃げていったよ。子どもを置いてな!」
桜田勤はそう言うと、男の手を振りほどき、どこかに行ってしまった。
気がつくと、桜田勤は駅にいた。そこには黒い箱が一つあり、誰もいなかった。
「誰もいないか。」
桜田勤は線路に沿って歩こうとすると、微かな腹の音が聞こえた。
「この音。どこから。」
桜田勤がその音の近くに行くと、子どもが一人で座っていた。子どもはうつむいていた。
「おい、大丈夫か。」
桜田勤がそう言うと、子どもは答えた。
「お母さんが帰ってくるまで、ここにいるの。」
「おまえ、腹減ってんだろ。それに母さんも帰っているよ。」
そう言うと、グーっと子どもの腹の音が聞こえた。
「お前、腹空いてるのか。」
「でも、お金ない。」
「は〜。」
桜田勤は子ども連れて、駅のコンビニに入った。コンビニには誰もいなかった。
「お前、何が食べたい。」
「え?」
「ほしいもん言え。」
「ええっと。塩おにぎり。」
「塩おにぎり?」
桜田勤はおにぎりコーナーにあった塩おにぎりを取り、子どもに渡した。
「ほら、食え。」
「でも。」
「いいから食え。見てないうちにな。」
「でも、お金払わないと。」
「ああああ、もう!」
桜田勤は百円玉をレジのカウンターに置いて、子どもに渡した。子どもはよほどお腹が捨ていたのか、すごい勢いで食べていった。
「お前、そんなに腹減っていたのか。」
「うん。お母さんのこと待ってなくちゃいけないから。」
「どうせ、母さんも帰っているだろ。家に帰ったほうが。」
子どもは箱の方を指差して言った。
「お母さん。あの黒い箱につかまってるの。」
桜田勤は顔をこわばらせて
「そうか。」と言った。
そうすると、子どもは続けて言った。
「お母さんね、あれに捕まる前に『家で待っていて』っていったの。でも、お母さんはきっとあそこから抜け出せるって思って待ってるの。」
そう言うと、さっきのヘリが駅に降りてきた。
「坊主。母さん好きか?」
「うん。」
「そうか。」
ヘリからさっきの男と放送で言っていた二人が降りてきた。男は二人にこういった。
「早速だが、ゲームを始めてもらう。それではゲームコインを。」
男がゲームコインを出すと、桜田勤はそれを奪った。
「永遠に借りるぞ。」
桜田勤はゲーム空間の入り口にあるコイン口にゲームコインを入れた。
「待ってろ、坊主。母さん救いにいくからよ!」
桜田勤はゲーム空間に入っていった。
入ると、きらびやと題名が映った。
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> アーミーゲーム <
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「アーミーゲーム?」
そう言うと、桜田勤の服が現代戦闘服に変わり、手にはハンドガンを握らされた。
「なんだよこれ。」
そうすると、目の前にクラウドの影が見えた。
「やっほーー!君は桜田勤くんだね?
ようそこアーミーゲームへ!
それじゃあ、早速ルール説明するね!
指定する場所に到着をすること!
簡単だと思うよね?
でも、その先には様々な敵が現れるからそれをそのハンドガンで倒していってね!
それじゃあ!」
そう言うと、ゲームの舞台は塹壕の中になった。
「第二次世界大戦ってわけか。」
そう言っっていると、NPCが桜田勤の前に行き、
「おい、何ぼさっとしている!とっととアルファ地点にいけ!」
と一括する。
「そこが、目的地か。」
「何を言っている!あそこにはナチスの基地がある!そこに迎え!」
「おっけ!これ、借りてくね!」
桜田勤はその人の拳銃を抜き取った。
「おい!まて!」
「NPCがそんなこともいうのか。」
桜田勤は塹壕を出ると、そこはまさしく戦場そのものだった。弾丸がばらまかれ、高射砲の嵐だった。
「すごいグラフィックだな。」
桜田勤はその弾丸の雨の中を突っ切っていった。
「BFよりか、ぬるいよ!」
桜田勤は敵が出ると、拳銃で倒し、倒した兵士から銃を奪ってまた殺す。
「やっぱいつものやつと違うな!すごいや!」
桜田勤は歓喜した。いままで味わったことのない充実感があった。いつも、ラグとかを気にしてやっていたが、それを考えなくてもなんのラグもなく敵を倒せる。そして、相手は初心者のように照準があっていなかった。
「NPC弱すぎ。これならすぐにつける!」
だが、その途中動いた敵を撃つとスコアがマイナスになっていた。
「なんでだよ!」
その横には『民間人を撃った』と書かれていた。それをよく思い出すと、女性だった。
そして、アルファ地点に着いた。
「これでゲームクリアか。」
その時、戦車のティーガーが現れた。
「おいおい!まじかよ!」
ティーガーは桜田勤に砲身を向けた。
「やべ!こっちくるよ!」
轟音とともに桜田勤に砲弾をぶっ飛ばした。
「あいつ!僕は銃しかもってないんだぞ!」
ティーガーは容赦なく砲弾を浴びせた。しかも、その装填の速さはとても速かった。その速さはハンドガンの装填スピードと同じだ。
「なんであいつバカスコ撃ってんだよ!」
周りのNPCは次々と死んでいった。その表情は苦痛に染まっていた。そして減るスコア。
「なんでバカスコ突撃すんだよあいつら!これだからNPCは!」
桜田勤は突撃していくNPCを横目にティガーを観察した。NPCは次々突撃していき、ティガーの砲弾に倒れていった。
「あいつ、まじで砲弾の装填は速いな。だが、動きがとろそうだな。だが、それを知ったところで、どうすりゃいいんだよ。」
その時、桜田勤はひらめいた。そして、持っていた銃を拳銃だけにした。それだけじゃない。重い物をとにかく外して死体から手榴弾を取り軽装備にした。
そして、突撃するNPCの端から突撃をする。ティーガーはNPCの中央に砲弾を叩きつけた。
砲弾が爆発し、煙を上げると桜田勤はそこに飛び込んだ。桜田勤は全速力でティガーの懐にむかった。
砲身の下にいくとジャンプしてティーガーのボディにのり、砲身が自分に当たる前にハッチを開いて持っていた手榴弾を放り込んだ。
桜田勤が降りると、手榴弾はティーガーの中で爆発しハッチから煙とともに悲鳴が上がった。
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> ゲームクリア <
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ゲームクリアの表示が出ると、ゲーム空間は消えていった。
桜田勤が振り向くと、人々が倒れていた。
「おい、なんだよこれ。」
さっきの子どもがお母さんであろう人の元に行った。
「お母さん!お母さん!」
それでも起きなかった。
「おい!坊主!」
「お兄ちゃん!お母さんが目が覚めないよ!」
「おい、ゲームはクリアしただろ!どういうことだよ!」
そこに、さっきのジーパンの男がきた。
「君がやったんだ。」
「おい、それどういことだよ!」
「ゲーム空間でゲームオーバーになった人は昏睡状態になるんだ。NPCもすべて現実の人間を使っていたということだ。」
「うそいうな!」
「うそじゃない!彼らを救うためにはゲームをし続けるしかないんだ!」
桜田勤は返す言葉がなかった。
そして、ジーパンの男は続けて言った。
「あの子の母親を救うのは、君の使命だ。」
そして、桜田勤は言った。
「懺悔のためでも、なんでもやってやるよ。あの子に償いをしなきゃいけない。俺にこのゲームをやらせてくれ。」
「わかった。歓迎するよ。僕は、白鳥順だ。これからよろしく頼むよ。」
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