「歌物語」というジャンルがあります。本作は何となくそういう世界を連想させますが、登場するのは「和歌」ではなく、漢詩に近い形の「漢柳」が駆使されているところが特色です。(なお、「漢柳」とは作者さまの命名になります)
私自身、漢詩の素養はほとんどないのですが、この『桃花詩記』が放つ魅力は不思議なもので、そんな私を惹き付けてしまうのです。
律という秘境めいた国を舞台に、物語はゆるやかに、けれど少し謎めきつつ進行します。時にロマンチックに、時にミステリアスに、個性的なキャラクターが織り成す『桃花詩記』を、是非多くの方に味わって欲しいな、と思うのです。