第二輪 アネモネ ~儚き恋~

いつもより早く家を出たせいで、学校に早くついてしまった。生徒らしき姿はどこにもない。いつも通っているはずなのに、人がいないだけでこんなにも印象が違うのかと思う。一人感慨にふけっていると、ふと体育館裏の方に向かう女生徒の姿が見えた。こんな時間に何をしているのか?普段はスルーするはずなのに、今日はなぜか、好奇心が沸いてしまった。吸い寄せられる様に、彼女が姿を消した方へ足を向けた。恐る恐る覗いてみると、そこには女生徒が一人、ぽつんと立っていた。どこかで見たことがあるような・・・。うーんと頭をひねって考える。

「あっ!!」

夢で見たあの娘だ。本当に正夢になるなんて。

「誰ですか!」

その娘がこちらに声を掛ける。どうやら、声が漏れていたようだ。ばれてしまっては仕方ない。そそくさと彼女の前に歩み出る。

「あなたが、私を呼び出したのですが?」

あー誰かが、この娘に告白しようとして呼び出したんだな。何となく状況は把握できた。

「ちが・・・・」

訂正しようと言葉を発しようとした瞬間、俺の言葉、彼女の言葉に遮られた。

「ごめんなさい!私、あなたと付き合う事はできません。本当にごめんなさい!」

そう言い終わると、彼女は背を向けて走り去ってしまった。

「ちょっと・・・・」

きょとんとする俺を置き去りにして、彼女の姿は見えなくなった。

「・・・まじか・・・」

まじか・・・。告白する前に振られるとか、どんだけ残念なんだよ。というか、俺が告白したかった訳じゃないし。呆然と立ち尽くす俺、好きでもない奴に振られ、虚しく時間だけが過ぎていった。

「今日は、いつもより空が高いな・・・」

何故だか、涙が溢れてきた。始まってもいない恋が、今終わりを告げた。

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