第24話ゴミ処理

 レジスタンスのリーダー、アインが根城にしている路地裏のアジトでの話し合いから一日が経過し、俺たちは作戦決行までに、この街オスターの構造を知るために、それぞれがやるべきことをすべく、行動を開始した。


 バルとメスのコンビはレジスタンスの諜報員たちと共に、作戦決行までの間、出来るだけ情報を集めることと、作戦当日に街の外に出歩かないように、それとなく人々に伝え回っている。


 これはかなり慎重に、しかし確実に遂行しなければいけない重要任務だ。

 オスターをパリセミリスから奪還しても、街の住民がいなくなれば元も子もないのだ。


 アーロンが信頼し連れてきた二人だ、レジスタンスの諜報員たちと協力し、きっと成し遂げてくれるだろう。


 セドリックとルナの二人は屋敷を見張り、アリアとフルク王子が移送されないかを監視すると同時に、作戦決行時、俺たちが屋敷に侵入するためのルートと、目視できる範囲で敵の配置を確認している。


 屋敷はかなり広く数箇所からの突入となる、その際、敵に気づかれた時に後方から支援するためと、仮に屋敷に応援の部隊が来た時に、足止めをする重要な任務だ。


 リリアーナとゼン、アーロンとパリスは現在デート中だ!

 もちろん、ただデートしているわけではない。

 パリセミリス兵の目をあざむきながら、街の構造を頭に叩き込んでいるのだ。


 アインの計画では、街で派手にパリセミリス兵とやり合うわけだから、街の構造を理解していなければ不利になることは間違いないのだ。

 地図で教えられた街並みよりも、直で確認した方がいいに決まっている。


 リリアーナにゼンの二人は街の南西で暴れる手はずになっている。

 アーロンとパリスは街の南東で暴れる手はずだ。


 この位置にも理由がある。

 ドウンの屋敷が位置するのが街の北だ。

 つまり屋敷から最も離れた位置で騒ぎを起こし、パリセミリスの兵をできるだけ屋敷から遠ざけるためだ。


 スネークとポブの役割はその俊敏さを生かし、戦場での連絡係だ。

 これも戦場では重要な役割になってくる。


 敵の戦力が一方に集中してしまえば、それだけ一方が不利になり、安心した敵が屋敷に向かってしまう恐れがあるためだ。


 そのためスネークとポブの命懸けの連絡網が必要不可欠になってくる。

 戦闘力の低い二人には負担が大きいかもしれないが、やってもらわなければならない。


 俺はもちろんヒーローとしてアリアを救出に行くため、屋敷の攻略に参加する。

 当初、俺がアーロンの元を離れ、屋敷に向かうことをアーロンは止めたのだが、セドリックとゼンが問題ないとアーロンを説得してくれた。


 セドリックとゼンの二人は俺の強さを少しだけ垣間見ていたためだ。

 アーロンは俺が戦えないと思っていたのだろう。


 まぁ無理もない、なんせ俺は前代未聞のクズと呼ばれているのだ。

 そんな俺がまともに剣の稽古をしているとは思えなかったのだろう。


 まぁ稽古なんてしていないのだが。


 なので俺は街の構造を頭に叩き込む必要もないのだ。

 アインの話ではドウンの屋敷の構造は把握できていないとのことなので、当日の出たとこ勝負なのだ。


 そのため複数箇所から侵入するのだ。

 そんなわけで、俺は暇なので街を一人でふらついている。

 もちろん可愛い女をゲットハントするためだ。


 可愛い子がいないか街を散策しているのだが、皆表情が暗く、これではせっかく可愛い女とすれ違っても見落としてしまう。


 早いところパリセミリスの連中を何とかしなければなと思っていると、前からリリアーナとゼンが腕を組みながら歩いてくる。


 二人は俺の目を見てそっと頷き、俺も知らん振りをして通り過ぎ、露店で串肉を一つ買う。


「オヤジ! 一つ貰えるか」

「へい! 毎度あり」


 串肉を買いこの場を離れるため振り返ると、パリセミリスの兵と肩がぶつかってしまった。


「わりぃ!」


 俺は片手を上げて謝り肉を頬張っていたのだが、愚か者が小汚い手で俺の肩を掴みニヤついておる。


「てめぇなめてんのか?」

「礼儀を教えてやった方がいいんじゃねぇか?」


 二人組のパリセミリス兵は俺の肩を掴み、人気のない路地裏まで俺に付いてくるよう言っている。

 路地に入るとすぐに、二人の男は俺に迫ってくる。


「なにのんきに肉食ってんだコノヤロー!」

「殺されてぇのか? あぁぁ」


 一人の男が俺の胸ぐらを掴み威圧してくるのだが、すぐに悲鳴に変わる。


「ぎゃぁぁあああ! うでがぁぁああ! おれのうでがぁぁあああ!」


 俺は汚い手で触れた男の腕を手刀で切り落としてやった。

 ドバドバと鮮血が流れ落ち、仲間の男が腰に提げていた安物を抜き、俺に突きつけている!


「な、なんだてめぇ!」


 俺はこんなゴミと話する気すら起きず、男を睨みつけるとガタガタと震え始めた。

 当然だ、人になったとはいえ俺の魔王邪気は健在なのだ。

 男は震え上がり股間から湯気を立てておる。

 

 なんと汚い奴だ。

 いい年してお漏らしか、情けない。


 俺はガタガタと震え、お漏らしをした男の首を刎ね、腕を切り落とされぎゃぎゃとうるさいゴミの顔面を切り裂いた。


 俺は肉片と化した生ゴミを見つめ考える。

 生ゴミをこのままにしていては作戦に支障が出るかもしれん。


 そこで俺は右掌に黒炎を生み出し、生ゴミを綺麗に灰すら残さず一瞬で焼き尽くした。


 左手に持っていた最後の串肉を頬張り、俺はアインのアジトへと帰っていく。

 明日はついに作戦決行だ!

 ゴミの駆除は久々なので、前世の血が騒いでおるのか?

 まぁなんでもいいか。

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