第15話初夜
山賊の中には頭のリリアーナを含め3人女がいたのだが、俺の御眼鏡に適ったのはリリアーナだけだ。
俺は女なら誰でもいいというわけではない。
一番はやはり顔だ!
性格なんてものは二の次だ。
顔より性格だと抜かすバカがたまにいるのだが、あれは偽善だ。
王宮内でたまに開かれていた舞踏会に集まる、いけ好かない貴族たちを見ていてもそれは良くわかる。
顔の悪い貴族の娘はダンスに誘われることもなく、退屈そうにしていたし、顔の悪い男はダンスに誘っても女に断れる始末だ。
ところが整形魔法で見違えるように美しくなった者や、かっこよくなった者はこれまでとは違う扱いを受けていたのだ。
人間なんてそんなものだ。
俺も今は人間だ、人間の業に従っているまでのことだ。
なのでココル村に帰るまでの道のりで、セドリックに近づき、耳元で囁いてやったまでのこと。
「セドリック、リリアーナ以外の女のハートはお前が射抜いていいぞ! 俺が許可する」
セドリックは俺の顔を見ていやらしい笑みを浮かべていた。
女好きのセドリックなら当然の反応だろう。
山賊の女二名は俺の御眼鏡に適わなかったというだけで、美人なのだ。
「親友になれそうだなアル!」
やはりコイツは俺と同じ人種だ。
パリスやルナを連れてこなくて正解だった。
もしもあの二人を連れてきていたら何を言われたかわからん。
まぁいずれはパリスにしてもルナにしても俺のモノになる運命なのだが。
村の入口に到着し、兵にアーロンやアリアたちに報告してくるように伝えた。
もちろん、いらん報告はするなと釘は刺しておいたが。
ゼンや山賊たちを兵のみんなに紹介するため、俺たちも村の中央広場に向かい、歩いている。
俺はリリアーナにそっと背後から近づき、軽くお尻を撫でてやると、リリアーナは飛び跳ねるほどに喜んでいた。
「いやぁああ! なにすんのよこの変態!」
「お前ツンデレをしているつもりか? できていないぞ!」
「あんた頭おかしいんじゃないの?」
怒っているふりをして胸を突き出し、豊満なバストをアピールしてるな。
欲しがるやつだなぁ。
仕方ない、期待に応えてやるか!
俺はやたらと胸を突き出すリリアーナの気持ちを察して、期待に応えるため、その豊満な胸を両手で鷲掴みにしてやった。
「いやぁああ!」
――バシッ!
強烈なリリアーナの平手が俺の頬に飛んできた。
なんという無礼!
「なにすんだよ!」
「こっちのセリフよ! 信じらんないこの変態!」
周りの者たちの俺を見る目が少しだけ冷たいような気がする。
だがそんなこと俺は気にしない、なぜなら俺は王子様なのだ!
そしてリリアーナは俺の側室なのだ!
何も分かっていないリリアーナに、しっかりと現実を教えてやらねば。
「リリアーナよ!」
両腕を抱え胸を隠しながら、体をねじり警戒するリリアーナ。
「な、なによ!」
「お前今日の夜には俺と一緒に寝るんだぞ!」
「はぁああ? 寝ないわよ! なに言ってんの!」
コイツ本気で驚いてやがる!
側室としての自覚が足りないんじゃないのか?
自覚の足りないリリアーナに、俺は真剣な顔でもう一度言ってやった。
「お前は今夜俺に抱かれるんだよ。冗談なんかじゃなく、ほんとにお前は俺の側室になったんだよ」
俺の真剣な顔を見て本気だと悟ったのか、リリアーナは頬を赤らめて顔を横に向けた。
「……初めてだから、優しくしてよね」
ようやく自覚したか。
やはり! まんざらでもなかったのだろう。
リリアーナは両手を後ろに回し、もじもじと恥ずかしそうに俯いた。
「あたしのこと気に入ったって言っていたけど……好きってこと?」
なんだ突然もじもじして。
「ああ、好きだ!」
沸騰したヤカンのように頭から湯気を上げるリリアーナ。
「そう……わかった」
なにがわかったのだ?
さっぱりわからんが、まぁいい。
抱かれる気になったということだろう、いいことだ。
その後、中央広場に着きアーロンたちにゼンたちを紹介し、アリアにも報告ついでに二人の距離を近づけようと、辺を見渡し探したのだが、いないようだ。
少し残念ではあったが、リリアーナという収穫を得たし、まぁ良しとしよう。
しかし俺たちはいつまでここセスタリカに居ることになるんだろうな?
もしも本格的にセスタリカとパリセミリスの戦争に参戦することになったら、ひょっとするといずれはリリアーナたちの
そんなことを考えていると、お楽しみの夜がやってきた。
飛空艇の自室のベッドの上で寛ぐ俺。
コンコン!
そこにノックの音が飛び込んだ。
「どうぞ」
入ってきたのはもちろんリリアーナだ。
括っていた髪を解き、自慢のバストを強調するようなパープルのネグリジェ。
丈が短く、屈んだだけで下着が顔を覗き出しそうだ。
リリアーナは恥ずかしそうにネグリジェの裾を下に引っ張り、今にも見えそうな下着を隠そうとしている。
恥ずかしいのか、部屋に入ったまま立ち止まり、決して俺を見ようとはしない。
「こっちに来たらどうだ!」
リリアーナはちょこんとベッドの端に座った。
「そんな端にいないでこっちに来いよ」
「……うん」
ベッドの中央に、なぜか正座で座るリリアーナ。
リリアーナの頬に手を当て、そっと顔を近づけ唇を重ねる。
舌を少し入れただけで声が漏れる。
「っあぁ」
俺の目を見つめるリリアーナの表情は完全にとろけていた。
俺はそのままリリアーナを優しくベッドに寝かせ、覆いかぶさった。
「アルトロ……優しくしてね」
「わかってるさ、愛しのリリアーナ」
こうして俺とリリアーナの初夜は過ぎていく。
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