Call7 頼れるトモダチ




「へぇー……じゃあ友達にはなれたんだ。すっごい」

 授業の後と、昼休みの時間を使って私が昨日の出来事を伝えると、和美は椅子を机に寄せながら、興味深々な様子でそう言った。

「すんなり信じてくれる和美にびっくりだよ、嬉しいけど」

「そりゃね、るーは嘘つかないし」

 半信半疑でも、そこまで信頼してくれてるのは嬉しい。

「そんな面白い作り話しなんて作れないだろうし」

 和美このヤロー。

「文芸部の私に喧嘩売ったかいまー!」

「るーってオカルト否定する話多いじゃん! るーが書いたらメリーさんはいませんでしたーってオチにするでしょー!」

「う……」

 自覚はある。

 私はなんというか……オカルト話は好きだし、それに関係する場所は好きだけど、実在は信じてなかった。

 信じて傾倒したのは小学校の途中まで、いじめとかをいろいろ乗り切ろうとした際に、魔法道具や呪術より打撃の方が有効だと気付いた結果、私はオカルトをあまり深く信じなくなった。

 お母さんの事がなければ、実在しない答えの分かりきった七不思議の検証なんてする気もなかったのだ。

 趣味でオカルト話を書く時も、和美の言うように、実は人がいたとか、幽霊が実在しないパターンにすることも多い。

 和美はその点、オカルトを信じやすい性格だと思う。

「ま、るーのオカルト話の嗜好はおいといて、この学校の七不思議とメリーさんのことは調べといた方がいいかな」

「う、うん」

 旗色が悪かった私は、それに素直に頷く。

 すると、和美は意気揚々とした様子でこう言った。



「放課後にうちの部室に来るといいよ、だいたい必要な本あるし、オカルト部の部員たる私が、懇切丁寧に教えてあげよー!」







   ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 私の学校の七不思議は、ちょっと特殊だ。

『深夜二時のメリーさん』

『三番扉の花子さん』

『四つ目の空き教室』

『五秒さん』

『六人目のかげぼうし』

 それにあと二つを加えた七つが、私の通う夢見ヶ丘中学校の七不思議。

 一番から七番までの数字が、七不思議それぞれにあてはまってるのが特徴だ。

 と、そこまで考えて人面犬の顔が浮かぶ。

 人面犬は確か、私の学校の七不思議じゃなかったはずだけど……なんなんだろう。

 それに……七不思議を二つ忘れている。

 前までは覚えてた気がするのに。



「うーん、なんだっけ……」

 


 夕日の差し込む廊下……放課後、和美の待つオカルト部の部室に向かいながら、私はそう呟いた。

 なにか、ぼんやりしてしまって思い出せない。

 誰もいない廊下は静かなもので、私の足音だけが耳に響く。

 あとは、和美の場所に行くだけ。



 そう……私が思った時。



 私のポケットのスマホが……学校に持ってきた覚えのないそれが、音を立てて鳴った。



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