第21話 ここは何処? 私は誰? (10)

「やぁ、きたね、お兄さん。この世界はどうだい? 楽しいかい?」


 儂がね、お姉様に近寄るといきなりこんな感じの言葉を笑みしながら述べてきたよ。彼女は……。


 でもさ、死んでる俺に楽しいはないとは思うのだが?


 まあ、儂自身、余り気にしてもしょうがない。


 取り敢えずは、お姉様に『あの世は、どうだい? 楽しいかい?』と、世間話のように訊ねられたから。


「いや、楽しいも何も……。周りの人達が、儂やお姉さん以外は、無感情だから、全然楽しくないよ…さんyrん」


 儂はね、少し拗ねた様子で、不満の言葉をお姉さんに漏らしたよ。


「アッ、ハッハッハッ……。そうかい! 楽しくないかい? まあ、周りは亡者ばかりだから反応はないからね」


 まあ、儂の目の前に居るお姉様は。拗ねてる儂の表情が面白いのだろうか? 大変に大笑いし始める。


 また、その仕草が、何とも豪快な笑いでさ!


 まるでね男性のようだよ?


 う~ん、でもね?


 このお姉様は言葉遣いは大変に荒いが、お顔の方は……。超が付く程の美人……。


 もしも本当にこの世に女神様という者がいるなら。多分こんな感じの女性なのかも知れないと、儂は思った?


 まあ、それぐらい美人さんだな、お姉さんは……。


 だから儂は年甲斐もなくジィ~ッと、凝視してしまった。


 儂自身はもう既に、男の性と言う奴は衰退している筈なのに……。


 お姉さんを凝視していると──。


 お姉さん自身が妖艶な服装を着衣しているから、ついついと性欲と言うものが湧いてきたよ。


 まあ、それぐらい目の前のお姉さんは美人さんなのだよ。


 とにかく、そんな容姿と裏腹に声は大雑把なお姉様に、儂は言葉を返すことにした。


「いや、亡者もなにも……。儂自身も死んでいるから亡者なんだが……。それにお姉さんも死んでいるからここにきたんだろう?」


 儂は苦笑いをしながらお姉さん言葉をかけ訊ねたよ。


 それとさ? 儂は先程から、思案をしながら困惑をしている事がある。


 何で儂だけ? お姉さんと話しが出来るのだろうか?


 それと自分の意志で動き回れる事も?


 悩みに悩んだよ、お姉さんと話しをしながらね。

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