第20話 ここは何処? 私は誰? (9)

 まあ、そう言う訳だから、儂はない知恵を絞って──。その場『でジャンプ! ジャンプ!』をしたのだよ。


 それも何度も何度もね……。


 少しでも儂自身が遠くが見通せるように!



 ……ん? するといたぁ~! お姉様が~!


 自身の口に両手を当て──。


 儂を呼んでいる姿が目に映る。


 う~ん、どうやら、儂の事を未だ呼んでいるようだね。


「おぉ~い! おぉ~い!」


 と、声を大にして叫びながらね。


 でッ、儂はその後、取り敢えずジャンプするのはやめた。お姉さんを発見出来たから……。


 それに、まあ、あれだよ?


 流石に歳を取っている儂だから、あれだけ連続でジャンプをすると、本当に足に負担がくるから、右足が……。


 う~ん、あれ? 可笑しいな?


 確か、儂の右足は悪いから?


 痛い右足を儂はいつも引きずって歩いていた筈なのに……。


 だから儂はジャンプなどここ数年はした事がないのだよ?


 なのに、今出来るとはどう言う事……?


 と、儂はそんな事を考えながら。先程から儂の事を呼んでくれているお姉さんのいる場所まで、亡者の諸先輩方川の流れのように、列を成して歩いているのを上手く避けながら。


 儂の本来の聞き足である、今は何故か痛みのない足を使用して、軽いステップ!


『ヒョイ! ヒョイ! ヒョイ!』と、言った感じだよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る