第10話 儂は驚愕したよ!(8)
まあ、そんな事を儂は思い出しクヨクヨしながら、その日で全部掃除を終えて──次の日には買い手の人へと元俺の城を引き渡しをしたよ。
と、ここまではよくある話でだね、と、皆さんも思うかも知れない?
だって家のローンを払えなくなり売る人って、儂自身の周りに沢山いるからね。
まあ、とにかく、そんな事が我が家に起こり、儂も相変わらず家族と離れて、単身赴任をしながら他県で1DK暮らしの生活をしていた。
う~ん、でもさ? 傍から見れば、良い歳をしているおじさんが、と、皆さんも可笑しいと思うかも知れない?
やはり今まで、独り暮らしをした事のない儂だから、家族と離れて、一人で暮らすのは、涙が出るほど寂しい。
女房や子供達の声……。
まあ、儂自身もこの歳だからね、流石にさ、子供もね、大きい訳だよ。
だから家族で暮らしている時でも、話し掛けても子供たちは、全くといって良いほどに反応もないよ。
「うん! うん!」と頷くぐらいしかね。
だから基本食事の時は儂が独り言を述べてる事が多々ある。
う~ん、それでもね? やはり単身赴任……。
一人での暮らしが長くなると、家族の顔もみたいし声も聞きたくなる。
それになんと言っても、妻の手作り料理が大変に恋しくなるのだよ。
と、いう事だから休みの前日に儂は妻……。
まあ、先程も述べた通り元妻だけれど。スマートフォンから電話をした。
儂はもう寂しくて堪らない……。
独りで暮らすのが、そろそろ限界だからね。
するとさ、こんな感じの……。
儂の予想もつかない返事が返ってきた。
「お父さん、もう帰らんでええよ! お互い良い機会じゃから、このままもう別れようやぁ……?」
元家の女房、苦笑いしながらの声が儂へと返ってきた。
「はぁあああっ! お、お前何を考えとるんじゃ? 儂は今歳が幾つじゃと思うちょるんや? もう五十半ばじゃけぇ……。今更の別れると言っても……。も、もしかしてお前ら家族? 儂の事を捨てたんか……?」
儂は困惑した。
でッ、徐々に時間が経つと、頭にきて憤怒し始めたから、元女房からしてみれば電話の向こう側になるがのぅ!
儂は憤怒しながらこんな感じの言葉述べてやったのだ。
するとのぅ、元女房も儂に対して、売り言葉に買い言葉だよ。
「捨てるも何も、前の家とは違うけぇ、こんな狭い2LDKのアパートにあんたのおれる場所や荷物を置く場所なんかある訳ないけぇ」
憤怒しながら儂に暴言を吐いてきた。
だから儂はもう、この後からは余り強くは言葉を述べない。どうしても家族の許へと帰りたいと要求するのも止めた……。
今頃良く見るテレビの報道番組で、元夫のドメスティックバイオレンスやストカー行為等が多々問題になっているのを何度か目にしたから。
それに儂が、このまま怒りに任せて、元女房の所に行けば口論となって殴ってしまうかも知れない?
だから自身のスマートフォンから述べた言葉は。
「もうええわ……」
と、だけ伝えたよ。
その後はね、というか?
その日の晩はとにかくお酒を飲みに飲んだよ。
もうね、自分の意識が解らないぐらいなるまで飲んだ!
そして近所迷惑になるような奇声──!
上げに! 上げたよ!
記憶がある間に何度か隣の部屋から『ドンドンドン……』と、煩いと、壁を叩く音も聞こえてきた。
俺の奇声が煩いとでも述べたかったのだと思う?
だからね俺も見た事も無い、隣に住んでる奴に向けて──。
「うるさぁいわぁああああああっ! 文句があるなら、わらぁあああっ! こっちへこんかぁああああああっ!」
声を大にして怒号を放ってやった。
それとついでに、隣の壁を仕返しのように叩きかえしてやったよ。
まあ、記憶のある間だけだったと思うのだけれどね!?
まあ取り敢えず儂は、その後の記憶がないから、多分直ぐに寝落ちをしたのだと思うけれど?
取り敢えずは記憶が無いから……。
隣の奴が文句を述べに来たのかも良くは解らないのだ。
まあ、朝起きて──。その後はよくある話しのパターンだと思う?
何をするのもヤル気の無い儂だから、いけないとは思うけれど。洋酒を片手にフラフラしながら車に乗り……。
飲酒運転で出かけたよ。
これもさ、余り記憶にないんだよ、実は……。
本当にさ、こんなに記憶が無いのは
連れの家で飲めもしないのに先輩に進められて──大人ぶって飲んで自分自身が失禁をした時の事を思い出したよ。
う~ん、でもさ、あれはあれで、こんな若かりしもあったな?
と、しみじみと思い出すよ。
そしてね、未だに後悔する、中坊の頃の俺は……。何であんな物にハマって、オタクになってしまったのか。
あれにさえ凝らなければもっと違った人生……。
それか凝るなら凝るで、中途半端な事はせずに本職を目指した方が良かったのかな?
と、思う事が多々あるよ。
それにこの歳で家族に捨てられたのなら、尚更……。
もう一度あの頃の俺に戻りたいと本当に心から思う。
でもね、もうそんなやり直しの人生等無理だしね。
それに五十半ば第二の人生をやり直そうと言うのも流石にこの歳では覇気も出ないよ……。
だからこのまま飲酒運転で谷底ドカンが!
俺の人生には向いているのかな?
と、思うから。更に強い洋酒を俺自身の口に注いだよ!
更に記憶と! 痛みがわからなくなるぐらい。
飲みに飲んでそのまま『ドカァ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!』と、多分ガードレールに車ごと体当たりしたのだと思うから。
では、皆さん、さようならだ。
◇◇◇◇◇
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