第8話 儂は驚愕したよ!(6)

「あのね、あんた?」


 と、元女房……と、言うか?


 未だこの時は儂の女房だったから、『女房が!』と、説明を入れていくからのぅ。ごちゃごちゃにならんでくれの? お願いじゃけん……。


 まあ、とにかく、女房が儂の事を呼ぶから、「なんじゃ?」と、儂は言葉を返したよ。


 するとな、女房は?


「今ならこの辺りの住宅の販売価格が高いけぇ、上手くすれば、この家のローンの残金が残らんかも知れん? と、言うちょるけぇ、話を一度聞いてみん、不動産屋の人から?」


 儂に家の売却の件で訊ねてきたよ。


 だから儂は「えっ?」と、だけ言葉を返した。


 とにかくこの時の儂は、余りに驚いた……。


 と、言うか?


 我が家のお城の売却など全く頭になかった。


 だ、だって、これから先……。


 儂は死ぬまでこの家で暮らせるものばかりだと、安易に思っていたから。家の売却など全く脳裏になかった。


 だから女房の我が家の売却と、言う言葉は正直儂自身、ショックが大きくこの後も当分の間──。


 儂は沈黙をしたままだった。




 ◇◇◇◇◇






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