第159話、ヒーローのランクとは。
「それで、ヒーローのランク制度って具体的にどうなっているんでありますか?」
帰り際にふと、細柳小枝がそんなことを尋ねた。
「ん? あぁ、ランク制度か。お前それどこで聞いたの?」
「おや、松本くんは存じ上げてないのでありますか? ヒーローにランク制度があることなど有名もまた有名ですぞ」
「俺現役ヒーローなんだが? 知ってるに決まってるだろ。そうじゃなくて、ランク制度なんて言葉どこで聞いたんだろって不思議に思ったんだよ」
「あぁ、そういうことでありましたか。K市では毎年年末にプラチナランクのヒーローへ勲章授与式が行われているんであります。故に、プラチナヒーローは誰もが知る憧れの対象なのであります」
「あぁ、なるほどな」
俺が住んでいたL市のド田舎でも、同様の番組はテレビで放送されていた。たしかにそこで見た知識だけなら、ヒーローのランク制度なんてよく分からないはずだ。
そもそもヒーローのなり方から分からないだろう。まぁ、そもそも彼がヒーローになりたい訳では無いと思うから、そこまで踏み入った話をするつもりは無いのだが。
「ヒーローはカッパー、アイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、ダイヤモンド、プラチナの系七段階にランク分けされているんだよ。テレビに出て人気なのはその中でも最上位プラチナランク。ちなみに俺はダイヤモンドランク。実はかなり上位なんだぜ」
そう言ってニヤリと笑って見せた。俺の回答が想定外だったのだろう。細柳小枝は目を見開いて驚く。隣を歩いてただ話を聞いていた佐藤亜月も、小声で「凄い」と言ってくれる。ふふふ、かなり気分がいい。
「当然であろう。妾の恋人ぉ? とかいう男じゃからな!」
「ちげぇよ」
「なぬ!?」
間髪入れずにバーニングさんへツッコミをお見舞いしてから、すぐに話を戻す。
「俺は順当にランクを上げてきたタイプのヒーローじゃないからあまり詳しくないんだけどさ、ただ、それぞれヒーローのランクごとに特典みたいなのがあって、皆上位を狙ってる感じかな」
「特典? お聞きしても宜しいのですかな?」
細柳の質問に、俺は少し考えてから頷いた。
「機密事項ってわけじゃなかったと思うから多分言っても平気。あぁ、でも案外知られてないようだから、一応内緒にしてくれると嬉しいかな。できる?」
「もちろんであります!」
「は、はい!」
細柳と佐藤がコクコクと頷く横で、両手を広げクルクルと回る謎の遊びをしていたバーニングさんは「とーぜんじゃー! なにがぁ?」と叫んでいる。
うん、あの人は無視でいいな。
「まずは最底辺ランクのカッパーから。ここに属する人はヒーロー見習いみたいな扱いを受ける。ヒーロー学校ってところに入学して、ある程度この国の法律や戦闘技術、武器の扱いなんかを学んだ人が貰えるランクだね。まだ仮ヒーローって扱いで、一人でのヒーロー活動は禁止されてる。だいたい教官とかグループと一緒に行動してるかな」
「ふむ、カッパーヒーローの手帳ならたまに見かけたことがありますな。ごみ拾いをしていたり、交通整理をしていたりする人が胸に着けていた気がしますぞ」
「そうそう。んで、警察とか警備員とかの仕事につけるのがアイアンランクのヒーロー。カッパーランクのヒーローに指導したりするのも彼らの仕事かな」
「警察官たちもヒーローだったんでありますか」
「
「ということは、ブロンズ未満の……アイアンランクにいる警察官さんは戦ったりしないんですか?」
「うん、基本的にしない。ブロンズランクのヒーローでさえ、人としか基本的に戦わないかな。異常性を持った生物と戦うのはシルバーランクからなんだ」
「ついにシルバーですな!」
「シルバーランクになると、常に武器を携帯することが許可されるようになる。そして、
「あぁ、化け物が出た時に避難誘導してくれる方々ですかな?」
「避難誘導は多分ブロンズかアイアンだと思う。シルバーランクの人は、武器を持って戦いに行くことが多いよ。ちなみに俺は異能力保持者ということでいきなりシルバーランクからスタートだった。毎月給料が振り込まれる代わり、管理区域内の安全を守るよう義務を課せられる。とは言っても、シルバーランクの時点でかなり数は少ないんだ。だから大抵はゴールドランクのヒーローと共に行動したり、参加に入って活動してたりするかな。一人で活動するにはしんどいから」
「松本くんも誰かと行動していたんですか?」
「そうだよ佐藤さん。俺の場合は父親と一緒にヒーローやってたかな。俺の父さんはゴールドランクでさ。俺の指導もしてくれてたんだ」
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