第148話、怒り、すなわち愛。
「うがァァァァァ!」
許さない、許さない、許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許せないッ!
どうして! なぜ! なにゆえに! なんで! バーニングさんは泣いていたのにッ!
「俺はァァァァァァッ!」
「な、何だこの力はッ! 妾の怪力が……押されてるッ!」
右手! 右手左手また右手ッ! 甘い遅いぬるい弱い! ガハハハハッ! 許せないッ!
「ちょ、ダーリン!? おばさんはどうしたの? アタシまだ
「なにっ!? なぜ朕の前に戻ってきた若造!」
「ちょ、えっ、マツモトキヨシ!? どこへ行くのじゃ!」
うるせぇぇぇぇ! ガヤが一番うるせぇぇぇぇ! グボッ、ゴボボボボッ! ガバッガッボボッ! い、息がッ!
「ちょ、アクアマリン解除!」
ぷはぁっ、デキル! 息デキル!
「な、何だこの力はッ! 急に何が……! 朕の武術を圧倒的に上回るスピード、パワー、貴様何者だ!」
「ウガァァァァァ!」
「おい小娘! 貴様の伴侶であろう! 止めろ!」
「えー♡ アタシの伴侶なのは認めるけどぉ、止められないよォ♡」
「ふ、ふざけるなぁぁぁぁぉッ!? アビビビビッ」
電撃! 雷撃! 衝撃ィィィィ!
「なんだコイツはッ! 拳一つ一つに……凄まじい電撃……! 休まる暇も……ないっ!」
死ね! 死ね! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねッ!
「マツモト……キヨシ……、どうしてそこまで……」
「グォォァァァアアアアッ! つ、強すぎるッ! た、助け……お助け下さいッ! 天照大御神様ァァァァァァ!」
させぬ! させぬ許さぬ絶対殺すッ!
「あーあ♡ 諦めな魑君さん。ダーリンが本気で怒ったら、誰も止められない。アタシが保証するわ♡ 今のダーリンは、マジで最強なんだから♡」
「ぐぉぉぉっ! 朕にこれほどまでの屈辱を……ッ! クソがァァァァァァ! 魑君流打術参ノ型、獣打幻灯撃拳ッ!」
効かぬ! 喰らわぬ! 効果などないッ! ……居ない!?
「ふはは、さながら……さながら君はただ猪突猛進を繰り返すだけの獣! 朕にすればかわすことなど容易い!」
「ダーリンの攻撃を……回避したの!? でもどうやって……。アタシの目には、ダーリンの拳が顔面にヒットしてるように見えた……」
「ふふふ、忘れられては困るのだ。朕の本質は雪。雪に反射せし幻影こそが朕。溺れることなき今、朕の獣打幻灯撃拳に死角は無いッ!」
グボァッ! ど、どこから! 許さない! 絶対殺す!
「甘い、朕は君の後ろにいるッ!」
グハアッ!
「そこでもない!」
グォッ!
「またはずれだ」
グギギァッ! 痛い、痛い痛い痛いッ!
「何も見えておらぬな、朕に踊らされ、君はここで死ぬ運命なのだッ! 魑君流打術壱ノ型、獣打直線破撃ッ!」
な!? 突っ込んでくる……これもまた、幻覚? ならば! 後ろ、後ろに居るなッ! ウォォォォ!
「残念であったな。今度は幻覚にあらず。朕は君の背後などに立っていない。正真正銘、これが朕の必殺技だッ!」
「ダーリン! 危ない! その突進を受けたら――ッ!」
――避けれないッ!
グアアアアアアアアアアアッ!
「ふはははは! 今しがた貴様の腹に氷を発生させた! 肝機能は停止し、いずれ火傷の苦しみに悶えながら死ぬことであろう! 天照大御神様に働いた無礼を詫び、今この場で死に晒せ!……なにっ!?」
「
腹……痛い……ガ……コロス。
「こいつッ! 更に強くッ!」
ウガァァァァッ! 電撃ニヨッテ、死ニ晒セ! 魑君ッ!
「回避が……出来ないッ!」
ウガァァァァァァァッ!
「ウアアアアアアアアアッ!」
ダンダン……ト、意識……ガ……、ハッキリと、してきた。視界のモヤが、晴れていく、感覚。それに、強まる、腹痛。まるで、下痢をこさえたかのような、不快感と、酷い熱。
「ダーリン! お金が切れたのねッ!」
抱きつかれた、感覚がして、俺は初めて、アーマーが無くなっていることに気づいた。そうか、予算を使い切ったらしい。
見れば、俺の腹に魑君だったものの腕が突き刺さっていた。しかし魑君は今やただの消し炭。真っ黒の棒みたいになっていた。
痛い体を無理やり動かして辺りを見渡す。
俺に抱きつくガトーショコラ、黒焦げのまま動かない細柳小枝、原型を留めていないコンクリートの壁、そして、鏡を握りしめたまま俺を見つめているバーニングさん。
「マツモト……キヨシ」
俺は彼女に微笑んだ。
「俺の名前は、松本ヒロシだっての」
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