第262話 報告と感謝!
ダウザー達を、ルンデンブルクまで送ると言うと当然のように、アルとネロが着いて来るという。
転送出来る人数が多いに越した事は無い。
ネロは一度ジークに呼んだ事があるので、シキブ達をジークまで送って貰う事にする。
アルも昔、ジークに行った事があるので、転移は可能だと言っていた。
ライラにはアルとネロの案内を頼み、ジークに着いたら、俺の部屋で待ってもらうように頼んでおく。
アルとネロには、絶対に暴れるなと、何度も注意をする。
その度に、ふたり共「分かった」とは言うが、心配だ。
とりあえず、俺はルンデンブルクまで【転移】をする。
ダウザー達には、用意が出来たら連絡するように言い、【オートスキル】から【魔法反射(二倍)】を外して、ジークにある俺の部屋まで【転移】する。
部屋には、ライラとアルにネロがいたが、俺の言いつけ通り大人しくしていたようだ。
撮影の予約まで空き時間があるようなので、従業員を全員集める。
何故か、トグルとザックにタイラーも居たので、トグルにザックとタイラーを外へ連れ出すように頼む。
トグルも、俺がこれから言おうとする事を理解しているので、何も言わずに従ってくれた。
「忙しい所、悪いな。皆に報告しないと、いけない事があってだな」
俺が畏まって話すので、マリーとフランは怪訝な顔をしている。
「実は、魔王になった!」
案の定、皆は呆気に取られている。
「タクト、何を言っているの?」
フランは状況が掴めていない様子だ。
詳しく魔王になった経緯を話す。
驚いているが、ライラと魔王であるアルとネロからも補足説明をすると、納得は出来ていないが理解はした様子だ。
「……それで、タクトは今後どうするのよ」
マリーは、店主としてか、個人的に俺を心配してかは分からないが、魔王の俺に対する国からの処遇について尋ねてきた。
「今の所は、特に制限はないが、この事を口外すればお前達、死刑になるかもしれないから気を付けろよ!」
話を聞いていた全員が、絶句していた。
「……なんで、それを先に言わないのよ」
「魔王になったのを黙っていたらいたで、怒るだろう」
「そりゃ、そうだけど……」
「お前達に、隠し事をするのは嫌だったし、誰も口外しないと自信を持っていたから話したんだ」
「……卑怯ね。そんな事言われたら、怒れないじゃない」
マリーはそれ以上、何も言ってこなかった。
その姿を見ていると理由は分らないが何故か、前世の仕事仲間と重なった。
「俺は、いい仲間に恵まれて幸せだな!」
全員を見ながら、感謝の言葉を述べる。
マリーとフランは、何故か顔を赤くしている。
「今更、そんな事を堂々と言われたら照れるじゃない」
「そ、そうよ!」
そんな話をしていると、次の予約客の時間が近付いてきたので、フランは準備があると言って部屋を出て行った。
マリーに「ゴンド村へ一緒に行くか?」と声を掛けてみたが、店でやる事が残っていると断られる。
ダウザー達から「用意が終わった」と連絡が入ったので、迎えに行く事にするがその前に、シキブに連絡を入れて、ゴンド村の帰りに迎えに来ると伝える。
アルとネロは、先に王都に戻ってもらう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
着替え終わったダウザー達は、庶民ぽくは無い。
一番目立たない服装が、これなら俺が文句を言う事は出来ない。
「お忍び用に、平民らしい服位一着くらい持っていてもいいだろう」
「……申し訳御座いません。お忍びで外出出来るなんて、ついこの間まで思ってもみませんでしたから」
「そうだ、タクトに出会わなければ、こんな簡単にあちこち行けるなんて思いつかないからな!」
それは、原因が俺にあると言っているのか?
「悪かった。これからは、ルンデンブルク家には転移魔法を使わないから、安心してくれ」
嫌味を込めて、返事をする。
「いやいや、お前のせいとは言っていないだろう。今度からは指名クエストとして頼むから、拗ねるな!」
「報酬の問題じゃない」
俺は、報酬を貰っていないから怒っているんじゃないんだけど、説明するのも面倒になってきた。
「忙しかったら、断るからな!」
「それで構わん」
忘れ物が無い事を確認すると、ダウザーが部屋の片隅にある箱を持っていくように言われた。
「これは何だ?」
「俺達ルンデンブルク家からの土産だと思ってくれ。手ぶらで行くのも気が引けたのでな」
「そんな、気を使わなくても大丈夫だぞ」
「仮にも魔族と交流を持つ村だぞ! そこを統治している長ともなれば、かなりの切れ者に違いないだろう」
「……確かに、村長を見たら驚くかもな」
ダウザーが村長のゴードンを見たら驚くだろう。
見た目通り、何処にでもいる老人だ。
ルーカス達と合流する為に、王都に戻る。
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