第143話 猫科系種族の共通点!

 開店三日目も、二日目同様に大きな混乱もなく順調だった。

 慣れてきたのか、昼過ぎには終える事が出来た。


 フランは、明日から写真の用意やらがあると言って忙しそうにしている。

 マリーも、予約客の確認やらで忙しそうだ。


 シロとクロには、休暇を与えて好きなことをしていろと言うが、何も無いというので楽な獣姿に変化して、 一緒にスラムに行くことにした。


 久しぶりに、腕の中にシロを抱き、肩にクロを乗せて歩く。

通行人も、物珍しそうに見ている


 スラムの路地に入ると、昨日の虎人が入口付近に居たので挨拶と怪我の具合を聞いて、そのまま奥に進んでいく。

 イルティーが俺達に気が付いて、挨拶をしようとしたが途中で止めて奥に走っていった。


 奥から、イルティーに呼ばれたのかゾリアスも俺の方に駆け寄ってきた!


「どうしたんだ?」

「どうしたじゃない! お前の腕と肩の魔獣って……」

「あぁ、俺の自慢の仲間だ!」


 シロ達を紹介する時は、従者と言わず『仲間』という事にしている。


「いえ、私達はタクト様の従者です」


 クロが、すかさず訂正する。


 ゾリアス達は、魔獣が喋った事に驚いている。

 シロも何か言いそうだったが、俺が笑って頷くと何も言わなかった。


「……タクト、聞いてもいいか?」

「あぁ、何だ?」

「俺の勘違いだと思うが、その二匹の種族を教えてもらっていいか?」

「あぁ、シロにクロ自己紹介してやって!」


 ふたり共頷き、シロが最初に自己紹介をする。


「初めまして、エターナルキャットのシロと申します。 今後とも御主人様共々、宜しく御願い致します」


 続けて、クロだ。


「パーガトリークロウのクロと申します。 至らない点も多々御座いますが、タクト様同様に宜しく御願い致します」


 ふたりの簡単な自己紹介が終わる。

 ゾリアス達が、驚いた顔のまま固まっている。


「おい!」


 俺が声を掛けると、正気に戻ったのか、


「お前が、変人やら規格外と呼ばれるのがよく分かったよ……」


 ゾリアスがため息交じりに話す。

 横のイルティーと入口から着いてきた虎人は、なにやら落ち着きがない……


「お前ら、どうしたんだ?」

「エターナルキャット様の実物を始めて見たので……」


 あぁ、シロが原因か?

 虎人も『猫科系種族』だから、猫人と同じ様に神格化しているのか?


「シロ、イルティー達の手を握ってやって!」


 驚くイルティーの横で、ゾリアスがボソッと、


「なんで、イルティー達だけなんだ!」


 ……そういえば、獅子族も猫科だった気がするな。


「シロ、ゾリアスにも頼む!」


 シロは、俺の腕から飛び出すと、地面に着く間に人型へと変化した。

 ゾリアス達は、何が起きたのかを把握出来ないでいる。


 思考が停止した状態のままのイルティーの手を握る。

 正気に戻ると、恥ずかしそうに頭を何度も下げて礼を言っていた。

 その間、隣のゾリアスはズボンが破れるんじゃないかと思う程、ズボンで手を拭いている。


「これからも、御主人様の力になって下さいね!」


 オタクを殺せる笑顔で、ゾリアスに話しかける。


「は、はい!」


 顔を真っ赤にして、シロを直視出来ないのか目線を上にして返事をしている。


 シロは獣姿になり、俺の腕の中に戻って来た。


「やはり私は、この場所が好きですね」


 抱かれると、嬉しそうに話す。

 腕の中で、ゴロゴロと音が鳴っている。


 ……この音って、もしかして!


「シロ、いま喉鳴らしている?」

「あっ、スイマセン。 無意識に……」

「いや、気にしなくていいよ。 我慢は体に毒だから」

「ありがとうございます」

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