第130話 素直な心!
リロイとニーナに衣装を渡して、それぞれ別室で着替えて貰う。
それぞれにクロとシロ、フランを着付けの補助としてつけた。
俺は独りで、出された飲み物を飲んでいる。
忘れている事が無いかを、再度確認する。
牧師か神父か分からないが、その進行役が居ない。
前回は深く考えていなかったのでクロに頼んだが、今後の事も含めると誰か専任役が居ないと成り立っていかない。
肝が据わっていて動じないような奴か……ダメだ。 全く思いつかない。
今回もクロにお願いするしかないか……申し訳ないな。
クロから着替え終わったと連絡があったので、とりあえず皆戻るように伝える。
リロイは体の線が細いので、良い感じに服と合っている。
「初めて着ましたが、動きやすいですね」
サイズも問題ないようだ。
両側にクロとマイクが並ぶと絵になる。
……適任者発見!
今回は、進行役をマイクに頼んでみる事にする。
「マイク、式で頼みたい事がある」
マイクとクロを呼び、進行役の説明をした。
マイクは、「そういう事であれば」と喜んで承諾してくれた。
詳しい流れや台詞等は、後で紙に書いて渡す事にした。
シロからも準備が終わったと連絡があったので、皆戻るように伝える。
「ニーナも準備が終わったらしいから、戻ってくるぞ」
「はい」
「綺麗過ぎて、驚くなよ!」
「ニーナが美しいのは知っていますから、大丈夫ですよ」
「……そうか」
リロイの純粋な思いが羨ましい。
扉が開き、ドレス姿のニーナが見えた。
服に引けを取らない美しさだ。
「……タクト殿」
「なんだ?」
「先程の言葉は撤回致します。 タクト殿のおっしゃる通り、美しすぎて驚きました」
「だから、言っただろう」
本当に素直だ。
子供の心を持って大人になるとは、こういう事なのだろう。
リロイを人として尊敬出来る人物だと改めて感じた。
窓辺での写真と、背景が良さそうな場所で何枚か撮影をする。
フランは絶好調らしく軽やかに色々な角度から撮っていた。
噴水広場でも撮りたかったが、まだ発表前なので控える事にした。
ある程度、撮り終わったので再度着替えをしてもらう事にする。
防犯も含めて、服は俺が明日まで管理する。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
普段の服に着替え終わったふたりに、今後のスケジュールを話す。
まず、予定通り明日の新聞に結婚の事が載る。
屋敷内の使用人等には、既に結婚の事は伝えているので問題ないそうだ。
三日後の式進行は、マイクに務めてもらうので、式の最中はリロイ達は勿論だが、使用人達もマイクの指示に従って貰う事。
場所は、客間で行う。
会場の用意等は、朝から俺達が行う。
警護も屋敷内の衛兵とは別に、冒険者ギルドからも数人予定しているので安心だ。
指輪交換は、はめる仕草で誤魔化す事にした。
「何か質問はあるか?」
「特にはありませんね。 ニーナは、なにかありますか?」
「はい、私も御座いません」
リロイもニーナも呼び方や、言葉使いが変わってきている。
少しづつ近付こうと努力しているのだろう。
「それじゃあ、明日の新聞でふたりとも忙しくなると思うから、覚悟だけはしておいてくれ」
「はい、承知しました」
笑顔で見送られて、リロイ達と別れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます