第90話 領主の体調!
リロイは街の暴漢の件について、シキブに尋ねている。
「はい、こちらでも色々と調べておりますが、なかなか情報が集まっておりません」
「そうですか、住民が不安な夜を一日でも早く無くせると良いのですが……」
「申し訳御座いません」
「いえいえ、責めているのではありません。冒険者ギルドの方達が一生懸命なのは存じております」
このリロイとかいう領主、育ちの良さもあるのだろうが、貴族の嫌なオーラが無い。
実際に貴族と会っていないので、俺の勝手な貴族のイメージだが……。
「リロイ様。 そろそろ御身体に差し支えます」
「あぁ、そうですね。シキブ殿、タクト殿申し訳ないがこの辺で宜しいでしょうか?」
「はい。御時間頂き有難う御座いました」
リロイをまず退室させて、マイクが来るのを待った。
「タクトが敬語喋れないの忘れてて、咄嗟に手が出てしまって御免なさいね」
「別に気にしなくていいぞ。たいして痛くなかったし、手抜いてくれたんだろう?」
「いえ、咄嗟だったので力は抜いてません、ほぼ全力でしたよ……タクトと居ると、自信失くしますね」
えっ、そうなの!
多少は痛かったけど……。
【身体強化】の影響か!
「お待たせ致しました」
マイクが戻って来た。
「マイク、領主は病気なのか?」
先程の状態が気になり、質問をする。
「病気というか、日を追うごとに元気が無くなっていく感じです。医者にも見せましたが特に異常も無く、治療方法が見当たらないのです」
「【治癒】や【回復】でもダメなのか?」
「はい、毎日試していますが一時的に良くはなるのですが、朝になると効果が無くなってしまってます」
……朝になると効果が無くなる?
どういうことだ?
一度回復すれば、通常生活であれば『HP』を著しく減らすことはない。
むしろ、睡眠で『HP』は復活するはずだ!
「【呪詛】の可能性は?」
「はい、そちらも鑑定士様に鑑定頂きましたが、可能性は低いということでした」
「……そうか、他に変わったことは無いのか?」
「そうですね……」
口髭を指で触りながら思い出そうとしている。
「関係が無いかも知れませんが、調子が悪くなった時期に、窓の外の女性を気にされておりましたね?」
「恋煩いか?」
「私もそう思いましたが、その女性はリロイ様以外に見た者がいないのです」
「幻か?」
「そう考えるのが普通なのでしょうが、リロイ様の言葉を否定する事も出来ません」
確かに、あの真面目そうな領主が嘘を付くとは考えにくい。
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