第31話 忘れてた使命!
「ドラゴンに守られるですと!」
死の淵から帰ってきた村長が、又戻りそうになる。
昨夜は、結局アルには逆らえずにこちらの意見を押し通す形になった。
武器は全て寄付して、ドラゴンは常に山からこちらを見守り、何かあればすぐに飛んでくる。
……しかし、ロイドには悪い事をした。
「タクト様、武器が昨日より多く感じるのは気のせいでしょうか?」
「やっぱりバレたか! 少し実験してたら三倍になった」
昨夜、【複製】のスキル確認をする為に、武器をひたすら【複製】をしていた。
やはり、【複製】出来るのは二つまでだ。
【複製】した武器に【複製】をしても増える事は無かった。
複数本握って、スキルを使っても複製は可能だった。
その結果、ある程度の範囲まではこちらが認識していれば複製可能だ。
ただし、山の様な大きい物は複製不可能だったので建造物も不可能だと思う。
「とてもこの間まででは、考えられない事だ」
村長がショック死しようとしている。
あの世に行っても幸せになれるとは限らないぞ! と思いながら、村長を見ていて大事な事を思い出した。
俺がこの世界に来た理由! そう、エリーヌを神として広めなければ!
「ちょっといいか?」
村長と村人に、今この村で崇める神が居ないのであれば、エリーヌを崇めて欲しい事を伝えた。
迷惑でなければ空いている場所で良いので、小さい教会の様な建物を造りたい。
時間のある時で良いから、感謝の祈りをして欲しい。
決して無理強いはしない。
他に信仰したい神がいれば、そちらを信仰して貰って構わない。
「そんな事で良いのであれば、喜んでさせて頂います。この村を救って頂いたのは間違いなくタクト様です。そのタクト様が崇める神であれば、素晴らしいに決まってます。断る理由はありません」
村長と村人達は快諾してくれた。
エリーヌが、素晴らしい神と言われる度に腹が立つ!
「しかし、エリーヌ様の御姿が分からないのはツラいですな」
確かに、御本尊があるのと無いのでは全然違う。
俺のイメージを具現化出来る方法は……。
たしか、リラが樹木なら自由自在に変える事が出来ると言っていたな。
それにイメージも伝わる。
適任者発見!
「すぐ、戻る」
【転移】を使い、リラが居るであろう『迷いの森』中央の大樹まで来た。
すぐにリラを呼ぶ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「こんなに頻繁に呼ぶのは、タクト様位ですよ」
「わるいな。リラにしか頼めないんで急いで来た」
「依頼内容は、読み取りましたので分かっています。仕方無いですね」
リラは一本の樹に触れると、そこから五〇センチ程の枝が生えた。
それが姿を変えて、エリーヌの姿になった。
「……リラ。悪いけど、俺のイメージと違う」
違うけど違わない。
今回作成依頼したエリーヌのイメージは、出会った瞬間の素晴らしい女神姿だ。
しかし、俺の中のイメージは寝転んで菓子を食べて、雑誌を読んでいるポンコツ女神だ。
リラはポンコツ女神で、木像を作った。
「イメージ通りですが?」
リラの製作した木像のクオリティは、かなり高い!
高いが故に、ポンコツがよりポンコツとなり、ポンコツ指数を格段に上げている。
せっかく作ってくれたので、これはこれで貰っとくとしよう。
「このイメージで頼む」
右手で樹に触れる。
今度は、間違えない様にエリーヌを最大限美化する。
「これで、いいですか?」
イメージ通りだ。
ポンコツ要素が完全に無くなっている。
リラ、いい仕事する。
その横に、もう一体の木像がある。
「……これは?」
「見ての通りですが」
「リラなのは分かるけど……」
「感謝して貰うのであれば、私もして貰いたいです」
そういう事ね。
エリーヌの横に並べて置くか。
像をそれぞれ【複製】する。
リラにお礼言って、ゴンド村に戻る。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リラに製作して貰った像を、皆に見せると感激していた。
『絶世の美女』『可憐な女神』など口々にしている。
リラの姿像も、隣に並べて崇めて貰うように、追加説明をする。
もちろん、反対する者は居ない。
村人の意見で、中央広場に教会を造ることになった。
「タクト様。村を治めるものとして御願いがあります」
「なんだ?」
「なにか、事件があった場合に御連絡を差し上げたいと思いますので、迷惑でなければ
俺の三人目の
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