第32話 娘達の決断!
明日からの作業に備えて、村の中を改めて見て回る。
ロイドとフランが一緒に着いて来てくれた。
アルとネロは、相変わらず〇×ゲームをしている。
違うのは、村の子供達も混ざっている。
村自体はそれなりに大きい。
しかし、魔物の影響なのか村人が減り持主が居なくなり、長年放置されてきたであろう家が多数ある。
現在、入居していてもあちこち傷んでいる。
村長の家でもかなり傷んでいた。
俺のイメージで教会なんて大がかりな建物を要求したが、村人は期待に応えようと良い物を造ろうとするだろう。
しかし、それは俺の本意ではない。
あくまで村人の負担にならないレベルで良い。
生活水準に合わせて、建て替えるなどしていけばいいだけの事だ。
提案を受け入れて貰った事に浮かれすぎていた。
あとで訂正をしておこう。
ここに、住むのであれば色々と手を貸したり出来るが、数日後には旅立つ予定だ。
あまり、この村の干渉するのも良くない。
「おはようございます」
娘達五人から挨拶をされた。
ゴブリンの集落より救出した娘達だ。
フランと何気ない会話をしている。
フランより、改めて女性達を紹介された。
『モモ』『シズ』『リズ』『マリー』と名乗る女性は、奴隷だったが奴隷商人が襲われてゴブリンに捕まっていた。
『ケレル』はこの村出身の女性だ。
「タクト様は、もう少しこの村に居られるのですか?」
水色の髪の『マリー』が質問してきた。
しかし、『様』で呼ばれるのは最初気分が良かったが、段々と嫌になってきた。 今夜の集まった時にでも、呼び方を呼び捨てか、さん付けに変更させよう。
「そうだな、二日後には旅立とうかと思っている」
「……そうですか」
「お前達は、どうするつもりだ?」
元奴隷の四人は帰る場所も無い。
故郷に帰ったとしても、また別の奴隷商人に売られるだけだろう。
「次は何処に行かれる予定ですか?」
「とりあえず、ジークだな」
次の目的地は、ポンコツ女神が転移先にしていた『ジーク』を目指す事を伝えた。
「ジークですか」
行き先をジークというと、フランが考えている。
「私たちは、この村でお世話になろうと思います」
シズとリズはこの村に残るらしい。
今、村でお世話になっている老夫婦によくして貰っているらしい。
似ていると思ったが、やはりシズとリズは双子の姉妹だ。
髪型が違うので、かろうじて区別がつく。
モモは、悩んでいると答えた。
マリーは大きな街に行きたいので、俺達に同行したいらしい。
タイミング的に四人揃っているので、聞きづらい質問をしてみる事にした。
ロイドとフラン、ケレルに少しこの場を外してもらった。
「奴隷になった経緯を教えてくれないか。 嫌なら、話さなくていい」
どうしても、奴隷制度が気に入らない。
自分の嫌なことを、弱い者にさせるというその性根が許せない。
皆、悩んでいる。
デリケートな問題だ。
しかし、俺がロイド達を遠ざけた事で、彼女たちには分かっていたのかも知れない。
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