第8話 腹黒女神改め、ポンコツ女神!
(遅くなりました)
腹黒女神のエリーヌが連絡してきた。
(時間には間に合ったようだな。俺が満足出来るような回答を持ってきたんだろうな!)
(満足出来るかどうか分かんないけど……)
エリーヌから提案は、眷族の提案だった。
神は
エリーヌはまだ就任したばかりなので、一匹しか居ないがその眷族をお供に付けるとの事だった。
神の眷属であればそこそこ強いはずだし、これからの事を考えると事情を知っている仲間が居ることは
心強い。
(お前の誠意は伝わった。俺も鬼ではないのでその提案で今回の事は無かった事にしてやる)
(ありがとう!)
エリーヌは心底嬉しそうだ!
腹黒女神なんてイヤだから、必死だったんだろう!
(じゃあ、眷属の子にそっちに行ってもらうね!)
……切りやがった。
眷族がどんなのか情報位教えろよ!
しかも、いつ来るんだよ!
本来、女神と話すと心が癒される筈なのに、逆にストレスが溜まるって……。
【神との対話】が終えると、目の前に背中から尻尾の根元辺りまで、ピンクの一本線が入った白い猫が居る。
よく見ると尻尾は二本ある。
……いつからそこに居た?
見るからに戦闘態勢ではない。
「はじめまして」
挨拶をすると頭を下げた。
呆気に取られている俺に、
「エリーヌ様の御指示により、ただ今よりお供させてもらいます」
……エリーヌ様?
じゃあ、この猫がエリーヌの眷属ってことか!
エリーヌよりしっかりしている気がする。
いや、待てよ。
エリーヌも最初はこんな感じだった。
なんてったって、エリーヌの眷属だぞ!
出来が良い訳が無い。
「タクト様、大丈夫ですか?」
……タクト様!
思っていた以上に感激だ!
……
「これから、よろしくお願いします」
丁寧に再度、頭を下げた。
「色々と大変だと思うけど、これからよろしく!」
……あれ?
思っていた言葉と発した言葉が違う。
もう一度、
「あっ、ゴメン。なんか言葉が変だったけど、よろしく!」
……おかしい。
俺は最初に「色々と迷惑掛けるかもしれないけど、こちらこそ宜しくお願いします」と言おうとした。
【全知全能】に問いかける。
思っている言葉と発する言葉が微妙に違うが、理由を知りたい。
回答は簡単なもので、【呪詛:言語制限】だった。
……呪詛って、呪いってことだよな。
魔物との戦闘で知らぬ間にかけられていたって事か!
続けて、呪いをかけた奴と時期を聞く。
回答を聞いて唖然とした!
呪いをかけたのは『エリーヌ』、時期は『転移時』だ!
どういうことだよ!
「ちょっと、待っててくれ」
二本尻尾の白猫に声をかけ、即効でアホ女神に連絡をする。
(はいは~い)
相変わらずのお気楽な受け答えだ。
(……おい、呪いってなんだ!)
(何のこと?)
すっ呆けている。
(お前に【呪詛:言語制限】ってのをかけられているんだが、説明しろ!)
(はっ? 何言ってんの、いくら私でもそんな事するわけ無いじゃない)
(御託はいいから、すぐに確認しろ!)
(はいはい、ちょっと待っててよ)
俺の体が一瞬発光した。
(……あれ? なんでだろう? おかしいな?)
(早く説明しろ!)
(私も良く分からないんだけど、確かに私が【呪詛】を施した事になってる)
……アホ女神を通り越して、ポンコツ女神かコイツは!
(思い当たる節は無いのか?)
(あるわけないじゃん。大体【呪詛】って、相手に対してなにかしら『施術』や『儀式』しないと発動しないもん。……あっ!)
(おい、いま何か思い出しただろう!)
(……あのね、タクトが
(あぁ、そうしないとこちらに転移出来ないだろう!)
(その時に、『タクトが皆と友達のように気安く話せますように』ってお祈りをしたのね!)
(それが、なにか関係しているのか? お前が『皆が友達のような世界にしたい』って言っていたよな)
(うん、その時に私が『タクトが皆と友達のように気安く話せますように』って【呪詛】をかけたみたい……)
(はっ? いや、意味が良く分からん)
(結論を言うと、友達口調での会話は出来るけど、敬語とかの丁寧語での会話が出来ないってこと!)
……予想の斜め上の回答だ。
敬語を喋る事が出来ない。
リスク高すぎるだろうが! 世間から見たら、ただの礼儀知らずの小僧だ。
ただでさえ、『無職』なのにどうするんだよこれから……。
(タクト聞こえている)
(聞こえていますよ、ポンコツ女神様!)
(ちょっと、ポンコツって酷くない!)
(ポンコツにポンコツと言って何が悪い。使徒に【呪詛】を施す神が居るか!)
(それは、もののはずみというか)
(もののはずみで、【呪詛】施された身にもなってみろ!)
(……スイマセン)
(何とかしろ)
(えっ!)
(規約違反だろうが何だろうが、どうにかしろ! お前でダメなら、もっと偉い神を連れて来てでも何とかしろ!)
(えっ! あの、その!)
(はやくしろ!)
(はい)
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