第2話 レベルアップ!
……無職確定か。
落ち込んでいても状況が変わる訳でも無い。
とりあえずの目標は、街か村へ行く事だ。
エリーヌのいう事を信用するならば、『ジーク』という都市までは約百キロある。
その手前の町か村で
そして、出来る限りレベル上げとスキル習得。
まずは【全知全能】に、この場所の情報と、近くの町村を確認する。
この森は『迷いの森』と呼ばれていて、複数の魔物が生息しており、方向感覚を狂わす魔力が充満している為、生還者が少ないらしい。
南東十キロの場所に『ゴンド』という村がある事が分かった。
陽の昇っているうちに、生活の拠点となる安全な場所を確保する必要がある。
そして、戦闘方法の確立。
今のレベルから考えて素手で倒せる魔物なんて、殆どいない筈だ。
アイテムは、アホ女神から貰った「毒薬五個」「痺れ薬五個」しか無い。
普通は、「回復薬」や「毒消薬」だと思うけど、転移場所の件も含めて、アイツは俺を殺す気か!
本当に『布教活動』させる気があるのか?
魔物の気配に気を付けながら、川の辺まで辿り着いた。
先の尖った石を拾い、途中に歩きながら拾った木の枝に、ツルの様な植物で巻き付けて即席な槍を作った。
作り終わると同時に、頭の中で音が鳴った。
どうやらレベルアップしたらしい。
【全知全能】に確認すると全属性の適正がある為、何をしてもレベルアップがしやすいみたいだ。
なるほど! 普通に生活してもレベルアップするなんて完全にチート能力だな。
しかも習得値補正で二倍だし、そこだけ考えると無職も悪くない。
暫くは魔物と戦うのを止めてひたすら武器等を作り、ステータスを向上する事にしよう。
レベルアップすると、振り分け可能な値が表示される。
ステータス、スキル共に一度振り分けたら修正は出来ないが、ストックしてあれば後でも振る事が可能みたいだ。
それから、河原で武器になりそうな石を拾い、森でツルと木の枝を集めながら、拠点になりそうな場所を探しながら歩いた。
川を少し上流に行くと、岩肌に人ひとり入るには狭い位の穴がある場所を見つけたので、今夜はここで寝る事に決めて、武器作りをする。
拾ってきた木の実は【全知全能】に確認して食べても問題の無い木の実を分別する。
毒で死ぬのは勘弁だ!
木の実では腹一杯にはならないが、空腹よりはマシだ。
陽が沈もうとした時に、ふと大事な事を忘れていた。
……火が無い。
魔物や動物は火が苦手なのは前世の常識だが、
無いよりはマシなので、火は欲しいが発火する道具が無い。
このままだと、朝を迎えずに死ぬ可能性だってある。
ステータスを開き、木の槍を作って上げたスキル値を確認して、火属性の【火球】にスキルを振った。
【火球】は、掌にゴルフボール位の火の球が出来るようになった。
なかなか便利だが、戦闘で使えるかはまだ分からない。
夜のうちに火が消えない位に、薪を集めて火をおこす。
完全に陽も落ちたので、今夜の無事を祈りつつこの穴で少し寝る事にしよう。
火が消えると命の保障が無い事になるが、ゆっくりと寝られるのだろか……。
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